サスケ

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プロレスについて書くのは難しい。
プロレスというものに対しての認識が、
人それぞれによってだいぶ異なるからだ。
だから、「どっから話せばいいんだっけ」ということになる。

また、男が自分の好きなジャンルについて滔々と語るというのは、
場合によっては、なかなかめんどくさいものがある。
女性がカフェで滔々とグチを話し続けるのと同じくらい…
ただし、語り口によっては、「好きなジャンル語り」も「グチ」も、
面白く聞こえてしまうもので、
いかに世の中で「語り口」や「言い方」のようなものが、
大切かということが垣間見える。

自分がそのような語りの技術を持っているかは甚だ議論の余地があるのだが、
少なくとも、みちのくプロレスのザ・グレート・サスケ選手は、
ここ数年のわしの人生観に、
一定の影響を及ぼしているのだった。

(いろいろ言いながらも、語りに入ろうとしているわ。
男って何てめんどくさいのかしら)

2010年末に、ふと、
後楽園ホールでプロレスが観たいと思って、「みちのくプロレス」を観に行ったら、
レスラーが脚立の上で逆上がりしたり、
リング下の桶に向かってダイブしたりする姿を見た。
まったくもって相手にダメージを与えず、
意味不明で、
しかし一歩間違えれば命を落としかねないムーヴの数々だった。

ザ・グレート・サスケ選手。
昔は身軽で、華麗な空中殺法で舞いまくっていたのに、
現在はこんなことになっていたのか…
週刊誌で何となく把握していたけど、
実際に目撃すると、
正直…

正直、わしは爆笑が止まらず、
あまりの衝撃に、頭の中で爆竹が鳴って真っ白になった。
大げさでなく、日々の些細な懸案事項が、すべて雲散霧消したのである。

その後、美術関係の仕事で知り合った方が、偶然みちのくプロレスの映像制作に携わる方だったこともあり、
年に数回の後楽園ホール大会に誘われるようになった。
観に行くと、サスケ選手は(特に年末の試合で)毎回、
一歩間違えれば死ぬんじゃないかという、しかし意味不明なムーヴで、
会場を爆笑と熱狂の渦に落とし入れた。
何の「タメ」もなく、大見得を切ることもなく、
黙々と、朴訥と言っても良いくらいに淡々と、桶を被って長机の上に飛んで行った。

間違いない。
この人は、明日のことを考えていない。

サスケ選手の試合が胸を打つのは、
計画性が重要視されるこの世の中で、
慎重に計画的に積み上げていかないと将来困るといような生活を、将棋の「歩」のように歩んでいる我々に対し、

「明日のことは全然考えていません、
今この瞬間の為に生きています」

という姿を具現化して見せているからである。
これが「ロック」なのではないか、とわしは思った。
「アート」の概念はあらかじめ持っていたが、
「ロック」の概念は、
わしは、ザ・グレート・サスケ選手から享受したのであった。

(あなたの生き様はどうなのよ)

わし?
わしはめちゃくちゃ計画的です。
ローン組んでるし。
つまらない男です。
ロックンローラーでも何でもない。ローン男です。
しかしながら、例えば学校では、
時々、明日のことを考えずに、めちゃくちゃにでたらめに、体力使って生徒と遊んだりする。
それが、ささやかながらわしの、サスケへのオマージュなのであった。
いつもじゃなくていい。瞬間でいいから、
計画性を捨てて、その瞬間の為に生きるという瞬間がないとだめだ。
わしはそう、サスケの試合を解釈し、
日常に般化したのだった。

先日、6月18日にも後楽園ホール大会を観戦したが、
やはりメインイベントでサスケ選手は、
6脚のパイプ椅子を並べた上に、背中から投げられたりした。
そして第一試合では、
デビューしたての丸坊主の若手が2名、
タッグマッチで初々しく試合していた。
団体のトップであるサスケが、あの感じの生き様を見せる中、
若い若い彼らの将来設計って、いったいどうなっているのだろう??
何だかそれは、すでにロックだった。

(ふうん。ばっかみたい)

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by syun__kan | 2017-06-25 21:44 | 日記 | Comments(0)
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