わしはプロフィールなどに使っている写真で、
右手を胸に当て、左手を前にかざすポーズをしている。
これは、デヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」というアルバムのジャケット写真の真似である。
ブログトップの写真にも使っている「明るい夜に出発だ」という作品には、塔の中ほどに、
このポーズをするデヴィッド・ボウイの像がくっついている。見えるかな?
というかわしは、2012年に岡本太郎記念館で行った展示のタイトルは「ヒーローズ」だし、
DMの写真でもそのポーズをしている。
その展示のために制作・展示した作品「ヒーロー」「王様」「女王」も、
デヴィッド・ボウイのアルバム「ヒーローズ」の中の「ヒーローズ」という歌の詞、
「We can be heroes. Just for one day」
「I will be king. and you will be queen」
に着想を得ている。
どうしてこんなにデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」が好きなのか?
この曲に感銘を受けたのは、大学で卒業制作をしているときだ。
わしは「瞬間寺院」という作品をつくっていた。
ハサミや靴やカマキリなど、様々な日常的なものが集合し、寺院の形になっているものだ。
普通、寺院には、神話の場面など、神々しく普遍的なものが彫刻されている。
しかし、日常的なものだって、よく見れば、感性を研ぎ澄まして見れば、神々しく、美しいじゃないか!
その瞬間だけなら…
だからわしは、そういったものを集めて寺院にした。
新聞紙とガムテープという、もろくて、永遠に残ったりはできない素材で。
刹那の美しさ、瞬間の寺院。
その刹那性には、自分を重ね合わせている。
歴史に名を残すような存在にはなれないかもしれない、
でもこの生きている瞬間に、何かしらを刻み付けようと。
その心情に、デヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」が寄り添ったのである。
「僕たちはヒーローになれる。たった一日だけなら…」
ヒリヒリするような刹那性だ。
それは、まさにわしが、表現したかった美しさであった。
というか、そのまんま、ザッツ・オールという感じで、
わしの作品なんか見なくても「ヒーローズ」聴けば全部分かっちゃうんじゃないかというくらい、
わしが新聞紙とガムテープで作品をつくる行為と、この曲はシンクロしている。
以来、わしの造形活動のテーマ曲になっているのだ。
短いシングルバージョンではなく、長いアルバムバージョンがオススメだよ♥
キャリアの長い方なので、すべての時代を把握している訳ではないけど、
そんな訳で、とても思い入れのある方だった。
やれやれ、マイケル・ジャクソンもデヴィッド・ボウイもいない世の中になってしまった…
残念です。