蝶野さん

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土日は、美術関係の所業をしているか、デザインチャイルド誕生に向けた家具等の準備をしている。
平日は、前日に入浴できた場合は6時半に起きる。
前日にくたびれて風呂に入れなかった場合は6時に起きて入浴する。
それから前日夜の分の洗い物をする。
7時過ぎに家を出て職場に着くのは8時前か。
そこからはノンストップ、とりあえず16時前、生徒を下校させるまで駆けずり回る。
途中に、非常に激しい鬼ごっこ等が挿入される。
生徒が帰って大人だけになった後は、準備、記録、会議等々の仕事にあたる。
あまりに消耗している日は、音楽室の隅で15分くらい、内緒で仮眠をとる。
仕事がすべて終わるのは、日によってまちまちだが、平均すると20時くらいか。
家に着くと21時くらい。
奥さんも働いているので、一緒にちょっと準備して、21時半頃夕食。
そのまま22時半くらいまで、二人でしゃべる。
パソコンで、美術関係のメールのやりとりをする。
それから一念発起して、犬の散歩へ行く。
23時過ぎ、余力があれば風呂に入る。
24時、犬と猫のトイレを片付けて、餌をあげて、就寝する。
ああ、今日もブログを書けなかった、という思いが頭をかすめたりする。
しかし先日、仕事を6時半に終わりにできた。
わしの頭に、「家に帰ってブログを書く」と、
「本日発売の新日本プロレスDVDマガジンの最新号(蝶野正洋特集)を買いに行く」の二択が浮かぶ。
体力的には限界が近い。家に帰って体を休めることが内外からの求めである。
しかし案の定、足を延ばして、帰り道、DVDマガジンを入荷していることが予測される本屋に行く。

蝶野正洋はわしのアイドルである。
その蝶野さんが、まさしく絶頂期だった、1997年~98年の試合を盛りだくさん収録している。
これは素晴らしい商品だ!!
1680円。

ここでわしは躊躇する。逡巡する。
もうすぐわしはパパである。
いやある意味ですでにパパである。
その意識は、確実に経済感覚に働きかけてくる。
1680円。
1680円あれば、もう一枚まともなジャージなり、靴なりを買った方がいいんじゃないか?
と、わしは自分のその時の格好を客観視して思う。

そして、DVDを買ったところで、観る時間はあるのかと。
二週間ほど前、ツタヤで映画を借りて観たが、それは実に半年ぶりの映画鑑賞だった。
今、情報のインプットにあてられる時間は、そんなものだ。
買ったってどうせ見れない。

わしはいったん店を出て、店先に立ち、道行く人々を眺めながら考える。

しかし関口よ、蝶野さんを裏切っていいのかと。
もちろん、このDVDマガジンを買ったからって、蝶野さんにロイヤリティーが入るとは限らない、
そんな小さなことではなく、
蝶野さんがプロレス界において残した功績は、同世代の武藤や橋本に比べ、過小評価される傾向があるんじゃないかと。
このDVDマガジンのシリーズの、過去のラインナップを見たって、武藤選手や橋本選手の試合の方が、より頻繁に取り上げられている。
わしがこの商品を購入することで、蝶野さんの功績に、一票投じる、意思表示になるんじゃないか?

などと考えながら、わしはもう家に向かって自転車を走らせている。
わしはもうパパである。

その夜、奥さんと犬の散歩をしながら、蝶野正洋のDVDマガジンを、買わなかった話をする。
そして、蝶野さんがどうして面白いかを、「語ってもいい?」と聞く。
奥さんは、100メートルほど先の、小学校の前を過ぎるまでの間なら、語ってもいいと、条件付きの許可を出す。
わしは語る、

「同期の武藤も橋本も、柔道の猛者だったし、センスも良かった。
でも蝶野さんは、格闘技経験がなくて、ただの元暴走族だった。
要するに、プロレスをするにあたって、それほど秀でたものを持っていなかったんだ。
でも、97年に、プロレス界のMVPを獲った。
その年の蝶野さんは、ほかの誰よりも、輝いていたわけです。
つまり、
凡人が天才を超えるためには、どうすればいいかっていうエッセンスが、97年の蝶野さんには、詰まってるわけよ!
天才がMVPを獲るのは当たり前じゃない?
それは観ていて、気持ちいいかもしれないけど、参考にはならない。
わしは凡人で、低賃金だけど、だからこそ、蝶野さんの97年に、勇気をもらうんだよ!!」

そこで小学校に着いてタイムアップしてしまったのだが、奥さんは、「買いなよ」と言ってくれた。
わしはただ単に、背中を押されたかったのかもしれない。
甘ったれである。まだまだパパの器ではない。

何はともあれ、翌日も仕事を6時半に終わることができた。
わしは本屋に足を向けた。
二度足を向けて、買わずに帰ることは、さすがに大人だから、ない。
足を向けた以上、買うのである。
買うのか!やった!

本屋に着いたら、売り切れていた。
残念だったがちょっと嬉しかった。
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by syun__kan | 2013-07-05 23:47 | 日記 | Comments(0)
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