ジャケット

午前中にニトリからコタツが届いた。
前代のコタツは犬がかじってボロボロになったので捨てたのだ。
梱包を解いて、コタツ敷き布団を敷いてコタツの枠組みを載せてコタツ掛け布団を掛けてコタツの上の板を載せるとコタツらしくなる。
奥さんと新品のコタツに入ってみると部屋の雰囲気はそれらしくなる。
生活っぽい。
こうして、えっちらおっちら、世の中を模倣してよくまあ、生活を作り上げてきたものだ。
外は秋晴れ。
ほほえましすぎる。
自分のことながら、あまりにもほほえましく、笑ってしまった。

こんなにストイックに過ごした一年は、高校受験前の一年か、大学受験前の一年か、今年くらいだろう。
受験戦争と言われるが、確かにそんな感じだった。
今年はアーティストとしてと、教員としてと、ちょっとプレ父としてを全てこなそうとして戦争状態になった。
今日は非常に久々の休日で、久々に体力に余裕のある状態で、奥さんを見つめた。
奥さんの顔だって、今年は新幹線から見える景色のようだった。
久々に定点観測で記録した。

記録はできたけど、用事がないわけではない。
午後はイケアにたんすを買いに行く。
奥さんはもうあまり動けないので、わしひとりのおつかいである。
ついでに自分の服も、ついに買うことにした。
バスに乗って新座駅へ、武蔵野線で新三郷へ。
イケアでたんす二つと、キツネとハリネズミのぬいぐるみとクッキーの型を買い、たんす二つを配送にまわす。
駅周辺に戻り、ららぽーとという集合商業施設で自分の服を買おうとする。
わしはもうギブアップ寸前だ。
人ごみがあまり得意でない。
というか人ごみが得意な人っているのかしら?
視界に飛び込んでは去る、様々な人生、生活、それぞれが抱える事情、年齢段階、エネルギー、
飛び込めない…
そこに飛び込んで、サイズと値段をみて、試着するなんて。
そして興味が湧かない、服に…。
値段の高低に関わらず、それがとびきりにスペシャルなものだらば、話は別だ。
もしくは自分で作れるだらば。
制作を長く続けたことで、「欲しいものは自分で作るものこそ欲しいものである自分」みたいな思考になっている。
しかし着々とわしの残りHP(ヒットポイント)は減っている。
このまま手ぶらで帰ると奥さんにまた怒られる。
わしは意を決してザラというお店に入る。
ジャケットを買おうとする。
サイズ表がSMLではない。48とか50の数字だ。
わしには意味が分からない。
何着か試着してみた。
すると店員さんが来てくれてサイズのことやザラのシルエットは細いことなどを教えてくれた。
色や素材はいろいろある。
さらに何着か試着していると、別の店員さんも話しかけてくれた。
「まだ迷っています」と答えると、「ごゆっくり」と言ってくれた。
そのままわしは40分くらい迷い続けた。
店内にはわしにとっては大きいと感じられる音量でトランスミュージックが流れている。
わしは素直にトランスされてしまって、着々とHPを奪われる。
わからない、ワインレッドと灰色はどっちがいいのか。
デニムっぽい素材とベルベットっぽい生地はどちらがいいのか。
もう店員さんは話しかけてこない。
わしはすべてのジャケットを二回ずつぐらい脱いだり着たり。
もうだめだ、わからない。
もう帰れないんだ、今日は。
ららぽーとの落武者になるんだ、僕は。
そこで電話が鳴った。奥さんからだ。

「まだ帰らないの?」
「た、助けてくれ。ワインレッドと黒と亀みたいなふかみどりとだっさい茶色とあおみどりはどれがいいんだ」

奥さんはネットでザラで現在売っているジャケットを調べてくれ、アドバイスをくれた。
結局わしはあおみどりのジャケットを買った。

帰り道、餃子の材料を買って、家でひき肉を餃子の皮のジャケットで包んだ。
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by syun__kan | 2013-10-27 23:51 | 日記 | Comments(2)
Commented by ロールケーキ at 2013-11-03 12:01 x
ユーグレナ色地球にも体にもいかすぜ!
Commented by 関口 at 2013-11-05 23:30 x
拙者とて武士の端くれ
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