子どもだましなんてない
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「子どもだまし」という言葉を、昔よく聞いた気がする。
「子どもはそんなものが欲しくなっちゃうのか、そんな子どもだましなものを」
みたいな感じで、
そう、自分が子どもの頃に言われた。
自分が好きなもの、欲しいものを、
「子どもだまし」と言われて、
何か少し複雑な気持ちになった覚えがあるが、
いざ自分が大人になり、
教員になったり父になったりアーティストになったりして、
見渡してみると、
世の中の子ども向けのものにおいて、
作品や教育や食品や玩具等において、
「子どもだまし」なものなんてほとんど見受けられない。
わしの周囲に関してのみ言えることなのかもしれないけど、
ほとんど全部真剣勝負で作られている気がする。

例えばこの夏は、
3歳の娘とプリキュアショーを数回観に行く機会があった。
わしはプリキュアなんて昨年まではさっぱり知らなかったが、
娘が観るようになってからの今期に、一定の知識を得て、
基本的なフォーマットくらいは理解した。
今期の「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、
スイーツと動物をモチーフにしている。
様々なメディアミックスが盛んに行われ、
特に夏休みのような時期には、
オーバーマスクを使用したショーが各地で観られる。
文化会館の大ホールで観たショーは、悪者が出てくるストーリー仕立てで、
最後には歴代プリキュアが大挙して押しかける阿鼻叫喚となり、
池袋の「キラキラ☆みんなのパティスリー」で観たものは、
悪者は出ずに、プリキュアたちのダンス中心で、
どちらも、3歳~5歳くらいの女の子たちが、
普段家で観ているものを大勢で共有できるの喜びの中、
叫ぶように皆で歌い、
わらわらと皆で同じ振り付けを踊るのは、スーパーほほえましかった。
そして池袋においては、目の前まで来たキュアジェラートが、
目が合ったわしの娘に対して投げキッスしてくれて、
わしは感動して涙が出そうになった。
娘はキュアパルフェまたはキュアマカロン推しなのでわりとさらっと受け流していたが、
しかしわしは、深く感動していた。

ここで「子どもだまし」という言葉について考えてみると、
このキュアジェラートは、中身にはダンサーさんが入っていて、
そのお姉さんはすでに40代なのかもしれないし、
先ほどの休憩時間にコンビニで買ったじゃがりこをボリボリ食べていたかもしれず、
要するに「本物」のキュアジェラートではないと言うこともでき、
そういう意味では「子どもだまし」なのかもしれないけど、
しかしながら、難易度の高いダンスはたゆまぬ努力の賜物であり、
30分のダンス~15分の握手会、15分の休憩を挟んでまたダンス、それを一日、
という超ハードスケジュールをこなしつつ、
しなくても給料は支払われるであろうアドリブのキッスを、娘に投げてくれたダンサーさんの、
心意気というか、生き様が胸に迫ってきたし、
その存在を超え、
ダンサーさんが心意気を以てして守り、高めてくれたキュアジェラートのイメージを、
わしはその、何というか、
うーん…
八重歯がチャームポイントの、
テーマカラーが青で、アイスとライオンがモチーフの、キュアジェラートのことを、
何というかその、うまく言えないんだが、
昨日の8月27日が設定上の誕生日である、キュアジェラートについて、
そう、プリキュアは実在の人物ではないが、誕生日が設定されているらしくて、
そのまあ、要するに、
ほんの少しだけ…
ごく少しだけね、
オタクと呼ばれる人たちが、
二次元に感情のエネルギー注いで生きているフィーリングの、一端を、
理解しそうになり、
踏みとどまったりした。

さて、感情の揺らぎを露呈してしまった可能性があるので、
姿勢を直してえらそうなことを書いて終わろう。
わしが創作活動を行っている原点は、
幼稚園年長さんの時に観た映画「ゴジラvsビオランテ」である。
子どもだましの怪獣映画と言ってしまえばそうかもしれないが、
芦ノ湖に巨大なバラが立ち上がり、逆光に照らされるシーンなど、
制作者が本物の芸術を目指して作っていることは明らかだった。
あの時わしは、良い意味で、永遠に消えない傷を付けられたのである。
現在の、プリキュアも面白いし、Eテレの子ども番組も素晴らしい。
これらを享受した子どもたち、
池袋でわらわら踊っていた子どもたちが、将来どんなものを作るか、
楽しみに、心して待つ。

by syun__kan | 2017-08-28 22:38 | 日記 | Comments(0)
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