年末年始の記憶と現在

終業式。
生徒をご家庭に送り出し、今年の仕事の重要な部分はこれで終了、
終了終了。
翌日から風邪です。
そんなものです。ありがちです。
やり切ったら、反動というものがあるのです。
しかし、今回罹患した風は悪質だった。
全然、治らないのだ…
12月20日からというもの、一度も治り切らず、
熱はないものの、声が出なくなったり、咳が止まらなかったり、
「明晰な思考力」や「鋭い観察眼」や「瑞々しい感受性」のようなものをすべて奪われ、
アーティストとしてはほとんど機能不全に。
まあそれはそれで、揺さぶられないので生活しやすかったりするのだが、
12月25日に長文の日記を書いたけど、
それは20日以前に書いて保存しておいた文で、
そう、アーティスト然とした作文もできないような2週間強が始まった。

生徒のいない、教員だけの仕事期間を終え、
年末年始の休日に入っても、
相変わらずぼんやりこの上ない。
しかしながら、2月にアーツ前橋に展示する用があるので、
12月28日には実家に帰って倉庫にしまってあるボロボロヨレヨレの「サンダーストーム・チャイルド」を修復しに行った。
(写真は、過去に展示した時のもの)
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そうしたら、入れ替わりに母が体調を崩して入院してしまい、
本来ならばここで頼りの長男があれやこれやと立ち回りましょうかいというタイミングだが、
くだんの通り風邪なのでほとんど何もできず、
情けない思い。
制作から4年経っている「サンダーストーム・チャイルド」の、
重力に負けて平らにつぶれ気味になってしまった頭を、少しシャキッとさせる。
新しいパーツを付け加え、
展示に出せるように。
その姿は、忘れそうな記憶、
輪郭を失いそうな若いころの思い、
新しい経験がボロボロヨレヨレに集積し、
ギリギリ人の形を保っているかのようで、
まさに今の自分を表すのに相応しかった。

帰省ラッシュに逆行するように12月30日に妻子のいる自宅に戻り、
しかしながらやはり風邪が治らず妻にうつしてしまい、
もうほんと嫌になってしまう、
しかしぼんやりしていて、絶望とか自己嫌悪とかそういうのにはむしろ達しない。

普段忙しく仕事し、土日や長期休みにはアート活動することが多いので、
奥さんには負担をかけている。
約束を実行できないことだってある。
だから休息してきなさいと。
わしばかり好きなことするのはフェアでないからと、
奥さんは1月3日から5日まで旅行に行き、
わしが3歳になったばかりのボリさんを2泊3日で預かることになっている。

奥さんは何とか体調を戻し、3日早朝に旅立った。
3日、わしはボリさんと電車で上野動物園に行く。
わりとぼんやりした子だが動物には造詣が深く、
「マーラ」「プレーリードッグ」「ヤブイヌ」等、
わしとマニアックな動物も写真を見て名前を言えるボリさんは、
園内のモノレールにも乗って楽しむ。
本物の電車に乗ってきたのに、どうしてここでまた3分間ほどのイミテーションの鉄道に乗らなくてはならないのかと思ったりするが、
わしはボリさんに尽くす。
お母さんの不在でボリさんも頑張っているのだから、
この2泊3日は家族に尽くさねばならぬ。
帰り際に「(レンタルの)ベビーカーに乗りたい」と言い出すボリさんに、
「(帰り際なのに300円払うのはさすがにもったいないから)今日は乗らないよ~」と声をかけ、
売店でシュライヒのキリンの人形を買い与え、
帰宅し、
寝落ちしないように素早くトンカツを作って食べさせ、
風呂に入れ、
就寝。
しかし、
「さみしいのよ」
と言い出し、
「お母さん、お母さん」
と言って泣き出すボリさん。
おかしいなあ、一年前は奥さんが外泊しても普通に寝れたのに…
いろいろわかるようになって、逆にごまかしがきかなくなっている。
泣いたまま眠ったが、翌朝5時半にはまた目覚め、泣き出すボリさん、
一時間経ってももう眠らなかったので、仕方なく早めの朝食を。
1月4日。今日のことだ。
うちにはテレビがないのでガラケーのワンセグで教育テレビを見せ、間を持たす。
「みんなのうた」から始まり、
「0655」「シャキーン!」や「にほんごであそぼ」、
「デザインあ」や「ピタゴラスイッチ」ときてかわいいかわいい3代目スイちゃんの登場する「みいつけた!」、
怖いくらいにこなれたゆきちゃんの進行による「いないいないばあっ!」、
「おかあさんといっしょ」…
CMが入らず、しかも各番組ともに細かくいろいろなコーナーに分かれて構成されているので「あやし」のノンストップ・トランス・ミックスといった趣だ、
普段見ないから久々に見るとすごいなEテレ。
ボリさんも納豆を食べ終わり、小さな画面に見入る、
その隙に洗濯をして干す。

本日は自動車に乗ってセブンイレブンに寄り、手抜きの昼食を買って児童館へ。
テラスで昼食を食べ、未就学児の遊ぶ部屋へ。
そのままひたすら16時まで遊んだ。
途中、ボリさん曰く「おともだち」が来たようだがわしは頻繁にここに来るわけではないから人間関係が分からぬ。
一緒に遊んでいるようないないような様子を、トラブル無いように見守り、時々口を出す。
日が傾き、寝不足もあって泣き所を探すようにぐずり出すボリさん、
「自転車やりたかったの」と述べるが、
「自転車?あるよ~」と車の荷台から子ども用自転車を出して泣かせないわし。
16時半ごろまで外で自転車で遊び、帰った。
眠そうでくたっとしているが、ここで寝かせると夜寝なくなる。
シルバニアファミリーで遊ばせておいて最速で唐揚げを作る、
時折シルバニアファミリーの小さなオムレツやらトマトやらが落ちたりうまくコンロに載らなかったりして泣きかけるところを、
「はいはいここにあるよ~」とフォローに滑り込み、
東洋の魔女の回転レシーブの様に泣かせないわし。
夕食、入浴。

お母さんと電話し、お土産にキティちゃん人形がもらえるとわかり、
写真を送ってもらったことで見通しが持てたのか、
今日は泣かなかった。
眠る前も、「たいこたたく」と意味不明なことを言い出し、
おもちゃのたいこを叩いて「マイケル歌って」と要求してくるが、
昼寝をさせていないことで勝ちが見えているわしは「いいよ~」と応じ、
「トゥクトゥクトゥクトゥクッ!チョ!」と、
ボイスパーカッション付きで「スピード・デーモン」を歌う。
その後とりとめのないゴロゴロとしたやり取りを経て、
わしのくるぶしを枕にボリさんは寝た。
その寝顔はあまりに愛しい。

あと一日。
明日夜に奥さんは帰って来る。
そう思って日記を書いていたら、風邪が治っていた。
治るために、大義名分とか必然性とか使命みたいなものを必要とする奴だったのかもしれない。
なんて、めんどくさい奴だ。
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by syun__kan | 2017-01-04 22:48 | 日記 | Comments(0)
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