友人の3

先日、夜中に目が覚めた。
胃がぎりぎり痛い。
夕飯に食べた、パッタイというタイ料理に、
調子に乗って唐辛子をかけすぎたからだ。
息を整え、落ち着こうとするが、
体勢を変えるだけでも痛い。
起き出して、水道で水を飲む。
時計を見ると、午前3時。

再び布団に入ると、ある友人の顔が頭に浮かんだ…。
天性の美術的才能を持ち、デッサンの奇跡的に上手い友人。
そうだ…彼とも、このくらい辛いのを、一緒に食べたことがある。
いつだったか…
あれは確か、受験のときだった。
いくつかの東京の私立美術大学は、近い日程で試験を行うので、
地方の受験生は、八王子あたりに何泊か泊まって、何校か大学を受けることが多い。
わしは多摩美と武蔵美を受けた。
当時の多摩美彫刻科の倍率は6~7倍くらいだったか?
食うか食われるか。
熾烈な猛特訓の末の、決戦である。
友人も似たような日程で近くに泊まっていたので、近くの飲食店で夕飯を一緒に食べたりした。
明日は二人とも多摩美の彫刻科の受験という日の夜…
カレー屋に行ったんだった。
辛さが1から10の10段階で選べるシステムだった。
じゃあちょっと辛そうな、5辛にしてみようか。
わしがそのように決めようとしていると、彼が、

「サンコン(わしの当時のあだ名)!そんなんでいいの!?
そんな中途半端でいいのか!
辛さを求めるなら、10辛にするべきでしょ!」

と言ってきた。
わしも何となく、

「まあ、確かにそうだね。中途半端は良くないね。やりきらないとね」

と言って、10辛を注文した。

10辛…すごかったぜ。
視覚的だった。
一口食べるたびに、視界に赤い模様が炸裂する。ブワッと!!
一口ごとに、「うーあ!!」「どわー!!」と、悲鳴をあげずにいられない。
したたる汗と涙。
脳内でインド人がヨガで絡まって数珠つなぎになっている。
ふと彼を見ると…

彼は3辛のカレーにから揚げをトッピングして美味しそうに食べていた。

いやーしかし、よくあの時、おなか壊さなかったな。
夜、胃が痛くなったりして、寝れなくなったら大変だ。
次の日、多摩美の受験なんだから。
あの頃は若くて、体も丈夫というか、鈍感だったのだろう。

…というか…

今思い返すと…

これはどう考えても…

わしは頭も鈍感だったのかも知れん…

布団の中で徐々に眠くなってきたわしの脳内に、彼の顔が浮かんで揺れる。

うーん。

光栄だ。
わしは彼にライバルと思われていたのか。
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by syun__kan | 2014-10-20 23:07 | 日記 | Comments(0)
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