悲鳴

カフェオレが飲みたかった。
この間、職場で。
スティックタイプのカフェオレの素の、封を切って、
カップにサラーッと入れる。
そしてポットでお湯を入れる。
その時、カフェオレのスティックの切れ端が、カップの中に落ちてしまった。
ベージュ色のカフェオレ液に紛れて見えなくなる切れ端。
まあいいや、つまみ出すのもめんどくさいし、誤って飲むこともないであろう。
そのままスプーンでかき回した。

職場は入学式前で、子どもたちはまだいない。
わしはベランダに座って、グランドを見ながらカフェオレを飲み、持参したパンの昼食を食べる。

しばらくすると、ブンと、アブ的な虫が飛んできて、わしのすぐ目の前、
前日の雨によってできていた、ベランダの水たまりにビャッ、と入った。
そしてアワワワ、ヤベヤベヤベ、という感じでもがいている。
水たまりは、彼がぎりぎり足が着かないくらいの深さであるようだ。

わしは一瞬、助けようかと思い、でもめんどくさくて、そのまま座り続ける。
そして子どもの頃に自分に思いを馳せる、
小学校時代のわしなら、絶対助けただろう。
わしは心優しい子だった。
両親の教育の影響か?
生き物地球紀行を見ていたからか?
幼稚園がキリスト教系だったからか?
手塚治虫のブッダを熟読していたからか?
無駄な殺生が嫌いだった。
道に這っているいもむしとか、危ないからなるべく木にとまらせたりした。
蚊とかも、なるべく叩かないよう、追い払ったりしていた時期もあった。
しかし今のわしはどうだろう。
座ってパンを食べ続けている。
どういうことだ?
優しくなくなったのか?
それとも歳をとってきて体が重くなったのか?
感性が鈍ったのか?
このままだとアブ的な虫はおぼれてしまうかもしれない。
アブは今、苦しいのだろうか?
ああいう、昆虫の様な生き物は、苦しさを感じるのだろうか…

そう考えながら、
カフェオレを飲んでいると、
カップの底の方に、
すっかり忘れていた、
切れ端が、
プカッと浮き上がってきて、
一瞬アブ的な虫かと思って、
いや、そんなはずは無いのだけれども、
水たまりでおぼれているアブ的な虫に思いを馳せていたので、
脳内イメージがリンクしてしまって、
アブ的な虫かと瞬間的に勘違いして、
わしは、

「どわっ!!!」

と、
悲鳴を上げた。

ふと見ると、アブ的な虫は、
水面を泳ぎ、ベランダの柵につながる壁にたどり着いて、壁を登って自分で助かっていた。
[PR]
by syun__kan | 2014-04-07 22:42 | 日記 | Comments(0)
<< トッピング 入学式 >>