オリパラへのブレスト
オリンピック・パラリンピックの向けての文化政策を検討する委員会にどういうわけか選出され、
もう3回会議をした。
2回目、3回目の会では委員が10分ずつ、パワーポイント等を用いて、
オリパラに向けて何がしたいか、何をするべきか発表していた。
様々なジャンルの一流者による発表は見識に溢れていて、
またそれぞれが尖っていて、
大学の授業を聴くようであった。

そんでもって、今度の22日の4回目の会議では、わしが発表せなあかん。
どうするよ?

一つ言えるのは、わしは、いろんなことを知っているタイプの人ではないということ。
いろんなことができる人ではないということ。
どちらかと言えば、「それしかできない!」「それについてしか知らない!」というタイプの人間である。
なので、他の委員のように、見識に溢れた発表は無理である。

じゃあ、わしは何ならできるのか?
何についてなら知っているのか?
あなた何の専門家ですか?

一つは、「新聞紙とガムテープを使った立体作品づくり」である。
なんと限定的な!
「立体作品」「彫刻」の専門家でさえない。
あくまでも新聞紙とガムテープを使った、である。

そしてもう一つの専門。
それは、特別支援教育であり、美術教育であろう。
特別支援学校で担任を持ち、同時に美術を教えること9年目。
研究者としては力不足だが、ひたすら現場の経験だけならある。

アーティストとしての経験と美術教育の経験を組み合わせたワークショップの開催なども、
わしならではの専門といえるかも知れない。

(あともう一つあるとすれば、低収入にあえぐ現代の若者としての生活実感の専門か?)

という所を踏まえ、じゃあわしが、オリパラに向けて何がしたいのか?と問うた時に、思いつくのは、以前書いたように、
障害児に、「自分は当事者としてオリンピック・パラリンピックに参加した!」と思わせたい、ということである。

たぶん彼らは、及びその保護者や支援者は、
彼らが2020東京オリンピック・パラリンピックの当事者になりえるとは、考えていないだろう。
どこかでだれかがやっていることであり、
せいぜい会期中は、テレビで観たり、良くて会場に観に行って楽しむんだろうな、
くらいにしか考えていないのではないか。

ちがうよ。観るだけじゃだめ。出るんだよ。

観るのと出るのとでは大違い。
観ただけじゃ、ある程度の思い出になっても、その後の自分をずっと支えるような自信をゲットすることはできない。
「出た!」という実感を持たせることで、一生を支える自信を獲得させたい。

わしが立脚する考え方は二つ。

1、障害児者に対し、どのような政策を取れるかは、その国の先進性の指標である。
2、アートは、知的障害児者が、健常者に全くひけをとらない、数少ないジャンルである。

知的障害児者は、やはり読み書きといったお勉強では、健常者にはかなわない。
サヴァン症候群のような例外はあるが…、
音楽も、スポーツも、基本的には不利である場合が多い。
しかしアートについては…負けてない!!
負けるはずも無い。
アートに必要なのは自分をさらけ出すこと、自分だけの美意識を持つこと、雑念を一つも持たないこと。
彼らは自然とそれができる。
彼らが世の中に打って出るには、アートは最も良いジャンルだと思う。
オリンピックという大舞台においても、彼らの存在を強くアピールできるのは、やはりアートだ。

この国において、アールブリュットと呼ばれるようなジャンルの扱いは、他の先進国と比べ、あまり活発でないと聞く。
この機会に、そのあたりを見直させたい、という思いもある。

では具体的にどうするか…
全国には、1080の特別支援学校がある。
このすべてを回って、ワークショップしたい。
無理か?
まあ、全部じゃなくても良い。だいたい回る。
授業にお邪魔するのが無理なら、土日でも良い。
土日の方がニーズあるかも。
かつて一度講師を務めた、多摩美の「出前アートだいがく」の協力が得られないかな?
出向いた先で、新聞紙とテープの工作をしてもらう。
作るのは…メダルだ。
オリジナルのメダルを作るんだ。
運動競技では、金メダルをもらえるのは、一人だけ。
しかしアートは、勝つのはひとりじゃない。
誰もがメダリストになれる。

「世界にひとつだけの花」の、「ナンバーワンにならなくてもいい、もともと特別なオンリーワン」という歌詞、
わしはこれが、二十歳過ぎまで、嫌いだった。
ずっと人と競わされ、少しでも人より抜きん出たいと思って生きていたからね。
何だかその歌詞が、一番になれなかった人のあきらめのように感じられたんだ。
しかし教職の勉強で介護実習に行ったとき、このメッセージの意味と良さが初めて理解できて、
目の覚めるような思いがして、
その驚きがその後の人生を決めたと言ってよい。
この価値観の転換…
それはさながら競技的価値観から芸術的価値観への転換であったのかもしれない。
それを、このオリンピックにもぶつけたい。
誰もがメダルを得られるんだという。

障害にも、いろいろある。
体が、手先が、思うように動かない場合もある。
わしはガムテープが大好きな人間だが、ガムテープだと頑丈すぎて使いづらいケースも多そうだ。
マスキングテープも用意しよう。シールだっていい。
支援者が新聞紙を丸めてガムテープを巻いたところに、少しでも体を動かして、貼って欲しい。
自分で選んだ色のテープを、誰かに貼ってもらってもいい。とにかく、自分がやったと思える方法で。

もちろん、健常の子どもの作品もあってよい。
学習環境まで何から何まで一緒にというのには同意しかねるが、
人々の意識という部分では、ノーマライゼーションには賛成だ。
柵はないし溝もない。みんな一緒に生きている。確かにそうだ。
ことにアートに於いてなんて、分ける必要ない。

完成したメダルは、オリンピック公式の紐を付ける。
自分の首にかけて、記念写真を撮ってほしい。
それから、まとめて秘密基地に送る。
秘密基地には、大量のメダルが届く。

秘密基地では、わしが新聞紙とガムテープで、巨大な人物像を作っている。
イメージは、ペットボトルの少年
f0177496_083784.jpg
と、
新日本プロレスのオカダ・カズチカ選手
f0177496_09746.jpg
の中間。
やはりペットボトルの少年は、わしにとっては震災、そして不安な世の中に置かれた現代の子どもたちの象徴だ。

震災当時10歳だった子どもは、2020年には19歳の大人となる。
「あんなに大変だったけどオリンピックできるくらいに完全復活したよ!」
なんて十把一絡げに宣言できるような単純なものではないとは思うが、
ペットボトルの少年にも、オカダのように手を広げて上を見上げ、堂々としてほしい。

高さは、太陽の塔を越えたいので70メートルを目指そう。
その体には、世界の文化の様々なモチーフがてんこ盛られる。
そこは、表面をカオスにするのは得意な関口の作品。
街全体が立って起き上がったような人物になる。
70メートルを一人で作るのは大変だから、
表面にくっつくモチーフも、ワークショップで参加者に手伝ってもらおう。

人物像は、オリンピック・パラリンピックの会場、もしくは会場近くに設置される。
どんなロケーションかはわからない…あまり東京の地理に詳しくないので…
屋根があると良いけど、大きいので屋外になる可能性もある。
表面を樹脂で覆えば何とかなるかな。
とにかく、各メディアが取り上げるであろう、目立つ場所に。
このオブジェを、オリンピック・パラリンピックの視覚的な象徴としたい。

全国から集まったメダルは、紐を延長する。
色とりどりのリボンで。
メダルは、全部、人物像の首にかけてくれ。
腕でも良い。
彼に、みんなのメダルを授与して、祝福してやってくれ。
とんでもない数になると思うが…
極彩色のメダルを身に纏う巨大なレインメーカー。

首や腕にかけられたメダルは、高いところにあって一つひとつは鑑賞者から見えないから、
そこはこのIT時代。
ネット上でアーカイブしましょ、全作品タイトル載せて見られるようにしましょ。
期間中、メダルは増えても良い。
人物の足元で、ワークショップをやり続けても良い。
みんなが参加してよいのだ。

これがわしの今持っている、イメージ。
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by syun__kan | 2015-04-14 00:09 | 日記 | Comments(3)
Commented at 2015-04-23 15:35 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by syun__kan at 2015-04-23 23:01
未熟な発表に付き合っていただき、どうもありがとうございました。
これが何かにつながるのか、それとも特に意味が無かったのか、わかりませんが、
感想をいただけますと、聞いてくれた方がいるんだと実感でき、嬉しいです。
Commented at 2015-04-24 14:39 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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