カテゴリ:日記( 542 )
すっぱいブドウ
遅い夕食。ブドウが出た。
食べると、すっぱい。
甘酸っぱいというより、ただ単にすっぱい。
正直にそう述べると、奥さんは、

「あー、すっぱかったんだそれ。
ボリさんが、夕飯で葉っぱ全部食べて、
ご褒美的にブドウあげて、
わーいって食べ始めたんだけど、
あまり食べなかったんだよね。
その残り」

とのこと。
ボリさんは、3歳9か月のわしの娘。もう寝ている。
葉っぱは、我が家で「緑の野菜」の意味。

娘は、頑張って野菜を全部食べ、
ブドウをもらって「わーい」って思ったのに、
それがすっぱかったということだ。
そして、「すっぱい」と述べることは無く、
食べることを止めて、寝た。

わしは、2階で寝ているボリさんを思い、
何だかものすごく、愛しく、いたたまれなく、心がすっぱくなった。

期待して手に入れたものが「思ってたんと違う」経験。
それは心を成長させる重要な栄養素だ。
財閥とか皇室とかなら、与えられたブドウは常に甘いかもしれないが、
わしらにとっては、毎日毎日、甘いばかりではない。
小さながっかり、しょんぼり、しかしながら希望、喜び、
大きな喜び、暫定的な絶望、でも希望、
それらすべてがないまぜになって練り上げられたカラフルなペーストが、我々の生活だ。
いろんな経験をして、
ありとあらゆる感情を味わって、大きくなっていかなければならない。

しかしながら!
我が娘が食べるブドウは、
どちらかと言えば甘くあって欲しい!

…これはもう、ただの親バカ的なフィーリングだ。
将来を思えば、すっぱいブドウも経験していかなければならない、それは分かっているが、
それでも甘くあって欲しい、なんて、
そんなの逆に本人のことを考えていない親のエゴなわけだ。

だから、わしは、
甘くあって欲しいと願って、心をすっぱくするだけ。
高いお店に行って、甘いブドウばかり買ったりはしないよ。
本当にそこまでやっちゃったら、
本当にただの過保護になってしまう。

そしてわしは、わしに、そこまで思われるボリさんって、何なのだろう、と思う。
食べたブドウがすっぱかった。
そんなの、些細な事だ。
他愛のない、ミニマムな、取るに足らない出来事だ。
そんなことまで、いたたまれなく、思われる、ということ。
こんなにも、思い入れを持たれ、
将来を案じられ、愛しく大事に思われ、幸せを願われるということ。
巨大な未来を所有している3歳児という存在の偉大さよ。

わしは、さらに、思いを馳せる。
自分も、30年前は、
親にそう思われていたのだろう、ということ。
食べたブドウがすっぱいというようなことを、
「甘くあって欲しい」と、たぶん思われたのだろうということ。
幸せを願われたのだろうということ。

34歳の、取るに足らないおっさんに見えるかもしれないけど、
わしはその、幸せを願われた「将来」を、今生きているんだぜ。
だからわしも、がんばって大事に生きよう、
みたいなことを思う。

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by syun__kan | 2017-09-20 21:48 | 日記 | Comments(0)
東京タワー~三宅君と戸坂さんと、時々、黒柳徹子さん~
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こちらの画像をご覧いただきますと、
右下に、東京タワーらしきものが見えると思います。
これ、わしが作ったものです。
自分の作品がプロレスの試合で使用されたということで、
昨年ブログでも書きましたが、
正規の商品となって発売となると、また嬉しいものです。
どこにも名前の出ない、些細な助力ではありますが。
(万一、購入したいという方がいましたら、こちら→http://michinoku.thebase.in/items/7899281

昨年12月のこの試合、
わしの17歳の頃からのライバル、三宅感氏と戸坂明日香氏を誘って観に行きましたが、
戸坂明日香氏は、
「今はアンドロイドを作る会社に勤めている」
と話していました。

今年の7月に、三宅感君の特別展示が青山の岡本太郎記念館であり、
アーティストトークの日に、わしは観に行きました。
トークは狭い館内に満員御礼で、
客席を見ると戸坂さんも来ていました。
トークが終わって夜8時過ぎ、出番を終えた三宅君が記念館から出て来て、
色々な人たちとダンゴになって地下鉄の表参道の駅まで歩き、
改札前でそれぞれの乗る路線に分かれる前に
(そこまで行くと三宅君と三宅君の友人のかーくんと戸坂さんと戸坂さんのお知り合いの方とわしの5人になっていて)、
輪になって突っ立って、
すきっ腹を抱えて1時間以上立ち話しました。

色々な話をしましたが、そこで戸坂さんが言っていたのは、
「今は、内密だけど、うちの会社は、とても有名な女性のアンドロイドを作ってる。
この間、私が、ご本人の顔を計測した」
とのことでした。
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昨日ニュースを見てびっくり。
わしの些細な東京タワーより、遥かに派手に、
ニュースを賑わせる、黒柳徹子さんのAI。

盛り上がって、
戸坂さんに「ニュースで見たよ!おめでとう!」とメールしてみたら、
しかし作ったのは、主に別の社員さんで、
戸坂さんは、それほど関わらなかったとのことでした。
少しだけ、東京タワーと、カラーとシルエットが似てますね。

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by syun__kan | 2017-09-15 22:00 | 日記 | Comments(0)
限界について
風呂上がりに、腰にタオルを巻いた状態で、
台所に立って洗い物していた。

洗い物も終盤に差し掛かったところで、ふと、
鼻がかゆくなった。
しかしながら、わしの手は濡れ、
泡にまみれているので、
すぐには掻くことはできない。

水道で手の泡を洗い流して、タオルで拭けば、
鼻を掻いてかゆみに対処することもできるが、
できれば今やっている仕事を、このまま最後まで全うしたいと考えた。

それに泡を、
大して活躍させないままに洗い流してしまうのも、
何かもったいない。
現在の泡を、皿やコップを洗うことによって順当に消化させたい。
泡にも五分の魂、というようなアニミズム、というよりはたんなるケチ的な思考だ。

そうこうしているうちに、鼻のかゆみは、
いっそう強くなっていく。
もしかしたら、一時的なもので、掻かなくてもやり過ごせるのではと期待していたが、
見立ては外れたのだ。
かゆい、かゆいのである。

しかしわしは耐える。
前述のような、始めたことを最後までやっちゃいたいというこだわりと、
「MOTTAINAI」の精神によって。

だがしかし強烈にかゆい、
壮絶に!!

すると、ぞわぞわぞわっ!!と、
わき腹から寒気のようなものが上がって来て、
上半身一帯に鳥肌が立った。
わしの体が、ささやかに限界突破したのだろう。
あっという間の出来事だった。
かゆくなり始めから、限界突破まで。

わしは否応なしに、強制的に、手の泡を洗い流し、
誰かと争うようにタオルで手を拭き、
即座に鼻に手をあてがい、掻いた、
ボリボリボリボリと。
ボリボリボリボリ。
わしの両目から、涙がダーッと溢れ出た。

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by syun__kan | 2017-09-09 00:22 | 日記 | Comments(0)
江口洋介、ホームレス、蟻等に関する思い出
記憶はどんどん薄れてしまうものなので、
たまには思い出話を書こう。

大学1年の頃、
わしは初めての東京住まい(外れだが)を良いことに、
しょっちゅうプロレスを観に行ってた。

その夏は2002年、
新日本プロレスのG1クライマックスが両国国技館で連戦で開かれ、
わしは奮発して2日間連続でチケットを取り、観に行くことにした。

1日目の8月10日、わしは下宿の最寄である橋本駅から電車に乗り、
夕方に両国着。
2階の後ろの方から観戦、
メインは高山善廣VS西村修で、
西村が無我殺法で高山をかなり翻弄したが、
最後は高山が勝ったことを覚えている。

会場を出て夜。
明日8月11日は、昼過ぎ、
確か14時くらいから試合開始。
橋本まで帰って下宿で寝るのが道理だが、
わしはあほまっさかりの絶賛19歳なりたて。
1時間以上かけて橋本の自宅にたどり着き、深夜に寝て、
翌日昼過ぎにまた両国まで出直すのは、
めんどくさいしお金がもったいないと、考えた。
確かに、なけなしのお金で買ったチケットであり、
金欠な状態ではあった。
しかしながら、せめてネットカフェとかを利用すればよいのに、
野宿しようと考えたのは、
今思うと、無事で良かったねという感じだ。

すぐに寝付かれるわけはなく、
国技館周辺をうろついていると、
夜の公園で、何かの撮影隊がロケをしており、
野次馬が少し群がっている。
どうやら、江口洋介がいるらしい。
わしは、たまに「江口洋介に似ている」と言われたことがあったので、
嬉しくなって、
接近を試みた。
ADさんと思われる若い女性と話しながら、
撮影隊から江口さんが一瞬離れたとき、
わしは江口さんの背後に近づき、
目と鼻の先の距離で立った。
江口さんは、わしと同じかそれ以上の高身長で、
ADさんと「セッタ」(当時少し流行っていたサンダルの一種)の話をしていた。

江口さんは再び撮影隊の群れに戻っていき、
わしは引き続き野次馬の一人として使い捨てカメラで撮影しようとしていたが、
やがてスタッフさんに「迷惑なんで」と遮られ、
接近は終了した。

似ていると言われることもあったが、
身長や顔の部分的には似ているのかもしれないが、
その他の大部分、ほぼすべての面で、江口洋介とわしはかけ離れていると、
何だか思い知った気がした。

その後さらにうろつき、
深夜に、国技館の徒歩圏にある大きなお寺に着いた。
そこには玉砂利を敷いた広い庭があり、
庭を囲むようにベンチが点在していて、
その一つにわしは座った。
道も近いので、ひと気が全くないわけでもなく、
20メートルほど離れたベンチの下には、ホームレスの方が寝ていたりして、
無人なのよりも安心感があった。

眠気は全く起きなかった。
こんな所で眠っては危ないと、本能が感じるのだろう。
確かに、学生時代にはこの機会の他にも何度か野宿を試みたが、
うつらうつらはするが、ちゃんと眠れたことは無い。
この時も、わしは眠ることを諦め、
一晩中、そのベンチに座っていた。

やがて空が白み始め、わしは早朝の両国周辺を散歩した。
そして、またあのベンチで時間を潰そうと思い、お寺に戻ってきたのだが、
今度はお巡りさんが群がっているのだった。

警官の群れの中心は、昨夜から今朝にかけて、
下にホームレスの方が横たわっていたベンチだった。
わしは気になったので、近づいて警官に話しかけると、
ベンチの下で人が死んでいたとのこと。
「ああ、その人、昨日の夜から横になってましたよ」
とわしが言うと、
お巡りさんたちが一斉にこちらを向き、
「それは何時頃?」
と聞き、何人も同時にメモを取り始めた。
その場でわしは、昨夜から今朝にかけての動向を、
「プロレスを二日続けて観るために電車賃をケチって」という動機まで、
詳しく聞き取られたのであった。
最後に、
「もしかしたら電話するかもしれないので番号教えて」
と言われ、携帯番号を伝えたが、
その後電話は無かった。
順当に、というか…
特に事件性は無く、
ホームレスの方が、ベンチ下に横になり、そこで力尽きたということになったのだろう。

19歳になったばかりのわしは、
「自分は江口洋介と、ホームレスの、中間くらいにいる」
と、なんとなく思った。

昼過ぎにプロレスが始まり、
昨日勝って決勝にコマを進めた高山善廣を、
蝶野正洋が、ケンカキックの乱れ打ちにして倒し、
G1クライマックスに優勝した。

わしは今度こそ京王線に乗り、橋本の家賃3万5千円の下宿に帰った。
すると、部屋の中に蟻がいた。
2センチくらいある、女王アリみたいなサイズの蟻だ。
よく見ると、いっぱいいた。
昨日出発する際に、部屋の真ん中に放置していった、
「プリンパフェ」の空き容器に群がっているのであった。
6畳一間に何十匹もいる巨大蟻、
どうしたら良いか全く分からず、
結局わしは、チャッカマンで一匹ずつ燃やした。
それしか思いつかなかった。
蟻は悶え、死ぬ瞬間に、何とも言えない嫌な臭いを出した。

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by syun__kan | 2017-09-03 23:13 | 日記 | Comments(0)
子どもだましなんてない
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「子どもだまし」という言葉を、昔よく聞いた気がする。
「子どもはそんなものが欲しくなっちゃうのか、そんな子どもだましなものを」
みたいな感じで、
そう、自分が子どもの頃に言われた。
自分が好きなもの、欲しいものを、
「子どもだまし」と言われて、
何か少し複雑な気持ちになった覚えがあるが、
いざ自分が大人になり、
教員になったり父になったりアーティストになったりして、
見渡してみると、
世の中の子ども向けのものにおいて、
作品や教育や食品や玩具等において、
「子どもだまし」なものなんてほとんど見受けられない。
わしの周囲に関してのみ言えることなのかもしれないけど、
ほとんど全部真剣勝負で作られている気がする。

例えばこの夏は、
3歳の娘とプリキュアショーを数回観に行く機会があった。
わしはプリキュアなんて昨年まではさっぱり知らなかったが、
娘が観るようになってからの今期に、一定の知識を得て、
基本的なフォーマットくらいは理解した。
今期の「キラキラ☆プリキュアアラモード」は、
スイーツと動物をモチーフにしている。
様々なメディアミックスが盛んに行われ、
特に夏休みのような時期には、
オーバーマスクを使用したショーが各地で観られる。
文化会館の大ホールで観たショーは、悪者が出てくるストーリー仕立てで、
最後には歴代プリキュアが大挙して押しかける阿鼻叫喚となり、
池袋の「キラキラ☆みんなのパティスリー」で観たものは、
悪者は出ずに、プリキュアたちのダンス中心で、
どちらも、3歳~5歳くらいの女の子たちが、
普段家で観ているものを大勢で共有できるの喜びの中、
叫ぶように皆で歌い、
わらわらと皆で同じ振り付けを踊るのは、スーパーほほえましかった。
そして池袋においては、目の前まで来たキュアジェラートが、
目が合ったわしの娘に対して投げキッスしてくれて、
わしは感動して涙が出そうになった。
娘はキュアパルフェまたはキュアマカロン推しなのでわりとさらっと受け流していたが、
しかしわしは、深く感動していた。

ここで「子どもだまし」という言葉について考えてみると、
このキュアジェラートは、中身にはダンサーさんが入っていて、
そのお姉さんはすでに40代なのかもしれないし、
先ほどの休憩時間にコンビニで買ったじゃがりこをボリボリ食べていたかもしれず、
要するに「本物」のキュアジェラートではないと言うこともでき、
そういう意味では「子どもだまし」なのかもしれないけど、
しかしながら、難易度の高いダンスはたゆまぬ努力の賜物であり、
30分のダンス~15分の握手会、15分の休憩を挟んでまたダンス、それを一日、
という超ハードスケジュールをこなしつつ、
しなくても給料は支払われるであろうアドリブのキッスを、娘に投げてくれたダンサーさんの、
心意気というか、生き様が胸に迫ってきたし、
その存在を超え、
ダンサーさんが心意気を以てして守り、高めてくれたキュアジェラートのイメージを、
わしはその、何というか、
うーん…
八重歯がチャームポイントの、
テーマカラーが青で、アイスとライオンがモチーフの、キュアジェラートのことを、
何というかその、うまく言えないんだが、
昨日の8月27日が設定上の誕生日である、キュアジェラートについて、
そう、プリキュアは実在の人物ではないが、誕生日が設定されているらしくて、
そのまあ、要するに、
ほんの少しだけ…
ごく少しだけね、
オタクと呼ばれる人たちが、
二次元に感情のエネルギー注いで生きているフィーリングの、一端を、
理解しそうになり、
踏みとどまったりした。

さて、感情の揺らぎを露呈してしまった可能性があるので、
姿勢を直してえらそうなことを書いて終わろう。
わしが創作活動を行っている原点は、
幼稚園年長さんの時に観た映画「ゴジラvsビオランテ」である。
子どもだましの怪獣映画と言ってしまえばそうかもしれないが、
芦ノ湖に巨大なバラが立ち上がり、逆光に照らされるシーンなど、
制作者が本物の芸術を目指して作っていることは明らかだった。
あの時わしは、良い意味で、永遠に消えない傷を付けられたのである。
現在の、プリキュアも面白いし、Eテレの子ども番組も素晴らしい。
これらを享受した子どもたち、
池袋でわらわら踊っていた子どもたちが、将来どんなものを作るか、
楽しみに、心して待つ。

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by syun__kan | 2017-08-28 22:38 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作あとがき
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このようにして、
わしは2週間の滞在制作においてヤマタノオロチを完成させたわけだが、
昨年、同様に滞在制作して、「大人魚姫の城」を完成させた時ほどの、
涙ぐむほどの感動と自己陶酔はない。
数日の準備期間と、丸々2週間の時間、
あとたっぷりの新聞紙と200個のガムテープがあれば、
わしが大型の作品を一個作れるということは、
昨年の経験から、実証済だからだ。
一度経験したことは、どんどん「普通のこと」になっていく。

でも、思い返せば、
島根に出発する前は、
仕事と家庭という、通常業務の忙しさから頭が回らず、
プランがまとまらないことへのプレッシャー、
ほんとに2週間で仕上げられるのか?そんなことできるのか?
という強烈な不安に苛まれ、
泣き出しそうになってたのは、どこの誰だっけ?
みたいな記憶もある。

条件さえそろえば、実現できる。
しかし、集中できる条件がそろっていない時は、
「自分は条件さえそろえば、実現できる」ということさえ、
信じられなくなるというか、忘れてしまうものなんだな、と思った。
そのようにして、人は自分の可能性を狭め、
日常に埋没していくのかも…
だからやはり、今回の様に集中できる機会を与えていただくということは、
非常にありがたいことだと思う。
大げさに言えば、アーティストとしての命の恩人である。

今後もだ、関口に、
2週間強の時間と、たっぷりの新聞紙と200個のガムテープを与えれば、
関口は大型作品をこしらえる。
全国の学芸員の方々、ご一考を。
ただし、来年の夏休みは、教員免許の更新講習があるかもなので、
今年と同じような時間の取り方はできないかもしれない。
また、関口は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、
何か大きい人物像を作りたいという野望を持っている。
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なので、それの制作を、やらせてくれる、滞在制作、
なーーんていうのが理想中の理想だけど、
そんなにうまくなんて行かないってことは34歳、そろそろわかった。

今回の滞在制作では、
初日の前夜に、プランを練るところから日記を書いていたので、
「結局どうなった」ということについても、
造形的な視点から日記を書いておこう。

前夜の日記で、
先人たちが表現した様々なヤマタノオロチの形を紹介したが、
結局わしは、
犬みたいな四つ足の体があるスタイルを採用したということになる。
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しかしながら、体の中に人が入って通れるようにするため、
ポーズは腹這いとした。
でも今考えると、四つ足で立っているままの体勢でも、
階段?梯子?滑り台等を付ければ、体の中を通れるようにできるな…
そこまでの大工仕事はさすがに自信が無いが…
いつか高床式の通路も、挑戦してみても良い。

浜田市に来てから感じた一つの課題として、
島根県浜田市における「神楽」の存在の大きさがあった。
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すなわち市民の皆様は、神楽に登場する、
ド迫力の立体造形のオロチに普段から接しているわけで、
同じ土俵でオロチを作っても、負けてしまう。
神楽のオロチと違う持ち味の、オロチを作らなくてはいけないということ。
その解決策として、
わしはオロチをピシッとさせた。
神楽のオロチは、グルグルとうねり、動き回るわけで、
すなわちアメーバのような不定形なのである。
わしは個人的に、彫刻作品の魅力は「屹立」「起立」だと思っている。
重力に逆らって立つということ。
物というのは普通、低く平らに置くのが一番安定する。
立てて置くことで安定する物もあるが、
風が吹いたり、地面が揺れたりすれば、
基本的にみな、倒れて低くなり、
これ以上低くなれないところで止まる。
万物は、常に重力によって、下方向に引っ張られる宿命にあるのだ。
そこを、敢えて物を立たせる!屹立させる!
この、自然の法則に対する反抗こそが、
彫刻の肝なのだという気がする。
だからわしは彫刻には空間の中で「立っていて」欲しいし、
なるべく高く立ったものに憧れる。
神楽の舞台で演じられるオロチは、本当に凄まじい迫力なのだが(実際に島根県に行って観てみると良い)、
しかし人が入って演じる以上、人の背以上には高くなれないのだ。
だからわしは、オロチの首を上に伸ばして屹立させた。
そして、真っすぐに伸ばすことで、グルグルうねうねの、不定形感をなくした。

もう一つ、神楽のオロチは、禍々しい怪物として描かれる。
愛嬌はあるが、表情や動きのベースは「禍々しさ」だと思う。
だからわしのオロチは、もう少し明るい、飄々とした、健康的な感じを狙った。
うまく表現できたかはわからないが…。
ウロコも付けなかった。
付けるのが非常に手間(大人魚姫で経験済)ということもあるが、
付けてしまうと神楽のオロチと同じ土俵に乗ってしまう気がして、
しれっと省いた。

まだ展示室に置いたわけではなく、
狭い搬入口で仮組みしたので体正面から全体像を見ることがまだできていないけども、
今回の作品は、わりと気に入っている。
「大人魚姫の城」が、片面から見ることを想定して裏面を造形していない、
いわばレリーフ的な作品だったのに対し、
今回のオロチは、360度から見れる「丸物」に近い。
そういうのは久々だったので、楽しかった。
また、浜田市世界こども美術館が、常に子どもたちが出入りし、造形を体験し、作品が飾られ、
図工的な息吹が循環している施設だったので、
自分が作っていて内向的にならなかったのも良かった。
(イメージアップの為にちょこっと子どもが楽しむ何かが用意されているオシャレ空間とかでもなく、
本気でがっつり図工の美術館だった)
大人ばかりが出入りし、うんちくばかりを述べるような場所だったら、
わしの思考も沈殿し、
「オロチの形を聖堂になぞらえて禍々しさの象徴としてキリスト教をうんたら…」
みたいな、
しょうもないコンセプトを付け加えていたかもしれない。
でも今回のオロチは、そんなん全然ない。
何か形を、物を作る楽しさだけで押し切れたと思う。
美術館のおかげだ。

そうそう、美術館の職員様は本当に優しかった。
昨年の広島で担当してくださった学芸員さんは、緊張感と圧があり、
制作中のわしの作品の進度を、まさに睨めつけるようにチェックし、
その緊張感に学芸員さんの本気とプロ意識を感じてむしろ感動し、
それはそれで大好きで、感謝に堪えない思いだったが、
浜田の方々は本当に穏やかに見守ってくださった。
朝ホテルに迎えに来てくださり、帰りはわしの作業終了に合わせていただき、
数々の計らい、
ご家族の方々も含め、本当にありがとうございました。

そして送り出してくれたわしの奥さんと娘もありがとう。
奥さんには、浜田の物産店でわりと高いお酒と、タコの燻製を買った。
娘には、パンダのペンケースと、鹿のポーチを買ったが、
浜田で買う時間がなく、高速バスに乗ってから新幹線に乗り換える際、
広島駅で見つけたものであることは、
申し訳ないと思っている。

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by syun__kan | 2017-08-16 21:13 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作14日目(最終日):夏休みの工作がんばり過ぎたw
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「息子が夏休みの自由研究の工作がんばり過ぎたw
どうやって学校持っていくんだこれw」

等のタイトルを付けて、
yahooニュースのトップで紹介したり、
ジャスティン・ビーバーさん的な人にツイートしてもらって拡散したりすれば、
少々話題になるのかもしれないが、
残念ながらわしは小学生ではなく、
34歳のおじさんである。

しかしながら、じゃあこれは何なのだろうと考えてみると、
小学生ではないにしろ、これは、
「夏休みの自由研究の工作」
以外の何物でもない。
「自由研究」という言葉自体に、
既に「夏休みの重たい宿題…」というイメージが手垢のように付きまくっているが、
「自由」でしかも「研究」って、本来は非常に前向きな言葉であり、
34歳のおじさんが自由になって、真剣に研究すると、この様な形になった。

まあ、考えてみれば、
わしが新聞紙×ガムテープの工作をやり始めたきっかけは、
小学校3年生の夏休みにステゴサウルスを作ったことだったし、
小5の夏休みにはケラトサウルスを作り、
高校生の時にジャイアント馬場を作り、
大学に行っても社会人になってもやり続け、
現在は職場の夏休み期間に取れる有給休暇を命綱にして制作を続けている、
いわば「夏休みアーティスト」なのだから、
夏休みの宿題が永遠に終わらない人生なのかもしれない。

しかしながら、社会人になってからの工作は、
企画展の一つの展示室を自分の造形物で成立させる、
あるいは色々な費用が掛かっているということによって、
「責任」がはっきりと生じるという点で、
小学生の頃と異なる。
小学生にも8月31日という締め切りはあるかもしれないが、
社会に出るとなお一層、「できませんでした」では済まなくなる。

そういった意味で、この2週間の滞在において、
本日になり、ようやく丁度完成させられたという安堵感は大きい。
展示作業などの仕事はまだまだ残っているが、
契約不履行のような事態は、ほぼほぼ免れた。

作品はしばらく保管し、
「新聞紙の変身展」というタイトルで、
浜田市世界こども美術館において10月14日〜 2018年1月14日に展示される。
3日目の日記に登場したミウラさんが作ってくださった丈夫なスロープにより、
ヤマタノオロチの中は車いすでもベビーカーでも入ることができる。
サンダーストーム・チャイルドも展示予定。

今日はもう一泊し、
明日高速バスと新幹線において、一日かけて帰京する。
その道中に、もう少し造形的な視点で作品の解説を書こうかしらと思う。

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by syun__kan | 2017-08-15 23:02 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作13日目:こちら浜田
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今日は形が概ねできたので、壊れやすそうな部分に、ボンドを塗布した。

夏が終わった。
こちら浜田では。
一昨日の夜に終わったと思う。
一昨日夜に、外を歩くとき、肌寒さを感じた。
昨日は、気温は高かったが、空気が乾燥していた。
今日は湿度は高めなものの、気温が低い。
いくつかある「夏的要素」が、すべて揃うことがなくなった。
おそらくもうないと思う。
東京も同様だろうか?
夕方にはセミがカナカナ鳴いている。
また今年も、美術館に籠っているうちに夏が終わってしまった。
でもまあ残念ではなく、わしなりに夏を満喫した結果だ。

帰りがけに、外を見ると、
閉館の時間を過ぎているというのに、
一階の出入り口外に、大人がスマホを持って集まっている。
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学芸員さんに聞くと、
「ポケモンGO」とのこと。
まだいたのか!そういう方。
よく分からないけど、美術館周辺は、
「ジムになっている」
「ボールを増やせる」
らしい。
こちとら、どう考えてもポケットに入らないモンスター作ってるけどな…

デジタルvs手作り論争ってあるけど、
わしはどっちでもいい。
子どもが享受する遊びやエンタメやアートも、
デジタルと手作り、どちらも食らえば良いと思う。
それぞれの良さがある。
ただ、わしがデジタルが全くできないだけだ。

ヤマタノオロチの高さを測ったら、4メートル30センチだった。
わしの大型作品の中では、そんなに大きくない。
横幅はたぶん、6メートルくらい。

疲れが相変わらず溜まっているので、今日はやや早めの18時過ぎに制作を切り上げた。
こちら浜田では、夜は雨なり。
ホテル近くの、「まめだ」という定食屋、
滞在初日の夜に入って唐揚げ定食を頼んだら、
骨付きの大迫力の唐揚げでしかも650円で素晴らしく、
またあの、小さくて白くて四角い、「板前さん」って感じの帽子を被った厨房の方々のキビキビ感が良くて、
その後もう一度行った。
滞在制作ももう少しで終わりなので、またもう一度、あの唐揚げ定食を食べたいと思ってのぞいたら、
今日は満席だったので諦めた。
お盆になり、浜田駅周辺に滞在する人が目に見えて増えている。
いわゆる帰省をしているのだろう。
浜田駅周辺は、風向き次第で潮の香りがしたりする。
マクドナルドもスターバックスも無いので、
フォレオフィッシュやキャラメル・マキアートは存在しないが、
そのかわりお魚がすこぶる美味しく、
だいぶ慣れ親しんできたこの周辺、
しかし馴染んできたところでもうすぐお別れである。
ほぼ毎日行っている「YOUMEマート」に行ったら、おそばが75%引きで吹く。
このスーパーはギリギリの商品に対して思い切った値引きに出る。
これまでも何回か吹いた。
ヤマザキの菓子パンが75%引きになってたりするからだ。

家族を連れて、海水浴にでも、また浜田に来たいな等とも思うけども、
一方で、そんなことは実現しないだろうとも思っている。
お金も時間もないのである。
感傷的になりそうなところだが、そこはあと一日頑張って、
キャラメル・ガチアートを作ろう。

キャラメル・ガチアートって何かって?
子どもが見て楽しい、体験して楽しい、
一見甘いお菓子のようだけど、
でも子どもだましなんかじゃないガチなアートを作ろうってことだよ!!
なんのことやら!!

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by syun__kan | 2017-08-14 21:34 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作12日目:内装工事
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今日は8本目の首を付けてから、
あとはひたすら、内装工事していた。
内側に入ったときに、木の骨組みが見えないようにして、
トンネル的にする作業だ。
昨年作った「大人魚姫の城」も、中に入れるようにしたところ、
子どもたちが出たり入ったりして、妙に楽しんでいたので、
今回もそのような仕様にする。
中に入って、特に何があるわけでもないのだが、
中に入れるということだけで、それ自体が一つの軽いエンタメとなるよう。

学生の時に、立体作品でお客さんを圧倒するための3要素として、
「大きさ」「数」「密度」
を思いつき、
そのうちのどれかを取り入れて制作するという、一つの法則のようなものにたどり着いて実践していた。
何かすごいおっきいとか、
数がものすごいたくさんとか、
何かすごいぎっしりとあるとか、
そういうものを目の当たりにすると、人は大体、
圧倒され、感じ入ってしまうものだ。
これは世界の宗教建築や宗教的美術作品から学んだ。
どの宗教的な施設も、必ずこの3要素を取り入れている。
宗教は、無条件に人を圧倒して、感じ入らせて、
メンバーを増やしていかないといけないからね。
ただ、3要素の他に、実はもう一つあると気付いていて、
しかしその要素は、在学中は実現できていなかった。
何だと思う?
それは「内包」だよ。
作品で、その人を包み込んじゃう。
そうすると、その人は無条件に圧倒され、感じ入ってしまうものだ。
昨年の「大人魚姫の城」で、ようやく実現できたというわけ。

今回のヤマタノオロチも、
中に入ると、作品に内包される。
でも、「関口教を信じよう」とは思わないだろうけど。
たぶんただ何となく楽しいだけだ。

さあ、制作はあと2日間。
まだまだやることあるよー。
ほんとに最後まで、予断を許さないぜよ。

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by syun__kan | 2017-08-13 21:16 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作11日目:ただごと
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今日は首を付けた。
それにより、徐々にただごとではない感じになってきた。
ただごとに関しては、かなりない感じになってきた。
学芸員さん、清掃員さんも、
こうなってくると、
「ああ、これまで新聞をガムテープで巻き続けていたこの男は、
こういうただごとではない男だったのか」
という目になる。
そう、わしはまあまあただごとではない。
というかただごとではいけないのである。
2012年の、岡本太郎賞受賞者なりぞ。
このくらいやらなければ、太郎さんに怒られる。
三宅一生さんにも、顔向けできない。
しかしながら、代償として、
今わしを、究極強烈疲労が襲っている。
きょうはやばい。早く寝よう。
イモトアヤコさんが、エベレスト登山に挑戦しているとき、
「人間、一年に一回くらい、
とことん自分を追い込むことをした方が良い」
というようなことを言っていた。
わしも賛成である。
せっかく2週間もらったのだ、
これはただごとからの逃避行でなくてはならない。

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by syun__kan | 2017-08-12 21:40 | 日記 | Comments(0)



現代芸術家、関口光太郎の日記。
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