奥さんの属性

奥さんとは大学で出会った。
同じサークル、絵本創作研究会に入っていた。

わしは彫刻科だったので、多くの物事の価値基準が、
「形が良いか否か」
という点に置かれていた。
同時期に、イケイケだったホリエモンさんが、
「お金がもっとも公平な価値基準である」
と言っていたので、
「じゃあわしはフォルム(形)をすべての価値基準にしよう」と思っていた。

奥さんは、とにかくフォルムが良かった。
モデルのようにスタイルが良い、ということではない。
150そこそこの身長しかない。
しかしその150そこそこの範囲内の、バランス配分、
マッス(量)、ムーブメント(躍動感)の配分が完璧。
とりわけ細い足ではないが、腰の位置は高い。
側面から見ると体全体が程よいS字曲線を描いている。
すなわち、やや猫背気味に付いた頭から、背中が緩やかに曲線を描き、
それでいて腰は反って前に出て、
だから脚はやや前傾気味に立つ。
彫刻の伝統的なコントラポストを横向きで実現している。
日本人でこんなにすっきりとした美しさの人は珍しい。
やや内股気味に足が地面に着地していて、
その足には、スケッチャーズなどのややハードめなスニーカーが履かれている。
じゃあついでに、そういったグッズの話をしよう。
ボトムスは、細いジーンズで、これは絵の具の汚れが散りばめられている。
奥さんは油画科である。
トップスはよれよれしたボタンのシャツ。
彼女はアイロンを所有していない。
そこに制作用エプロンをしている。
色はモスグリーン。というかモスグリーンだったと思われる。
カラフルな血液の流れるモンスターを惨殺してきたようだ。
髪は後ろで一つに束ね、
もみあげの上の毛は顔の両サイドに垂らしている。
千と千尋の神隠しの千尋のスタイルだ。
そしてヘッドフォンを首にかけている、もしくは耳に当てている。
制作中は映画のサントラとかスリップノットを聴いてるらしいよ。
そういう出で立ちで、絵画棟のイイオ食堂でお茶を飲んでいる。
彼女は飲み物を飲む際、容器を両手で持つ。
その方が安定すると言う。
これには賛否両論あり、とくに女子からは否が多いそうだ。
顔は…誰にも似ていない。
強いて言えばタスマニアデビルに似ているか。
つまり、可愛いし、甘いといえば甘いけど、ロックっぽさがあるということか。
昔の相川七瀬さんのような…
わしの語彙ではなんとも言い表せない。が、
その人の印象を一言ではなんとも言い表せなくなったらつまりはそれが恋なのかもしれない。

そう、わしはフォルム(形)、あとテクスチャー(表面処理)、ディディール(細部)あたりから入って、奥さんに引き寄せられていた。
これはなんら不純ではない。
彫刻科の学生にとって、これほど純粋な好意はない。
もちろん今は、そこに流れる精神やコンセプトも気に入っている。

「可愛さ」と「ロックっぽさ」。
「フォルムのよさ」と「コンパクト感」。
これが奥さんの属性である。

最近は7.6キロのボリさんを前に抱いたまま犬の散歩に行き、
野菜の無人販売でニンジンとトウモロコシと巨大なキャベツを買って抱えて帰り、
たくましく階段を上ったりする日々で、
「マッチョ」という属性が加わりつつある。
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by syun__kan | 2014-06-25 23:06 | 日記 | Comments(0)
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