島根滞在制作2日目:感慨屋さん

断っておかなくてはならぬことが一つ。
今回の滞在制作は、公開制作ではない。
もちろん関口の作品も、現在は展示されていない。
展示が開始するのは10月になってからです。
この夏に2週間かけて作り、10月までバックヤードに保管してもらいます。

わしが制作しているのは、1階の木工室。
世界子ども美術館は、2階が入り口で、
展示は3階~5階で行われている。
1階は市民の皆様が利用する創作室等に割り当てられているので、
展示を観に来たお客さんは基本的に訪れず、
地下室のようにひと気がない。

木工室のドアはガラス張りだが、
関口が集中できるようにか、あらかじめ暗幕が張られていて、
窓にはブラインドが掛けられ、
確かに缶詰になって制作するには最適な環境。

アーティストが制作する様子を、公開しないというのはもったいない気もするが、
要するに、10月から行われる新聞紙アート作家の企画展に関口の作品を出品させたく、
しかし関東で作った大型作品を島根まで輸送するのは費用が嵩むので、
いっそのこと本人を呼んで滞在制作させた方が都合がよい、
という事情もあるのだろう。

今日の午前中は、昨日の続きでヤマタノオロチの体部分の骨組みを作る。
工具は十分に揃っているし、
過去の企画や展示で余ったものなのか、テイクフリーの木材も豊富にあるので、
造形天国的状況。
正午になって、ようやく新聞を揉み、ガムテープを巻き始める。

1階の様子が昨日と違うのは、
若干ひと気がある点だ。
となりの創作室には、静物が設置され、
体操着の中学生がたくさん、顧問の先生に連れられ、デッサンに訪れている。
複数校の美術部で合同で行っているのか、数十名はいそうだ。
材料を運ぶ時に廊下ですれ違う。
会釈。
廊下の端には、中学生の皆様のリュックが、ズラリと並んでいる。
彼らは静物デッサンに訪れた中学生ということが明白だが、
彼らから見たわしは、一体何物に映るのか?
わしの籠っている部屋は、暗幕が張られて見えないわけで。

そう思ったわしは、午後になって、ドアの暗幕を外した。
案の定、デッサン中に休憩等の用事で、廊下に出た中学生が、
ちらちらと、木工室の中の、
大きな骨組みに新聞紙とガムテープを巻きつける、わしの様子を見る。
まあ、見たところで、「一体何者」という疑問は一向に解決しないばかりか、さらに深まるかもしれないけど。
しかし彼らに、何らかの感慨は、与えられるかもしれない。
アーティストはそのために存在する。
感慨屋さんなわけだから。

夕方になり、中学生たちは帰ったようだ。
そして顧問の先生が、わしのいる木工室をノックしてくださった。
何と、昨年の、広島での展示をご覧くださったとかで、
関口の名前および作品を知っているとのこと。
何と光栄なことか。
東京から遠く離れたこの地で、関口のことを知っているという方に偶然に出会えるなんて。
そういえば、先日関口のブログにコメントをくださった方も浜田市出身だというし、
日本全国、もしかしたら世界各地に、
自分の「縁」というものはあるのかもしれない。

中学生の静物デッサン会は二日続きで明日もあるようなので、
わしも、新聞紙とガムテープによる制作が徐々に進む様子を、それとなく見せていこうと思う。
(そしてあわよくば、参加者が集まらず若干悩んでいる6日のワークショップに誘致したい)

前言撤回しよう。
制作はなるべく公開しています。
新聞とガムテープのアーティストを見てみたい方、いらしてくださいね。
一階にいます。
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by syun__kan | 2017-08-03 22:40 | 日記 | Comments(0)
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