師匠はレンガを削っている

最近、風呂にも毎日は入れないほど、非常に忙しかった。
仕事は3年目なので、同僚に仕事を振ることもできるようになってきた。
1年目のときは、まわりに仕事を振ることができず、
けっこう追い詰められてしまうこともあった。
今は、忙しくなってきて、「まずいな」と思うと、適度に
「これやってもらえる?」
と、周りに仕事を振ることを考える習慣がついた。
それでもなお、最近は忙しかった。
家に帰ってきて、もう動けなくて、
奥さんに
「わしのかわりに風呂入ってもらえる?」
と言いそうになった。

人に物を作らすことばかり考えてる。
学校の総合学習の授業、美術の授業。
そして最近は3月に行われる東京都現代美術館でのワークショップ。
同時にいくつも、「人に何か作らす」ことばかり考えていては、
自分自身が何か作ろうなんて、頭に浮かばない。

土曜の午後1時半から、現代美術館で、ワークショップの打ち合わせがあった。
そのための指導案を作るため、土曜は朝6時に起きてこたつでパソコンに向かう。
結局11時までかかって、ようやく指導案完成。
現代美術間に向かう、その前に、わしは行くところがある。
ギャラリー山口。
わしの大学の恩師である、石井厚生教授が個展をしている。

石井先生は、昔と変わらなかった。
レンガを彫り続けていた。
作品に込められたコンセプトを、たっぷりと説明してもらった。
老子や、中国や、カオスについて。
彫刻は、材料が重かったりで大変なので、
作るときは、必ず人に協力してもらわなければならない。
絵画のように、初めから最後まで一人の世界に入っていられるものではない。
その結果、彫刻を長く続けていると、基本的に社交的になる。
師匠はレンガを削っている。
心強いと感じた。

奥さんと一緒に行ったので、
結婚祝いに、ツルツルしたタマゴ型のレンガをもらった。
本当に嬉しかった。
師匠が、わしの結婚を、タマゴサイズのレンガで祝ってくれた…。

奥さんは家に帰り、そして私は、現代美術館に出向いた。
学芸員さんは、よくしゃべる方で、
たっぷり4時半まで、打ち合わせした。
普段、どんなことを考えているのかを聞かれ、
わしが
「架空のプロレスラーを作って、
どんな風に活躍させるか考えている」
と言うと、笑っていた。
ワークショップは、楽しいものになりそうだ。

わしは疲れると、たくさん空気を呑んでしまう。
そういえば、まとまった昼食の食べていない。
わしのおなかの中は、空気ばっかりになってしまった。

それから、まだわしは行くところがある。
現代美術館からの徒歩圏内で、
これまた大学の恩師、非常勤講師であった池ヶ谷肇さんが個展をしている。

行くと、まず抱擁。
ギャラリー内には、
大根を剥きリンゴの形に彫ったものの写真や、
机の上で様々なサイズのボウルがきれいに重なって回転していたり、
菊練りしただけの粘土をブロンズで型取りしたものや、
剥いたリンゴの皮をブロンズで型取りしたものなどが展示されていた。
師匠はボウルを回転させている。
これまた、心強い限りだ。

わしは家に帰った。
二日風呂に入っていない。
奥さんと一緒に、近所のスーパー銭湯的な温泉に行った。
行く途中、今日あったことを話す。

「わしの大学の恩師は、レンガを削って老子の言葉を表現したり、
ボウルを回転させたりしていたよ」

老子!
中国!
大根を削った剥きリンゴ!

思い返して、わしはなぜか笑いが止まらなくなってしまった。
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by syun__kan | 2010-01-24 15:25 | 日記 | Comments(0)
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