5月はじめに体調を崩した我が家のハリネズミ、「つん」は、
駒込の動物病院で「これはまずいですね…」という診断ですぐに入院となり、
9万円弱の費用をかけた5日間の入院を経て、一命を取り留めて回復し、退院し、
しばらく我が家で過ごした後、再度体調を崩して入院し、
今度は9万円強の費用をかけて病院で過ごした後、再び我が家に戻った。
2度目の退院は、回復したわけではない。
病院ではずっと酸素室で過ごしていたが、病状は平行線で、
えさをそれほど積極的に与えられていなかったのか、体重が減り続けているのが問題で、
奥さんは「病院はぬるい!うちが本物の介護を見せてやる!」と病院を見限って自分で面倒を見ることにしたのである。
奥さんは鶏肉を茹でてすり鉢ですり潰し、
茹で汁と、ダックスープというペット用の栄養価の高いスープをブレンドしたスペシャルえさを作り、
冷凍庫に保管し、
自分で食事のできないつんさんのため、2時間おきに注射器で給餌した。
血糖値の低下を心配し、蜂蜜を一滴混ぜた水を与えた。
加えて週に5千円分の服薬。
わしも仕事疲れでダウンダウンの時を除き、なるべく手伝って注射器を持った。
病院で減る一方であった体重は、これで下げ止まったのである。
さらに酸素室をレンタルしている会社を見つけて電話し、2万8千円の初期費用と、一日千円の使用料をかけ、
我が家に酸素室を導入した。
酸素室がレンタルできるとはな!
玄関で未知の箱が「デューーーン」と音を立て、
そこから出ているチューブから、酸素が送り出され、
専用のプラスチックケースに酸素が送り込まれる。
ケースの中は酸素濃度が高く、肺を患っているつんさんも、顔色が悪くならないのである。
奥さんの畳み掛けるような介護は、振り切った迫力があり、美しかった。
奥さんはこれまで何匹かの小動物を看取っている。
技術的な経験値も、心情的な経験値もある。
でもやはり辛いものは辛かったろう、と思うが、
400グラムの体に際限なく注ぎ込まれる愛は美しく、芸術の域に達していた。
素晴らしかったよ、つんさん、奥さん。
何かの勲章でも贈りたいくらいだ。
体重は下げ止まり、数日前は自力で水を飲んだりした。
でも体はがたがたとがたが来て、色々なところが弱り、
おととい息を引き取った。
今日は高尾のペット葬祭場で8千4百円で火葬し、骨壷を受け取ってきた。
もうかけるお金は無いのである。
さよならつん。