前進するUFOの前後する話

UFOが飛んでいます。
夜です。
森の上を飛んでいます。
森は黒いシルエット。
空は…暗い暗い青みどり。

サーーッと、飛んでいくわけですね。

そのうち、海に出ます。
海の上を、サーーッと飛んでいきます。

イルカの群れが見えます。
クジラの背中も見えます。
灯台。
貨物船。

UFOは、円盤型です。
おわんを、逆さまにしたような形。
底面は、平らになっていて、
丸い、球を、こう、スライスした形、
そう、目玉焼きの黄身みたいな…
丸い型に入れて焼いた目玉焼きみたいな…
いわば月見バーガーの目玉焼きみたいな。
丸い形が、三つ。出ている。
月見バーガーから、目玉焼きを取り出して、
それが三つ目の目玉焼きで、
それを、裏返したみたいな形だよ。要するに。
それが底面。
それで、上は、さっきも言ったように、おわんの逆さま。
おわんが、こう、丘になっていますね。
すごく低い円錐と言えば良いのか…
わかるよね?
その、平らな円錐の、てっぺんが、こう、平らな平らな円筒になってるじゃない。
おわんがいつもテーブルと接している部分だよ。
わかります?
ああ、それでそのUFOの場合は、おわんが逆さまなわけです。
なので、その平らな円筒が、UFOのてっぺんにあたるわけです。
でもそれは円筒のままではなくて、一番上は、丸くなってる。
液体ムヒのように、こんもりと丸くなっている。
そしてここからは、独特なんだけど、
その丸みのてっぺんが、ひっつめになってる。
そう、ひっつめ。
ラーメンマンみたいな。

そういう形状のUFOが、後ろ髪をなびかせて、サーーッと飛んでいるわけです。

やがて夜明けが近付いてきました。
街が見えてきました。

街では、たけしが起きだしました。
4時です。
テレビをつけると、めざにゅーをやっています。
「おはようの方も、これからお休みの方も、おはようございます、杉崎美香です」
たけしは新聞奨学生です。
窓を開けました。外はまだ暗い。

そのとき、UFOにも変化がありました。
底面が取れ、地面に落ちていきます。
底面はだんだんしぼんで小さくなり…

たけしの家の窓に飛び込む頃には、三つ目の目玉焼きになりました。

たけしが机に目をやると、三つ目の目玉焼きが皿に載っています。
「あれ?おれ、目玉焼き作ったっけ」
と、ちょっと疑問に思ったけど、食べました。

そして自転車で新聞配達に出かけました。
夜が明ける。

かたや、底面は取れ、平らな円錐は縮んでなくなり、
残された、空を飛ぶひっつめ。

それは、ひっつめの帽子になった。
朝日に向かって、自転車で走る、たけしの頭に被さりました。

たけしは「ニイハオ」と言いました。

なぜこのように、「ニイハオ」みたいに気の利いたことを言えたかというと、
たけしは目玉焼きを食べたときから、予期していたのです。
ひっつめの帽子が降ってくることを…

だからようするに、わしは偶然性の力を信じているのです。
わしは凡人です。どう、じっくり考えこんでも、人の想像を超えるものは出てこない。
だからいつも、偶然性とか、即興性に頼って、立体作品を制作します。
計画性もなく、ふらっと作り始め、その過程で起こる偶然とかひらめきをどんどん取り入れて作る。
そうすると、誰も考え付かないような、日常から跳躍した形ができたりする。

だからこうやって、ふらっと物語を語り始めたりすることもあります。
何か凄く面白い話になるのではないかとどこかで期待しながら。
昨夜も奥さんに向かって、UFOの話を語り始めた。
でも、着地しなかった。うまくいかなかった。
どこか、肩に力が入っていたのかもしれない。
無意識をうまく付き合えなかった。

そういうこともある。
ということで。
バイバイたけし。
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by syun__kan | 2011-12-04 20:36 | 日記 | Comments(0)
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