ナポリタンカツ

近所のスーパーに買い物に行ったら、お総菜コーナーに目が留まった。
ナポリタンカツという商品があったからだ。
ハムの上にスパゲッティーナポリタンが盛ってあり、それがカツにされている。
衝撃を受けた、というほどではない。が、見過ごせなかった。
心に引っかかってしまった。

ナポリタンカツ?

わしは自分がお総菜コーナーの従業員になったところを想像し、
上司が、

「今日はナポリタンカツ作るから」

と言ったら、どう思うだろうと考えた。

「え?ナポリタンカツ??」

と思うに違いない。
家に帰って、家族に、

「今日ナポリタンカツ作ったんだぜ!!」

と言って、笑い話にすると思う。

などと考え、レジに並んだら、自分のカゴにナポリタンカツが入っていることに気付いた。

え?誰が入れたんだ?イタリア人か?違う、わしだ。
いや、イタリア人かもしれない。カゴに入れた瞬間のわしはイタリア人だったかもしれない。
とにかくわしは、ナポリタンカツを購入している。

なぜわしはナポリタンカツを買ったのか?
さっきちょっと笑いものにしていたではないか?

この問いは、わしをさらなる思索に追い込んだ。
そこに、哲学的な命題がある気がしたからだ。
美術における、送り手と受け手の意識の問題。
でたらめをやったつもりの送り手が、受け手のインプットを予測できていない。
案外すんなり受け入れられてしまっている。
ここにはどのような意識の齟齬があるのだろうか…。

答えは出なかった。

家に帰って、その日は食べる用事がなく冷蔵したのだが、
翌日出して食べてみた。

そしたら、非常にパッとしない味だった。
まるでナポリタンをカツにしただけのような。

それにより、わしの抱えた命題は質的な変化を帯びた。
わしはあの時イタリア人だったのではなく、好奇心溢れるおじさんだったのではないかという可能性だ。
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by syun__kan | 2013-11-07 22:55 | 日記 | Comments(2)
Commented at 2013-11-11 12:18 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by 伝わる履歴書の書き方 at 2014-01-11 12:20 x
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
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