グリーンピースの話になった。
わし「グリーンピースって、まずいよね」
奥さん「まずい」
わし「どう考えてもまずいよね」
奥さん「まずい」
わし「ピーマンとか、オクラとか、インゲンも、わしは子どもの頃嫌いだった。
でも大人になると、美味しさがなんとか分かるようになるんだ。
調理法とか、新鮮さによっては、ピーマンも、オクラも、インゲンもうまいんだ。
そう思えるようになった。
でも今、アラサーになり、
体臭も変り、関節は硬くなり、
顔に少しずつしわが増えてきて、
マッサージが気持ちいいと思えるようになり、
仕事には少しずつペース配分ができるようになり、
バランスよくなった変りにあの頃の熱い思いを忘れかけたりして、
あの頃の未来に僕らは立っているのかな、という感じの昨今だけど、
グリーンピースは相変わらずまずいんだ。
つまりこれは、本当に、本質的に、グリーンピースはまずいってことなんじゃないかと思う」
奥さん「まずい」
わし「でもグリーンピースは世の中に確固として存在している。
シュウマイに乗ったり、チャーハンに入ったりして。
なぜだ?
それはひとえに、色と形とサイズがかわいいからなんじゃないか?
食べ物は味が第一のはずなのに、見た目がかわいければ受け入れられるのか。
あいつはまずいではないか!」
奥さん「まずい。もしウチに子がいて、
『グリーンピースまずいから食べられない』って言ったとしても、
『そうだよね、別に食べなくていいよ』って言うと思う」
わし「うん、食べなくていい。
うん…。
そう…。
でも…、
でもわしは、
『大人になるとね、不条理なことがあっても、
例えば絶対自分が正しくて、相手が間違っていたとしても、
こっちが折れて、受け入れなきゃならないことだってあるんだよ。
正しいか、間違ってるかを超えて、飲み込んで生きていかなくてはならないことが、人生では絶対ある。
そのための練習だよ』
と言って、食べさせるかな」
奥さん「あっそ」