テクスチャー太郎

奥さんが、目を輝かせて、わしを見つめている。
でも恋をしているのではない。
わしの本質を愛しているのではない。
わしのテクスチャー、表面処理を愛しているのである。
具体的には、吹き出物、肌荒れ、無駄毛など。
そういうものに、非常に興味をそそられるらしい。
ほんの少しでも、例えば吹き出物があれば、
そいつができたばかりだろうと壮年期だろうと、
ひっかこうとする。
毛穴から、産毛が、出てこれなくて、
皮膚の下で縮こまってる場合は、
かならずひっかいて、毛に日の目を見せてあげる。
やはり、えんもたけなわになった吹き出物は、さらに強烈な潰したい願望があらわれるようだ。
わしはそれを必死に拒む。
肌荒れは不快なものであるからして、その存在を強烈に意識させられるのは、屈辱的だからだ。
それでも奥さんが、潰そうとわしの顔面に伸ばす手を止めようとしないと、
わしは怒って、タイガーマスクのテーマ曲「お前はトラになれ!」の替え歌を歌う。

「闘いの時だ~。ガオー!ガオー!
お前は~~皮膚科になれ~~!」

だが時として、そんな困ったこだわりも、プラスの方向に利用できることがある。
奥さんは鬱なので、時々どうしようもなく落ち込んでいる。
この間も思考の負のスパイラルが止まらなくなっていた。
わしはどうしたものかを考え、とっさに
「わしのすね毛を剃れ!そうすれば気が晴れる!」
と、T字剃刀を提示した。
奥さんは
「なにそれ…」
とあきれたものの、
しっかりとわしのすね毛に、乱暴な、すべすべのハイウェイを刻みつけた。
すべすべの自分のすねを見たのは、12歳の頃以来か…
何だか感慨深かった。

しばらくやって、奥さんは、
「なんだか少し気が晴れた」
と言って止めた。

人生こんなもんである。
[PR]
by syun__kan | 2012-04-04 22:41 | 日記 | Comments(0)
<< 最近いろいろなことがある 「闘う人物」 >>