島根滞在制作10日目:時代

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重い。
朝起きたら、なかなかに体が重い。
昨日、威勢の良いことは書いたが、
連日の制作により疲れは溜まっている。
もう歳だ、なんて言うにはまだまだ早いが、
若さで押し切れるような感じでもない。

8時過ぎに美術館の方がホテルに迎えに来てくださり、
いつも通り制作が始まるが、
どうにも、若干、朦朧とする。
滞在制作という非日常も、10日目を迎えて日常になった。
やったらやっただけ進むのがわしの制作技法だが、
体も誤魔化しが効かなくなり、
やったらやっただけのリアクション、
すなわち疲れをわしに訴えて来るようになった。

「わしはもうだめじゃ」
と言ってついに、
13時半くらいに、
電気を消してヤマタノオロチの体の中にこっそりと横になる、
そのまま1時間ほど寝た。
するとやはり回復して、調子が出てきたが、
でも今日はあんまりがっつかず、ほどほどで終え、
終わったら何か気分転換的なことしよう、
DVDとか観よう、
そうだ「君の名は。」観よう、と思った。
世の中のトレンドを10年遅れくらいで追いかけるわしは、
「君の名は。」なんて案の定観てない。
まだたったの一年遅れでブーム乗ろうとするなんて、わしにしては上出来じゃないか。
浜田駅の向こうにゲオがあるから、夜に観よう、
会員カード持ってないけど、作ればいいじゃないか。
そう思うと俄然、
「前々前世」が頭に流れて止まらない。
バンド名は分からないけど、
というか何度か名前は目にしたけど読み方が分からず、
しかしこの曲は何度も聞いたことがある。
「君の前々前世から僕は」
今日は7本目と8本目の首と頭を作ってから、
「君を探し続けたよ」
尻尾8本をおしりに取り付け、
「君の前々前世から僕は」
19時に制作を終了した。
「君を探し続けたよ」
そこしか歌詞が分からないので、永遠にループする。
今日一日で何回「ぜん」を頭の中で繰り返したか。
駅周辺まで車で送ってもらい、
昨年の大ヒット作品を借りるべく、駅向こうのゲオへ歩く。
本屋とくっついていて、この本屋もなかなか広くて充実していて、良い。
なるべく時代には付いて行かねばならぬ。
「君の名は。」をもう、みんな観ている前提で世の中は進んでいる。
ヤマタノオロチが完成したって、
それを見るお客さんは、
基本的に「君の名は。」を既に知っているお客さんなのであり、
クリエイターたるもの、そのつもりで制作するべきだ。
だいたい、わしは最先端に付いて行こうとする意識が足りぬ。
未だにガラケーだし、
そういえば滞在初日に、学芸員さんの娘さん(小4)と話をする中で、
「ガビーン」
と言ったら、
「…それなに?」
と怪訝な顔をされたのである。
今の子は、「ガビーン」と言わないらしい。
その言葉の存在さえ知らないらしい。
それこそガビーンである。おじさんにとっては。
いつの間に死んでいたんだ、「ガビーン」。
「ピューと吹くジャガー」の頃くらいまでは生きていたはずだったのに。
ピヨ彦、よく「ガビーン!」って言ってたよね?
だからわしは、その小4の娘さんに「ガビーン」の正しい発音と、
ついでに「ガビョーン」の言い方も伝授してきたのだが、
ああ、そんなことしている内にわしはどんどん時代と乖離し、
取り残されていくのだろう。
だめだだめだ、こんなことでは、
「君の名は。」観なくては!
と思ってゲオに着いたら、
数十本、ケースは並んでいるのに、
「君の名は。」は、すべて貸し出し中だった。
ガビーン。
結局、わしは、
君の名前をまだ知らないし、
そもそも「君」が誰を指しているかも、知らないし、
そもそも君の名前が重要な話なのかも分からない。

いやじゃいやじゃ、
まだ時代に付いていきたい。
まだ頑張りたい。
東京帰ったら観ます。
わしはまだだめじゃない。

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by syun__kan | 2017-08-11 23:54 | 日記 | Comments(0)
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