科学未来館でのテオ・ヤンセン展を観てきた。
「生物の進化+未来」みたいなキュレーションは、
個人的には非常に違和感あったけど、
それを差し引いてお釣りがくるくらいに、ヤンセンのプロジェクトは怒涛のごとく美しかったよ。
風力で歩かすことを考えて、進化させた作品なんだって。
ああ、むかつくぜ。
美しくすることを考えて造形したわけではないものが、こんなにも美しいっていうのは、
美術家にとっては、困ったことなのではないかい?
美術家は、「美しいものを作ろう、どうすれば美しくなるだろう」みたいなことばかり考えている人だと、わしは思うから。
わしも、制作をしているときはそうだよ。
動物は美しいけど、「美しくなること」を考えて進化したわけではないからなあ。
効率よく生きるために、無駄な部分を淘汰して長所の伸ばした結果がああだから。
道具も美しいけど、あれも無駄が無いように進化させたからだよね。
美しくすることを考えないで、歩かすことを考えて、無駄を省き、動物的な、道具的な美しさを手に入れたヤンセンの作品は、
ああ、非常に困ったものとして、わしの中にあります、今。
立ち向かわなきゃ、現実と。
ヤンセンもいいけど、ハンセンも好きです。
スタン・ハンセン。
必殺技「ウエスタン・ラリアット」を開発した、「ブレーキの壊れたダンプカー」の異名を持つ、最強外人レスラー。
わしは握手したことがある。
日本武道館で、2002年の4月に全日本プロレスの試合があったとき、
「新入学生、新入社員の人は、先着○名、スタン・ハンセンと試合前のリング上で握手&写真撮影できる!」
という企画があったんだ。
わしは大学に入ったばっかの新入学生だったから、「よし」と思って、
握手会の列に並んだんだ。
わしは長蛇の列の中腹にいたんだけど、
スタッフの人が、列を二つに分けたりなんだりしているうちに、
なぜかわしがトップバッターになって、
試合開始前の日本武道館のアリーナに案内された。
リング上には、私服+テンガロンハットのスタン・ハンセン。
わしはリングに上がらされたのだけど、スタッフがバタバタして、
わしはしばしの間、ハンセンとリング中央に二人っきりにされる!
ただでさえ人見知りする性格で悩んでいるのに、
「ブレーキの壊れたダンプカー」と二人っきりの時間を過ごさねばならぬとは!
ハンセンは前年に引退していたものの、でかくてとんでもない迫力があり、
わしの脳裏には、ハンセンがこれまで幾多のレスラーをウエスタン・ラリアットでなぎ倒してきたシーンが浮かび上がり、
わしは完全にちぢみあがった。
ちらっと視線を送ると、ハンセンと目が合う。わしはとっさに、
「アイム・ナーバス」
と言った。するとハンセンは、微笑んで
「ミートゥー」
と言ってくれたのだった。