こんぺい

小さいころ、「笑点」という番組をよく見ていた。
落語家が横一列に並ぶ。

左端に、きれいな深いブルーの着物を着た「えんらく」が座る。
彼は司会者であった。
まず、えんらくさんがかしこまった挨拶をする。

次に、その横の「こゆうざ」が挨拶をする。
彼は水色の着物を着ていて、貧乏で恐妻家のキャラクターであったと思う。

次に、ピンクの着物の「こうらく」が挨拶をする。
彼は比較的キャラが薄い。
小さいころのわしには、そう感じられた。

次に、黄色い着物の「きくぞう」が挨拶をする。
きくぞうさんは、ラーメン店を経営している。

次に、鶯色の着物の「うたまる」が挨拶をする。
彼は痩せぎすであった。

次に、紫の着物の「らくたろう」が挨拶をする。
彼は、インテリなキャラクターなのか、少し難しい話をする。

最後に、オレンジの着物の「こんぺい」が、開口一番、
「あたしにはそういう難しいことはよく分からないんですけど…」
と述べ、観客が笑う。

問題はここである。
今思うと、こんぺいの言う「そういう難しいこと」とは、
直前のらくたろうの挨拶を指しているのであるのだが、
小さいころのわしは、
「こゆうざ」~「らくたろう」全ての挨拶に対して述べられていることだと思っていた。
だって小さいころのわしには、大人が大人の言葉で大人のスピードで話している内容は、
基本的に理解の範疇を超えていたからだ。
「こゆうざ~らくたろう」は、全員何言っているか分からんかったのである。

それに対し、「こんぺい」の言うことは理解できた。
「そんなものはね、全部まとめて、食っちまえばいいんです!!チャラーン!!こんぺいでーす!!」

全部まとめて食う!この分かりやすさ!

だから小さいころのわしは、
「こんぺいふつうにおもしれーな」と、こんぺいさんを評価していた。

しかし、小学校低学年を経て小学校中学年くらいになってくると、
まず、きくぞうさんの言うことも理解できるようになった。
次第に、「こゆうざ~うたまる」の言うことは、大抵理解できるようになり、
「そういう難しいこと」は、「らくたろう」の挨拶のみを指していることに気付く。

つまり何が言いたいかというと、子どもたちは、
「こんぺいレベル」の話しか理解できない世界で生きているということだ。
もし周囲の大人たちが、何も配慮しなければ、
全然理解できない内容がわーわー飛び交う世界が、彼らの生活になる。
それは不本意なものだろう。

だから大人は、子どもと接するときは、「こんぺいレベル」を心がけるべきである。
すなわち、「全部食う」といった内容だ。
食う。
この、生命維持に最も不可欠な、非常に根源的な行為こそ、子どもという小宇宙の中心に響くのである。

[PR]
by syun__kan | 2017-02-01 00:06 | 日記 | Comments(0)
<< ピーラー ゾウ >>