カレーの市民

カレールーの箱に、「いったん火を止め、ルーを割り入れて溶かし」って書いてあるよね。
何で火を止めるの?
それまでずっと煮込んでいて、ルーを溶かしたあとも再び弱火で10分くらい煮るのに、
何でルーを入れて溶かすときだけ火を止めなきゃいけないの?
わしはいつも、火をつけたまま入れちゃうんだけど。
それでも毎回問題なくカレーできあがるんだけど。
ちゃんとおいしいけど。
「地中海カレー」とか安くておいしいよ。

あの、「いったん火を止め」っていうのはさ、どうせさ、
カレールーの会社の昔の会長とかが、入れちゃった文面でさ、
会長の顔を立てるためにずっと残ってるんじゃないのかな。
どうせそういう理由だと思うんだ。

毎年会議で、「このいったん火を止めっていう文面をどうするか」っていう議題は出るんだけど、
「いや、それを消してしまうと、先代の会長の松沢さんに失礼になる」
「松沢さんの遺志をわが社から消すつもりか!」
「いったん火を止めても、松沢さんの火は消せない」
「いったん火を止めるのは、わが社の精神だ!」
とか、会長派の古い幹部からの意見が出て、ナシにされちゃうんだよ、きっと。
どこの会社でも、そういうのってあるんだろうね。

という話をしていたら、隣で同僚の若者が、長方形の角を取ったつるりとした形の携帯電話的なもので、情報が世界を駆け巡るようなサービスを利用し、ササッと調べていた。

「理由、わかりましたよ。
高温で煮えている鍋にルウを加えると、
ルウに含まれる小麦粉が膜を作って、溶けにくくなるんですって。
火を止めると鍋の中の温度はすぐに90℃くらいまで下がり、
ダマになりづらくなるそうです」

わしはあまりの出来事にあっけに取られた。そして、

「あ、ありがとう。
わしはいつか人生を終えるときまでに、世の中の仕組みを一つ多く理解することができたよ。
ただ、同時にわしの中のファンタジーが一つ死んだよ」

と答えた。
[PR]
by syun__kan | 2012-06-30 10:29 | 日記 | Comments(1)
Commented at 2012-07-07 15:56 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
<< 次回の展示に向けて テーマ曲について >>