多摩センター再訪

この間、池袋のブックオフで買った文庫本に、レシートが挟まっていた。
「2009年 啓文堂書店 多摩センター店」
とのことで、
お前は多摩センターで買われたのか。

多摩センター、わしは学生時代バイトしていたぞ。
2005年から2年間くらいだから、被ってはいないけど。
購入者とはすれ違っていないけど。

長嶋有による「夕子ちゃんの近道」という小説の文庫本、
読み進めると、またレシートが。
「2009年 ウェンディ―ズ 多摩センター店」
もうだめだ。
郷愁が止まらない。
ロマンスが有り余る。
銀色の包み紙、四角いビーフパテ、
ほんのり甘いバンズ、
裏メニューの小倉バーガー。
青春の味、就活の味、ウェンディ―ズハンバーガー!

多摩センター駅は、京王線と小田急線と多摩モノレールが乗り入れる。
京王、小田急の南口を出ると、レンガの大通りがあって、まっすぐ行って、
左に曲がると何やら華やかな、
生活感のない商店街、多摩ニュータウンらしい独特の雰囲気。
それを抜けると正面に見えてくる、くすんだ虹とお城のような構造物を有する巨大な箱、
その名もサンリオ・ピューロランド。

右手に見えます、ニキ・ド・サンファルの彫刻を何故かたくさん従えた超高層ビルが、
天下のベネッセ・コーポレーション。
これが本館的な建物で、道を挟んだ左側のやや低いビル、これもベネッセ・コーポレーション。
そこの3階だったか4階だったかで、
わしは進研ゼミを作る現場の、雑用バイトをしていたのだった。
当時彫刻科の同期の、三宅君や山崎さんもネ。

いろいろなことがあったぜ。
早稲田とか美大以外の人と知り合ったりさ、
一流企業戦士の物腰の洗練具合にびびったり、
イラストレーターさんの駅まで原稿取りに行ったり、
本館最上階の展望台から下を見下ろして無数に広がる集合住宅を見て、
「人間ってウィルスみたいなもんだな…」
と思ったりね。
今の職場に送るための書類を揃えたのも多摩センターのたしかサブウェイ。

そんな、多摩センターにちょっとだけ思いを馳せた昨今、
たまたま、家族でピューロランドに行くことになった。

手前の生活感のない商店街でお使いすることはあっても、
ディッパーダンでクレープ食べることはあっても、
ウェンディ―ズでチリポテト食べることはあっても、
ベネッセ本館に書類届けに行くことはあっても、
決して足を踏み入れることのなかった、その奥、
サンリオ・ピューロランドへ!

学生時代、あのお城付きの巨大な箱だけは、なんとなく霞がかかっていた。
近づけなかった。
近づいちゃいけない気がした。
何ていうか、サンリオおよびキティが非常に高いポピュラリティを誇るコンテンツだけに、
それが「一般社会」の象徴のような気がして。
自分の中にキティがいなくて。
関口の世界観とサンリオの世界観が少しも被らなくて。

でももう、わしは行ける。
抵抗感など、さっぱらこっちゃ消え失せた。
学校で働いて10年目、妻子持ち32歳。
ウィルスばりに増殖したってことだ。
頭に白い猫の一匹や二匹、余裕で存在している。
心がリンゴ3個分広くなった。
10年ぶりの多摩センター、
行きたい、ボリさん(2歳5か月)に見せたい、
自分も見たい、サンリオ・ピューロランド!

密閉された濃密なkawaii空間で繰り広げられるプロダンサーたちの今この瞬間を生きる!といった感じのエンターテイメント、
すっごく面白かったよ。
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by syun__kan | 2016-05-23 22:43 | 日記 | Comments(0)
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