あまりに楽しみだったこと

ミュージシャンの岡村靖幸氏が復帰して、9月7日からツアーをすることを知ったのは、まだ6月半ばだったか。
すぐに、パソコン上で先行予約の抽選に応募した。
その日からわしは、「あまりにも楽しみなものが控えている」2ヵ月半を過ごすことに。

しかし、手放しに楽しみにできない事情もある。
まず、岡村さんは覚醒剤で何度も逮捕されている方。
何かの拍子に、9月7日を迎える前にまた捕まったりしないだろうか、という心配。

そして、前回のツアーは、怪我で途中で中止になってしまっている。
わしは今回のツアーのうち、新木場で行われる初めの2日間に応募し、2日目に当選した。
おいおい初日に怪我して2日目は無かったりしないだろうなという心配。

ああ、わしはいつも、全盛期をもしかしたら過ぎてしまっているのかもしれない中年男性の表現者のファンになる。

マイケル・ジャクソンだって、わしが2002年にファンになって以降、ついに一度もオリジナルアルバムを出さず、ライブもせず、亡くなってしまった。
彼の死後に発表された映画「This is It」も、アルバム「michael」も、
確かに光ってる部分はあるけれど、
死体に空気圧を送り込んで無理やり歩かせてるような不気味さがどうにも拭えず、もろ手で歓迎できない。

岡村さんの3度目の逮捕の時は、多くのファンは、もう彼のステージや新曲は望めないのではないか、ということが頭をよぎったそうである。

ここ2年くらいでファンになったわしとしても、
「岡村靖幸の作品っていうのは、追体験するものだ」と思い込んでいて、
まさか生でライブを見られる機会に恵まれるなんて思っていなかった。

ほんとにそんなことが起こりうるのだろうか。
目の前で、岡村靖幸が踊ったり歌ったりとか。

と、半信半疑、反面めちゃくちゃ楽しみなことを抱えたまま、わしの職場では1学期が終わった。
猛暑の中、日々鬼ごっこをして過ごした7月の影響で、わしは体重が2キロ減していた。

夏休みは実家のあるグンマーと東京を往復し、「5メートルのネジ」を制作していた。

ここ数年「制作しなければ」という思いを抱えて過ごし、ついにこの夏に叶えたわしは、体重も回復し、スッキリしつつも、
やや燃え尽き症候群的なテンションで2学期を迎え、
「ブルルン…プスプス…」
と音を立てている自分のエンジンを何とかして動かそうと、
何度もペダルを踏んでいた。
1学期に比べ、暑いもののやや乾燥した空気の中で鬼ごっこする、2学期9月のスタート。

2か月半。いろいろあるもんだ。
ちょっとずつでも自分がアップデートされてる実感はある。
アップデートされても、「岡村靖幸のライブ」は不変の、絶対的に楽しみな事項であり続けていた。

でも2、3日前になると、楽しみ過ぎて、変な考えが浮かんだ。

「これだけ楽しみだったライブ、あえて行かなかったら、9月8日の夜、わしは何を思うのだろう??」

チケットは、わしの本棚の最上段に、怪獣メガロのソフトビニール製の人形が抱える形で保管してある。
もし破っちゃったりしたら…

わしは未経験のことに、いつもうっすら興味がある。
スキューバダイビングとか、スカイダイビングとか、土俵入りとか、
そういうのと同様に、
行けるはずだった、あまりにも楽しみなライブに、あえて行かないというのも、
間違いなく未経験なことである。



フフフ…
破いてしまおうか。
9月8日、仕事を終えたら、新木場行かずに、家に帰ってこようか…



と、自虐的な妄想を楽しんだのち、
わしは当然、9月8日、新木場に行ったのである!

目の前で岡村靖幸は歌い踊った。
わしは1Fフロアの後方で、ノッポにモノを言わせて人の頭越しに熱視線を送り、一緒に歌い、踊っていた。
濃厚で素晴らしかった。
わしなんか新人だけど、長年のファンにとってはさらに感動的だったことだろう。

楽しみなことを作って叶えていこう。
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by syun__kan | 2011-09-10 18:46 | 日記 | Comments(0)
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