せっかく生まれてきたからには

わしのお給料は、ごく控えめに支払われる。

それは、埼玉のサンエルディーケーに住み、
ガススイドウデンキインターネットを支払い、
奥さんと犬と猫とハリネズミを一月養う…
いや、養うなんていうレベルにはまだなっていないかもしれない、
まあそれらと一緒に一月過ごすと、
もうすっかり消えて無くなってしまう。

お給料におけるミニマリズム。
もっとベートーベンの第九のサビようなテンションでお金が降ればいいのに。とは思う。

しかし、わしの給料は、うそをついたり、ごまかしたりして稼いだものではない。
子どもを相手に、汗をかき、知恵を絞り、転げまわり、埃にまみれて掴んだお金である。
漂白した魚の骨のように、最小限だがきれいだ。
そうやって稼いだお金で飲むビールは、大変美味しいのである。

ATMから引き出される紙幣の一枚一枚は、崇高で、大切そのものだ。
白く90度の角、直線の辺、複雑に絡み合う緑や紫の線で構成される模様や数字は、汗と涙の結晶である。
少しも無駄にしたくない。
我が子のようだ。
どこの馬の骨かもわからん男んところに嫁に出すつもりはない。

そういう美しさに慣れ親しみ、その最小限な世界しか知らないで生きてきたが、
この間、岡本太郎賞をいただき、200万円もらった。

いや、正しくはまだもらっていない。
受賞の知らせを受け、喜びつつも「200万はいつもらえるんだろうか?」と思っていたら、
そのうちに返送用封筒と振込用紙と「事務連絡」と書かれた紙が一枚入りの封書がポストに届き、
2月末に振込みとのことだった。
「そうなんだ、ふーん」と何でもない顔をしながら、とても素早く返送した。

200万円もらえる!
何に使おう!?

だが嬉しさの次に、すぐに不気味さが沸いた。
汗と涙の結晶でない、どこから出てきたのかもわからない200万円。
なんだかグロテスクなもののように思えてきた。

しかしもう少し考えてみた。
わしは大学を出てから4回引越しし、1回結婚し、漂白した魚の骨のようなお給料をいただいているので、
貯金があまりなく、
また奥さんも鬱で休場中である。
犬のおやつを6種類一気に買っただけで、
非日常な気分は通過電車のように過ぎて行った。
200万円は貯金のワンチョイスだこれはどう考えても。
シンディ・ローパーはマネーーチェンジズエーブリシーングと歌ったが、
関口家は特に変わらないのである。
というか、200万円をもらうことをきっかけに我が家の家計を省みて、逆に「ああしなきゃこうしなきゃ」と考える機会になり、
以前より節約方向に針路が振れた。

まあ、お金なんかに価値を左右されない人生を送りたい。
いくら稼いでも上には上がいるのだから、
自分にしかできないことを、せっかく生まれてきたからにはね。

チェンジズエブリシングと言いながらも今もちゃんと生きているシンディ。
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by syun__kan | 2012-02-15 23:12 | 日記 | Comments(2)
Commented by とやん at 2012-02-18 21:06 x
いまさらですが、受賞おめでとうございます!!!現在の最高値必ず観に行きます。貯金はロマンです。
Commented by 関口 at 2012-02-19 09:44 x
どうもー
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