ボリさん2歳1か月

ボリさんが真っ先に覚えた言葉は、「はむ」である。
うちの飼い犬の「ハル」のことだ。
「はーむ。はむ。はむちゃーん!」
と、よく叫んでいたのが懐かしい。

飛行機も好きだった。
空を見上げて飛行機を見つけ、
「ひこ!」と、よく声を上げていた。

ボリさんは現在2歳1か月である。
このくらいの年になるまでは、
興味の趣向は、親の影響下に置かれている部分が大きい。

奥さんは動物好きで、年パスを買って上野動物園やサンシャイン水族館に、頻繁にボリさんを連れていく。
ボリさんも動物が大好きになった。
言葉も、動物の名前から覚えていった。

「いぬ」という言葉を覚えたのは大きい。
「ハル」は、「ハル」だけども、「いぬ」でもある。
上位概念というやつだ。

そして、「わんわん」ではなく「いぬ」という言葉で獲得できたのも、
個人的には、かっこいいと思う。
ちゃんと大人になっても、学術書でも通じる語句だ。
しかし、児童館の子どもたちや先生に影響され、「わんわん」という語も、遅れて獲得した。
さらに、最近体験している英語教室では、「Dog」であると、教わっている。

ボリさんにとってハルちゃんは、「ハル」であり「いぬ」であり「わんわん」であり「Dog」であるという、
非常に芳醇な状態になっている。
まだ言葉の少ない中で、破格の扱いだ。

その他、覚えている動物の名称は、
「ぞうさん」「きりん」「ぱん(パンダのこと)」「かえる」「さる」「かば」「さい」「くま」「とり」「うさぎ」「ねこ」「わに」「ごりら」など。
ゾウだけが「さん付け」され、いぬとは違った形で別格扱いされている。

「とり」の概念は、さらに「はと」「からす」「ぺんぎん」の下位概念に分化され、
それらも言うことができる。
この先が難しいと思っている。
鳥はさらにワシタカ類やサギ系、シギ系、カモ系、キツツキ系など、無数に細部分化されていくが、
それらの概念をいつ伝えていくか…。
とりあえず今は、ボリさんが図鑑を指さしているときは、
「それはブッポウソウだよ。それはセイタカシギだよ」などとマジレスすることなく、
カラス、ハト、ペンギン以外は「とりだねー」と言ってザックリ返している。
ボリさんも、「くちがとがっているやつはとり」と認識しているようだ。

そう、動物は写真や実物ではなく、デフォルメされたキャラクターとして提示される場合が多い。
中には実態とけっこう離れたものもあるが、
それでも、実物とリンクさせて認識できるのは、人間の面白いところだ。
デザインする側の力でもあり、認識する側の能力でもある。

最も判別が簡単な顔は、ウサギであろう。
丸い顔に、長い耳が上向きに付いていれば、それはウサギである。
口は、「×」や「Λ」で描かれ、ウサギの口の特徴を表現している場合もあるが、
他のキャラクターと同じく、「∪」のような上向き半円のにっこり口で表される場合もある、
しかし耳さえ、耳さえ上向きで長ければ、
ボリさんはそれを「うさぎ」と言える。

耳が上向きの三角ならば「ねこ」であり、丸みを持っていれば、「くま」である。
「くま」は、口が省略され、黒くて小さな鼻の周りがもう一重丸で囲まれていている場合が多い。

「ねこ」の基本形に模様や牙を加えると「とら」になり、
顔の周りをワヤワヤした線で囲めばライオンとなる。

うちにはテレビがないので、パソコンでDVDを見せることが多い。
長らく氷の魔法を掛けられていて「アナ雪」一筋だったが、
「美女と野獣」「不思議の国のアリス」「おしゃれキャット」等、
奥さんの好きなクラシックディズニーに少しずつ興味を広げ、
一時的には、お箸の国の大名作、「となりのトトロ」が「アナ雪」を超えるほど心を掴んだ。

この辺も、トトロが動物的だからこその結果だろう。
同じ理由で、動物的なものが登場する「リサとガスパール」「パンダコパンダ」「ピングー」もよく見た。
「ひつじのショーン~バック・トゥ・ザ・ホーム」も強力だった。

しかしそのうち、幼稚園くらいになれば、
ボリさんは、奥さんの趣味でもなく、わしの趣味でもない、
自分なりの「好きなもの」を見つけるだろう。
「ボリはそんなのが好きなんだねえ。お父さんにもお母さんにも、わからないなあ…」
というような。
それがヘイセイジャンプなのかテニスなのか吹奏楽なのかスキューバダイビングなのかロッククライミングなのか土俵入りなのか何なのか、
まったく予想はつかないけど。
そのようにして、徐々に親のコントロールを外れていく。
思春期を迎え、中学、高校くらいになったら…
どんな子になるんだ?
部活は何部?
さっぱりわからないけど、親のコントロールからは、ほとんど外れてしまうかもしれない。
「うざいんだよかんけーないでしょ」
くらいは言うだろう。
悲しいぜ。
悲しいからせめてあらかじめ予告してやる。
やーいやーい思春期め。
二十歳過ぎたら今度は若干親に感謝し始めたりするのさ。
そして職業は?
おそらく…呪術師とか、マジシャンとか、エイサーの先生とか、登山家とか、プロボウラーとか、バレリーナとか、刀鍛冶とか、地方公務員とか、
とにかくこちらが、一切予想できなかった道を見つけ、進んでいくのだろう、という気がする。
コックピットにはアラームが鳴り響き、「コントロールを外れました。自動操縦に切り替わります」というアナウンスが流れるだろう。

ボリさんとわしの関係性という名の飛行機が飛び続けられるために、
今はまだ手の内にあるかわいいボリさんと遊んで、燃料を満タンにしておかなくてはならない。
それは、お互い様に、である。
[PR]
by syun__kan | 2016-01-20 00:24 | 日記 | Comments(0)
<< あえて戻る 4種盛り合わせ >>