江口洋介、ホームレス、蟻等に関する思い出
記憶はどんどん薄れてしまうものなので、
たまには思い出話を書こう。

大学1年の頃、
わしは初めての東京住まい(外れだが)を良いことに、
しょっちゅうプロレスを観に行ってた。

その夏は2002年、
新日本プロレスのG1クライマックスが両国国技館で連戦で開かれ、
わしは奮発して2日間連続でチケットを取り、観に行くことにした。

1日目の8月10日、わしは下宿の最寄である橋本駅から電車に乗り、
夕方に両国着。
2階の後ろの方から観戦、
メインは高山善廣VS西村修で、
西村が無我殺法で高山をかなり翻弄したが、
最後は高山が勝ったことを覚えている。

会場を出て夜。
明日8月11日は、昼過ぎ、
確か14時くらいから試合開始。
橋本まで帰って下宿で寝るのが道理だが、
わしはあほまっさかりの絶賛19歳なりたて。
1時間以上かけて橋本の自宅にたどり着き、深夜に寝て、
翌日昼過ぎにまた両国まで出直すのは、
めんどくさいしお金がもったいないと、考えた。
確かに、なけなしのお金で買ったチケットであり、
金欠な状態ではあった。
しかしながら、せめてネットカフェとかを利用すればよいのに、
野宿しようと考えたのは、
今思うと、無事で良かったねという感じだ。

すぐに寝付かれるわけはなく、
国技館周辺をうろついていると、
夜の公園で、何かの撮影隊がロケをしており、
野次馬が少し群がっている。
どうやら、江口洋介がいるらしい。
わしは、たまに「江口洋介に似ている」と言われたことがあったので、
嬉しくなって、
接近を試みた。
ADさんと思われる若い女性と話しながら、
撮影隊から江口さんが一瞬離れたとき、
わしは江口さんの背後に近づき、
目と鼻の先の距離で立った。
江口さんは、わしと同じかそれ以上の高身長で、
ADさんと「セッタ」(当時少し流行っていたサンダルの一種)の話をしていた。

江口さんは再び撮影隊の群れに戻っていき、
わしは引き続き野次馬の一人として使い捨てカメラで撮影しようとしていたが、
やがてスタッフさんに「迷惑なんで」と遮られ、
接近は終了した。

似ていると言われることもあったが、
身長や顔の部分的には似ているのかもしれないが、
その他の大部分、ほぼすべての面で、江口洋介とわしはかけ離れていると、
何だか思い知った気がした。

その後さらにうろつき、
深夜に、国技館の徒歩圏にある大きなお寺に着いた。
そこには玉砂利を敷いた広い庭があり、
庭を囲むようにベンチが点在していて、
その一つにわしは座った。
道も近いので、ひと気が全くないわけでもなく、
20メートルほど離れたベンチの下には、ホームレスの方が寝ていたりして、
無人なのよりも安心感があった。

眠気は全く起きなかった。
こんな所で眠っては危ないと、本能が感じるのだろう。
確かに、学生時代にはこの機会の他にも何度か野宿を試みたが、
うつらうつらはするが、ちゃんと眠れたことは無い。
この時も、わしは眠ることを諦め、
一晩中、そのベンチに座っていた。

やがて空が白み始め、わしは早朝の両国周辺を散歩した。
そして、またあのベンチで時間を潰そうと思い、お寺に戻ってきたのだが、
今度はお巡りさんが群がっているのだった。

警官の群れの中心は、昨夜から今朝にかけて、
下にホームレスの方が横たわっていたベンチだった。
わしは気になったので、近づいて警官に話しかけると、
ベンチの下で人が死んでいたとのこと。
「ああ、その人、昨日の夜から横になってましたよ」
とわしが言うと、
お巡りさんたちが一斉にこちらを向き、
「それは何時頃?」
と聞き、何人も同時にメモを取り始めた。
その場でわしは、昨夜から今朝にかけての動向を、
「プロレスを二日続けて観るために電車賃をケチって」という動機まで、
詳しく聞き取られたのであった。
最後に、
「もしかしたら電話するかもしれないので番号教えて」
と言われ、携帯番号を伝えたが、
その後電話は無かった。
順当に、というか…
特に事件性は無く、
ホームレスの方が、ベンチ下に横になり、そこで力尽きたということになったのだろう。

19歳になったばかりのわしは、
「自分は江口洋介と、ホームレスの、中間くらいにいる」
と、なんとなく思った。

昼過ぎにプロレスが始まり、
昨日勝って決勝にコマを進めた高山善廣を、
蝶野正洋が、ケンカキックの乱れ打ちにして倒し、
G1クライマックスに優勝した。

わしは今度こそ京王線に乗り、橋本の家賃3万5千円の下宿に帰った。
すると、部屋の中に蟻がいた。
2センチくらいある、女王アリみたいなサイズの蟻だ。
よく見ると、いっぱいいた。
昨日出発する際に、部屋の真ん中に放置していった、
「プリンパフェ」の空き容器に群がっているのであった。
6畳一間に何十匹もいる巨大蟻、
どうしたら良いか全く分からず、
結局わしは、チャッカマンで一匹ずつ燃やした。
それしか思いつかなかった。
蟻は悶え、死ぬ瞬間に、何とも言えない嫌な臭いを出した。

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by syun__kan | 2017-09-03 23:13 | 日記 | Comments(0)
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現代芸術家、関口光太郎の日記。
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