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島根滞在制作5日目:ワークショップと雑炊

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本日は広島に原爆が落ちた日。
ホテルに迎えに来てくださった学芸員さんの車に乗るのがちょうど8時15分で、
車の中のテレビで式典の中継を見た。
昨年はわしは式典会場にいた。
黙祷。
浜田市は、広島から近いので、
原爆投下の際は逃げてきた方、温泉で治療に当たった方がいたという。

会場に着き、5日目がスタート。
わしの作品は、小さいパーツがたくさん付いている。
わしはそれらのパーツを、「具」と呼んでいる。

今回の作品も、ヤマタノオロチの体のこちら側には、「具」がいっぱい付いているが、
反対側は、展示する際にあまり人目に付かない予定なこともあり、
平らになっている。
平らな面はどのように作るかというと、
新聞紙をくしゃくしゃにして、
ちょっと広げて平らにつぶしてテープを縦横に貼りつけてシート状にし、
木材と針金による骨組みを、覆うようにして取り付けている。
わしはその、平らにした新聞紙とガムテープのシートを、「皮」と呼んでける。

内側は木と針金による「骨」。
「具」と「皮」と「骨」。

そうそう、ヤマタノオロチに関しては、手足や首は、中は空洞ではなく、
中身までぎっしりと、くしゃくしゃにした新聞紙が詰まっている。
さながら「肉」だ。

なお、本日はワークショップがあった。
当初参加者が集まらなくて若干困っていたが、
蓋を開ければ17名の方と、楽しく活動できた。
床にばら撒いた大量の新聞紙であそび、
ややあって、
最後にはカラーガムテープも使用して自分の好きなものを作った。
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昨年の広島での展示を観て、今回も隣県である島根まで訪ねて来てくださったご家族もあり、
感激した。
10時から休憩を挟んで14時まで活動し、
皆様が帰られた後には、
活動によってくしゃくしゃ、しわしわになった新聞紙が、
まだ大量に散らばって残されている。

良い出汁が出ている。

一枚一枚が分離し、既にくしゃくしゃになっている新聞紙は、
制作を進めるのに非常に使いやすいのである。
だって、一冊一冊になったままの新聞だと、それを一枚ずつ引きはがし、
手でくしゃくしゃに丸めるところから始めなくてはならない。
集団遊び後の新聞紙は、その工程が要らないのでありがたい。
ワークショップ後の時間、わしは散らばったくしゃくしゃの新聞紙の中に座り、
新聞紙をかき集めながら、
150センチくらいの、ヤマタノオロチの尻尾を、
立て続けに6本作った。
まるで鍋が終わった後の汁で「雑炊」しているみたいだった。

どうしてこう、さっきから、
料理系で例えているのだろう。
正直あまり訳が分からないというか、必然性がない。
少し疲れているのかもしれない。
ワークショップをフルサイズで一本行うと、それなりに消耗するものだ。

そういえば今日、美術館を訪れた子どもたちは、
帰るときには立派な万華鏡を、携えて帰っていた。
別の部屋で万華鏡作りのワークショップをやっていたようだ。
聞けば70人も参加したとのことで、
「すごいですね、準備とか大変でしたね」
と、学芸員さんに声をかけると、
忙しい時期なので今回は既成の工作キットを使ったのだと。
そういうのも時としてはアリであろう。
わしは、
「冷凍食品みたいなものですね」
と言った。

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by syun__kan | 2017-08-06 23:10 | 日記 | Comments(0)

島根滞在制作4日目:既にある

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制作も4日目を終え、
そろそろ迫力のようなものも、醸されてきた気もする。

正直に述べると、浜田市世界子ども美術館のことはとても気に入っている。
建ったのは1996年ということで、
バブル期後ということ。
バブル期に建った美術館は、
ロビーが総大理石だったりとか、突如石庭があったりとか、
現在の社会的な雰囲気から見ると、何かすごいことしちゃったね!
という物件が多いけど、
こちらはバブル期後ということで、
だいぶ落ち着いてるというか、常識的というか、
建物はシンプル。
しかし中身は…
とにかく、子どもが何か造形的に体験できる企画を、
年がら年中、これでもか!これでもか!
と、打ち出し続けている。
そして、
作家による所蔵作品もあるが、
それらと同列に、子どもの作品が扱われ、展示される。

要するにだ、
わしは、どうして新聞紙×ガムテープアートをやっているのかと聞かれると、
「アートをもっと身近にしたい。
画材屋さんになんて行かなくても、
美術史の知識なんて無くても、
アートはできるんだよということを、伝えたい」
と答えているが、
ここ、浜田市世界子ども美術館においては、それは既に、実現されているのであった。
わしが改めてやって来てどうこう言うことは、もう無いのである。

そして夜には、浜田市のお祭りがあり、
終了後に神楽の公演が見られるとのことで、わしは美術館の職員さんに連れて行ってもらった。
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ついに本物を見ることができた、神楽のヤマタノオロチ。
舞台から溢れんばかりの、いや実際に溢れている8匹の大蛇が、
所狭しと舞い踊る。
ぐんずほぐれつ、あらん限りの形態を、その長い体で作り上げ、
火まで吹いて大暴れし、
最後にはスサノオノミコトに討伐される。
強烈な禍々しさ、しかしそれは市民の娯楽の一つとして老若男女に根付く。

大迫力の立体的なヤマタノオロチも、浜田市には、既にあった。
わしのやることは、特にもう無い?!

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by syun__kan | 2017-08-05 23:44 | 日記 | Comments(0)

島根滞在制作3日目:師匠

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ヤマタノオロチの体をトンネル状にするのだが、
中を通る人が躓かないよう、
コンパネを渡して、通路に段差がないようにする必要がある。

しなしながら関口の作った通路の骨組みは、角が直角のちゃんとした四角形ではなく、
実にいい加減な、技術・家庭科の片隅にも、
ホームセンターの片隅にも置けないような、
「なんとなく」「思い付き」「行き当たりばったり」の四角形なので、
コンパネをそれに合わせに切る技術など関口にはなく、
美術館ОBの”棟梁”ミウラさんに頼むことになった。

ミウラさんは本物の大工であり、
美術館で木工の造形物が必要になる際は、
助っ人的に仕事しに来てくださるらしい。
それどころか、地域の寺社の修理等も行う、
地元で一目置かれる存在とのこと。

9時半ころ、ミウラさんが木工室に来てくださる。
これこれこの様な物を作ってほしいと、慌ただしく説明するわし。
静寂の後に「いいよ。作れるよ」と言ってくださり、
道具を取りに行ったん家に戻られる。

しばらくした後に、手持ち式の丸鋸の他、
角度が変わる差し金や丸鋸専用の定規などを携え、
再びミウラさんが現れる。
わしの作ったいい加減な骨組みの中にしゃがみ込み、
道具を使って寸法を測り、コンパネに線を引く。
わしは傍らに直立不動、
作業を見守る。
担えるところを見つけて手を出す。
師匠と弟子の気分になる。
わしもこれでも「ものづくり」を生業とする者の端くれ、
ミウラさんの仕事の、一挙手一投足が勉強になった。
道具の使い方や、緊張感、言葉の端々。
途中、ミスしたときの、
「チッ!」
という舌打ち、
からの「ッキショ!」という大きなつぶやき。
そして「どうしてこうなったんか」と、のぞき込んで原因を探り、
「あーそうかー…」
と納得、
「んなこともあらあ」
と一言。
「チッ!」~「ッキショ!」~原因究明~「んなこともあらあ」、
これはたぶん今後の関口の人生で、
ボキャブラリーの一つになった。
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1時間半ばかりで、骨組みにぴったりはまる通路が完成。
ありがとうございました。
同じ「ものづくり」ではあるが、
棟梁の仕事は非常に計算され、正確なのに対し、
わしの仕事は行き当たりばったりの、ハッタリの山積みである。
ミウラさんのような、きっちりした仕事で地域に貢献することは、
たぶん一生わしにはできないであろう。
わしはわしのやり方で、
すなわちグシャグシャ、グルグル、ペタペタで、
何とか頑張るしかないわけだ。

そして午後になり、
昨日からとなりの創作室で、静物を写生していた中学生たちの講習会が終わる(昨日の日記参照)。
わしは昨日のうちに、顧問の先生に頼んでいたので、
最後の「閉会式」の際に、中学生の皆様の前で挨拶させてもらう。
途中から加わった閉会式、
講師の先生のお話、
生徒代表のお礼の言葉、
主催の教頭先生のお話、
体操座りできちっと整列して、静かに静かに話を聞く中学生たち。
この雰囲気、久しく味わってなかった…
最後の最後に、
おまけ的に関口が前に登場し、
自分が新聞紙とガムテープのアーティストであること、
6日にワークショップをすることを、
なるべくこう、フランクにお話しする。
笑い所も少し入れつつ。
しかし皆、表情緩まず。
静聴される。静聴「される」。
負けたぜ。

しかし講習会がすべて終了し、
帰りがけに木工室をのぞいてくれた中学生たちは、
少しフランクな感じで、興味を持ってくれていた(ように思う)。
6日の関口が講師を務めるワークショップ、良ければお越しください。
何かしらの感慨は与えられると思う。
きちっとした「師匠」にはなれないけどな!

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by syun__kan | 2017-08-04 22:23 | 日記 | Comments(0)

島根滞在制作2日目:感慨屋さん

断っておかなくてはならぬことが一つ。
今回の滞在制作は、公開制作ではない。
もちろん関口の作品も、現在は展示されていない。
展示が開始するのは10月になってからです。
この夏に2週間かけて作り、10月までバックヤードに保管してもらいます。

わしが制作しているのは、1階の木工室。
世界子ども美術館は、2階が入り口で、
展示は3階~5階で行われている。
1階は市民の皆様が利用する創作室等に割り当てられているので、
展示を観に来たお客さんは基本的に訪れず、
地下室のようにひと気がない。

木工室のドアはガラス張りだが、
関口が集中できるようにか、あらかじめ暗幕が張られていて、
窓にはブラインドが掛けられ、
確かに缶詰になって制作するには最適な環境。

アーティストが制作する様子を、公開しないというのはもったいない気もするが、
要するに、10月から行われる新聞紙アート作家の企画展に関口の作品を出品させたく、
しかし関東で作った大型作品を島根まで輸送するのは費用が嵩むので、
いっそのこと本人を呼んで滞在制作させた方が都合がよい、
という事情もあるのだろう。

今日の午前中は、昨日の続きでヤマタノオロチの体部分の骨組みを作る。
工具は十分に揃っているし、
過去の企画や展示で余ったものなのか、テイクフリーの木材も豊富にあるので、
造形天国的状況。
正午になって、ようやく新聞を揉み、ガムテープを巻き始める。

1階の様子が昨日と違うのは、
若干ひと気がある点だ。
となりの創作室には、静物が設置され、
体操着の中学生がたくさん、顧問の先生に連れられ、デッサンに訪れている。
複数校の美術部で合同で行っているのか、数十名はいそうだ。
材料を運ぶ時に廊下ですれ違う。
会釈。
廊下の端には、中学生の皆様のリュックが、ズラリと並んでいる。
彼らは静物デッサンに訪れた中学生ということが明白だが、
彼らから見たわしは、一体何物に映るのか?
わしの籠っている部屋は、暗幕が張られて見えないわけで。

そう思ったわしは、午後になって、ドアの暗幕を外した。
案の定、デッサン中に休憩等の用事で、廊下に出た中学生が、
ちらちらと、木工室の中の、
大きな骨組みに新聞紙とガムテープを巻きつける、わしの様子を見る。
まあ、見たところで、「一体何者」という疑問は一向に解決しないばかりか、さらに深まるかもしれないけど。
しかし彼らに、何らかの感慨は、与えられるかもしれない。
アーティストはそのために存在する。
感慨屋さんなわけだから。

夕方になり、中学生たちは帰ったようだ。
そして顧問の先生が、わしのいる木工室をノックしてくださった。
何と、昨年の、広島での展示をご覧くださったとかで、
関口の名前および作品を知っているとのこと。
何と光栄なことか。
東京から遠く離れたこの地で、関口のことを知っているという方に偶然に出会えるなんて。
そういえば、先日関口のブログにコメントをくださった方も浜田市出身だというし、
日本全国、もしかしたら世界各地に、
自分の「縁」というものはあるのかもしれない。

中学生の静物デッサン会は二日続きで明日もあるようなので、
わしも、新聞紙とガムテープによる制作が徐々に進む様子を、それとなく見せていこうと思う。
(そしてあわよくば、参加者が集まらず若干悩んでいる6日のワークショップに誘致したい)

前言撤回しよう。
制作はなるべく公開しています。
新聞とガムテープのアーティストを見てみたい方、いらしてくださいね。
一階にいます。
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by syun__kan | 2017-08-03 22:40 | 日記 | Comments(0)

島根滞在制作1日目:最初の一太刀まで

島根県は浜田市、世界子ども美術館における、
滞在制作1日目を終えて、
書きたいことはいろいろあるけど、
まずは浜田市という場所がどのような場所であったかを、述べる必要がある。

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写真は昨日。
益田駅に着き、電車で浜田駅に向かう、一両編成の山陰本線から見えた、
太陽が沈みかける日本海。
もこもことした山々から、すぐに海。山々の形の流れを汲んで海に浮かぶ島々。
どうやらこの地方の特徴的な風景の一つのよう。

そして神楽。
19時過ぎに浜田駅に着くと、のっけから看板、ポスター、石像などに、
神楽のイメージが目白押し。
「親しまれている」どころではない、
浜田において神楽は、ブラジルにおけるサンバのような、
一つの拠り所となるような代表的カルチャーのようだった。

チェックイン。

夜が明けて、
学芸員さんに迎えに来ていただき、
坂道を登って丘の上、
四角い箱にシースルーの窓がカーブを帯びて入る、
世界子ども美術館を訪れる。
青い空に、山に囲まれながら海が見え、
まさに風光明媚。
山陰。
この地方が山陰地方だということを、ここに来て初めて知った、無知な関口。
だんだん山陰のニュアンスを掴んできた。

美術館の中を案内していただく。
館内、子どもが作った様々な造形物が所狭しと掲示され、
さながら図工城。
作る、作る、作る、そして飾る、
徹底している。凄みさえ感じる。

来館者は、まずは5階に上り、
スロープを下りながら美術館の外周を巡るように、下の階に降り、展示を観ていく。
シンプルな外観の美術館だが、中はさすがに面白く作られている。
そしてこの独特な内部構造が、同時にここ数か月の関口の悩みの種となっていたのだった、
というのは、
自分が受け持つ展示室の構造もまた若干独特で、
訪れるまで、その空間を十分にイメージできないのであった。
そして今日ついに、目の当たりにでき、めでたしと言いたいところだが、
しかし戦いはここから。

わしは、設置する空間を目の当たりにして初めて、どんな造形にしようか、
正式に考えられるようになるんです。
ええ、そうなんです。
すんません。
ヤマタノオロチということは決まっている。
それをどのような形状で、どのような配置で、
どのような仕掛けを付けて、作って飾るか、
わしは9時半から、13時まで、
貴重な貴重な滞在制作時間をじりじりと消費しながら、
館内をうろうろ歩き回り、ひたすら考え続けたのであった。

もう少しで結論が出そう、
そういう時は「材」を見ると良い…
わしは学芸員さんに、ホームセンターに連れて行ってもらう。
骨組みにする木材が必要だ。
丘を降りて、港が近いジュンテンドーというホームセンター、
海の香りがする。
13時15分。
すぐには買うものを決められないわしは、
学芸員さんに頼んで、
そこに置き去りにしてもらった。

途中、東京の市役所から提出書類の不備を知らせる電話があったりして大いに思考を阻まれたりしながらも、
資材置き場が外にあるので太陽に照らされツーバイフォーの前で若干クラクラしながらも、
買うものを決めたのは15時。
ヤマタノオロチ、どんな形状にするか、
ようやく、ようやくイメージが形を結んできた。

学芸員さんに迎えに来ていただき、材を購入し、
ハイジェットに木材を積んで美術館に戻り、
作業部屋に運び込んで16時。
閉館まであと1時間やがな!
一日目は、大半考える時間に費やしてしもた。
まあ仕方ない。
仮に納得しないまま大物を作り始めたら大変なことになる。
わしは、ついに、固定型丸ノコで垂木に最初の一太刀を入れたのであった。

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by syun__kan | 2017-08-02 22:38 | 日記 | Comments(0)

島根滞在制作前夜:ヤマタノオロチ考

島根県に向かう飛行機の中なり。

島根県浜田市、世界子ども美術館において、
滞在制作および展示を請け負うことになったのは、
昨年末だったか。

何を制作し、展示するかということについては、
例によってさんざん頭を悩ませた。

その土地柄や、自分の作品を置く部屋の広さ、
地面・壁・天井の材質、
美術館や展示自体の性格やコンセプト(どのような作品が期待されているかということ)、
そういった諸条件に、
制作日数を兼ね合わせる。
プラスして、それが自分が本当に作りたいものかどうか。
作りたいものでなければ、エネルギーが持たないかもしれない。
さらに言えば、2020年に何か大きなものを完成させたいと思っているわしは、
この夏に作った物も、部分的には、
2020年の作品に活かしたい(使い回したい)と思っている。
さらにさらに、
今回受け持つ展示室は、けっこう広く、
ひと夏の制作物では埋まらないだろう。
となると、既存のわしの作品と、
新規制作のものを組み合わせることになるので、
旧作との組み合わせし得るもの。

のような感じで、
「何を作るのか?」という答えを出すのは、
非常にこんがらがった数式を解く様な強烈な煩悶がある。
特に、美術館の性質上、お客さんは子ども中心であり、
若干体験型(乗れるとか、入れるとか、作れるとか)である方が良い、
という条件をクリアするのが大変(昨年の広島もそうだったが)。

足がかりになったのはやはり、島根県に出雲大社があるということ。
要するにそれはスサノオがクシナダ姫をかこむために作ったやしろであり、
島根県は古代の神話の存在感が濃い土地なのであった。
出雲は県の東部で、美術館のある浜田市は西部なので、
両者はけっこう遠いのだけど、
神話を扱う神楽などは浜田市でも親しまれていると、美術館の方はおっしゃっていたので、
それを信じる。

しかしながら全然、わしは古事記、日本書紀などの日本の神話について知識がなかった。
スサノオとか大国主の命とかも、
出雲大社のガイドブックを読んで初めて知ったことで、
わしは少しずつ、本を読むなどして知識を得た。
ちょうど同僚の結婚式が鶴岡八幡宮であったりして、
式から披露宴までの時間に、本殿横の無料休憩所でそれ系の本を読むのはなかなか風情があった。

様々に検討した結果、わしが絞り出した結論はヤマタノオロチだった。
もう、総合判断としか言いようがない。
10月の展示では、過去作品で、何度も何度も展示している「サンダーストーム・チャイルド」をまた引っ張り出し、
群馬から島根まで運んで、
それをスサノオノミコトに見立て、
夏に制作したヤマタノオロチと対決させよう、という寸法だ。

そこまで決めて、わしはある程度安心し、以後思考停止していたフシがある。
神話という文で語られるヤマタノオロチを、どのように可視化するか。
それは相当な難題であるということに気付いたのは、
滞在制作開始まであと一週間に迫ってからだった。

いや、薄々気付いてはいた。
しかしながら、学期末の学校の仕事のせわしなさ、体力の消耗等々にかまけて、
現実逃避していたのだろう。
考えなくては、と思ってはいたが、頭が回らなかった。
いやいや、もしかしたら、そういうときわしは、
わしの深層心理は、
「ギリギリに追い込まれた時のヒラメキに頼りなさい。今は考える必要はない」
と言っているのかもしれず、
でも本当にそんなヒラメキが起こるのか、信用できないので、
頭が回らないわしは不安を募らせる。
そんな日々だった、最近は。

文章というのは、こういう場合、表現方法として一番制約がない。
古事記に書かれたその姿。
目はほおずきの様に赤く、首が8本、尻尾も8本、
体も山みたいに大きくて木が生えてる。
お腹は血が滴っているそうな。
書いたもん勝ち。
何だって表現できる。
それを、立体物として可視化しようとすると、非常に大変で、
誰だこれ書いたやつ!
無責任な描写しおって!
という感じ。

わしの頭を鍋として、閃いて出てくる結論をカレーとするならば、
とりあえず具材だけは放り込んでおかなくてはならぬ。
そんなわけで、自分なりのヤマタノオロチ像を結ぶため、
ここ数か月、いろいろと情報収集はした。
すなわち先人が、どのようにこの怪獣を視覚化してきたかということだ。

とりあえず、まずは画像検索してみると
この現代においては、ゲームキャラクターとしてのヤマタノオロチが多いことがわかる。
中でも最もよくあるパターンは、8匹の大蛇がグルグルとうねっている感じで、
部分的に雲に隠れていたりして全体像がよく見えない状態のもの。
体部分があるのかもよく分からない。
青森のねぶたとかで表現されるのもこのパターンが多い。
(ちなみに会田誠さんの巨大フジ隊員対キングギドラも、このパターン)
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もう一つのパターンとしては、犬みたいな四つ足の体があり、
首がとにかく8本生えている姿だ。
8本並べないといけないので、大変な肩幅になる。
東宝で平成に作られた「ヤマトタケル」という映画に出てくるヤマタノオロチもこのパターンだった。
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古い東宝映画の、三船敏郎が主演している「日本誕生」という映画も、
TSUTAYAで借りて観た。
それに出てくるヤマタノオロチは、
首から上が海から出ている感じで体は今一つよく見えないのだが、
尻尾はトゲが付いてて、チョボチョボしたホウキみたいでかわいい。
図式化するとこんな感じか。
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ちなみに、「シン・ゴジラ」を監督した庵野さん、特技監督の樋口さんらが所属していたグループが、
学生時代に自主制作した特撮映画「ヤマタノオロチの逆襲」も、
YouTubeで部分的に観た。
それは、ガメラに首が8本生えている感じでけっこう独特だった。
着ぐるみ化するためには、やはり胴体部分にボリュームが必要だったのだろう。
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他のビジュアル化の例としては、石見神楽におけるヤマタノオロチ退治の場面。
Youtubeにもたくさんあげられているので、観ることができたが、
やはり八又に蛇が分かれているというのを立体にするのはしんどいようで、
複数匹に蛇が分かれていた。
それらがとぐろを巻いたり火を吹いたりで、もう大変な迫力。
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といった感じで、とにかく皆、苦労している。
そして、それぞれの都合に合わせていろんな解釈をしている。

顔もいろいろなパターンがあった。
大きく分ければ、蛇タイプと龍タイプということになる。
どんな顔にするかは、非常に重要だ。
テンションを最高に上げるなら、ツノたくさんの龍のようになり、
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クール系にするなら、昔の天才てれびくんに出ていた「あっけら缶」のようになるだろう。
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飛行機はとうに降り、バスで益田駅に行き、
今は鉄道で海岸線を走って浜田駅に向かっている。
どんなヤマタノオロチにするか…
滞在制作開始を明日に控え、
わしは今、絶賛決めかねているのであった。

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by syun__kan | 2017-08-01 22:33 | 日記 | Comments(0)

島根へのメモ

昨日で職場の仕事が一段落付いた。

生徒が終業式を迎え、その後の職員だけ出勤する期間を経て、
段階的に緩めていた「気」が、
ついに緩みきる。

今日、明日、明後日は3日間休む。
今日など、一日何となく眠い。
気が緩み、自律神経が軽く乱れているのだろう。
娘と奥さんのママ友らとブルーベリー狩りなどに行きつつ、
しばしばあくびが挿入される。

しかしながら、緩めてばかりではいられないのである。
8月1日には、電車飛行機バス等を乗り継ぎ、
滞在制作を行う、世界子ども美術館のある島根県浜田市に行かなくてはならないのだ。
そのための準備をしなければいけないので、
備忘的に、それまでにやらなきゃいけないことを、メモしておこう。

まず、これまで毎日ちまちま作ってブログにアップしているパーツたちを、
ダンボール箱に入れて美術館に送らなければならぬ。
「2020東京五輪に向けて」という名目で作っているが、
今年島根で作る作品にも使用する。

加えて、カラーガムテープも送らねばならぬ。
関口の私物だが、長期間保存していて使っていないものがあるので、
テープも劣化するので島根のワークショップで使ってしまおうと思う。

あと、パーツを作るときの資料になる図鑑や写真集を4冊。

これらはまとめて、明日夜などにヤマト便の営業所に持っていこう。

あと、油粘土を買ってきたので、
ヤマタノオロチをどんな形にするか、
軽くマケットを作って考えておかなくては。
実はまだ全然完成図をイメージできていない。

荷物として、スーツケースに入れて持っていくのは、
着替え…下着類と、ズボン、Tシャツ、靴下。
3日分くらいあればよいだろう。
14泊することになるので、
ホテルにコインランドリーがあれば利用する。

他に、体洗うタオル。
ホテルの食器洗うみたいな平べったいスポンジ、または普通の手拭きタオルみたいなやつで体洗うのは、
なかなかにモヤッとするものだ。

ひげ剃り。および充電器。

歯ブラシはホテルの物を使えばよかろう。
ホテルのを拝借して昼にも使おう。

整髪ワックス。

あと爪切り。昨年広島で無くて困った。

ノートパソコン。日記を書くだろうから。

炊飯器は、本当は持って行きたい。
ご飯を無制限に食べられる環境設定にしておきたい。
しかしながら、今回はあきらめる。
そして、ホテルに朝食バイキングが付いているらしいから、それをびっくりするくらい食べよう。

移動中に読む本。
島根県浜田市は、わしの東京の自宅から、
ごく控えめに言ってとても遠い。
海外くらい時間がかかる。
最近はヤマタノオロチやその周辺について知るため、古事記を子ども向けに現代語訳した本を読んでいる。
DVDもできれば何か持っていきたいが、
TSUTAYAに行く時間はもう無さそうだ(子連れ世帯の休日は子ども中心にスケジューリングされる)。

名刺を印刷しよう。

領収書等を保管する袋を買おう。

あとiPad。およびそれをパソコンにつなぐための白いヒョロヒョロ。

そして月並みながら、
出発日に飛行機に乗る際に、台風が来ないことを祈る。
自然の前ではすべてが月並みなり。

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by syun__kan | 2017-07-29 23:06 | 日記 | Comments(2)

2週間アーティストでいさせて

日記を書く時、マイクロソフト・ワードに打ってからエキサイトブログにコピーペーストするわけだが、
コピーペーストされずにそのままデスクトップに残る、
要するに採用されない文というのもある。

デスクトップを整理していると、
そんな一つに、今年のゴールデンウィークに書いた文を見つけた。
ゴールデンウィーク、奥さんと娘は二人で出かけ、
わしは二日間くらい、フリーになったのであった。
一人で休日を過ごす機会は非常にレアなので、
なんとなく面くらいながら、どうしようか考え、
調べると、大学時代によく行った、町田の国際版画美術館で横尾忠則の展示をやっているとのことだったので、
それに行った。
そして帰って来て、そのことを日記に書いたのだが、
どうにも投稿できずにそのままに。

今読み返してわかる、どうして投稿できなかったかが。
横尾忠則の版画が、本当に意味不明だったからだ。

いや、単純な「芸術家の考えることはよくわからんなー」的な、
そういうことではない。
はっきり言って、こちらも美大卒なので、
大抵の芸術作品から、何かを感じ取ることはできる。
何かを受け止めることはできる。
美術館で、
「何だかよくわかんないな」
と言っている一般の方がいると、
「そうかー、わからんかったかー、残念だったねー」
と思う。

しかしながら、横尾忠則の版画は、
もっと確信的に、暴力的に意味不明だった。
大量に鑑賞していると、
最初の内の、猫の顔が大写しになったやつとかは感動するのだけど、
徐々に、寄せては返すカオスに次ぐカオスの波に体力、思考力を奪われ、
何も感じれなくなり、
そして徐々に明らかになるのは、

「この絵、本当に何も考えてない」

ということであった。
その次に、本当に何も考えていない絵を、堂々と、
長きに渡り、大量に打ち出し続けるということの、
エネルギーの膨大さと、生きる上での覚悟。
これを感じて、
今の自分とのあまりの差異に、
ショックを受けて傷を負ったのだ。

本の背表紙に載るような男になりたいと、昔思ったものだが、
本の背表紙が似合うのは、横尾忠則のような、覚悟を決めて何かしている男で、
自分ではない。明らかに。

てなことで、
30代半ばになって未だにこんな風に傷を負う自分のナイーヴさが何て言うか逆に愛しい。
横尾忠則が芸術に人生を捧げられるのだとしたら、
世の中の男が35億なのだとしたら、
わしがアーティストでいられるのは1年で2週間。
去年は夏休みに2週間、広島で滞在制作した。
今年だったら、
8月2日から8月15日までの2週間。
わしは、島根県浜田市の、世界子ども美術館で、
滞在制作をするのだ。
ヤマタノオロチを作るらしいよ。
8月6日にはワークショップもあるよ!(参加者現在あまり集まらず!求む!島根県の方!)
この2週間だけは、わしは、
教員でも旦那でも父でもなく、
アーティストになる。
それこそ、横尾忠則と同じレベルの集中度で、アートに向き合う。
それを許してくれ、諸々よ。

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by syun__kan | 2017-07-25 22:52 | 日記 | Comments(3)

害虫と平和

一戸建てに住み始めると、
玄関先にアリがうろついていたりして、
何かたまに集団でいたりして、
奥さんは「家賃払え」と言う。

確かに、断腸の思いで、
清水の舞台から飛び降りる思いで、
十字架を背負う思いで、
軽く半分くらい悟りを開くレベルで、
決意して土地家屋を購入したうちらとしては、
その金額は頭から離れない。
この柵の向こう側は隣家の物だが、
こちら側は、うちらの領土であり、
ジョン・レノンのイマジンなんて耳に入らない。
そんな状況下、フリーに我が敷地内を、
「我が家ですけど」という感じにうろうろされたら、
たとえ虫でも、見過ごすわけにはいかないわけであって、
ゲットバック、ゲットバック!
ゲットバックウェアユーワンスビローングという感じになる。
奥さんはさっそく、スマホでアリを駆除する方法を調べ、
「重曹を甘くして置いておくとアリが食べたのちにおなかで破裂するらしい」等、
物騒なことを言っている。

わしは一応、多面的なものの見方というものを述べて、
平和主義者としての矜持を見せておこうと思い、
「確かに、家賃払えって思うけどさ、
アリにはアリの、不動産みたいなのがあるのかもしれないよ。
地面はさ、元々は誰の物でもなくて、
そこにやってきた人間が勝手に分割して、
値段付けて、売ったり買ったりしてるけどさ、
アリにはアリの、土地取引があって、
地面を売り買いしているかもしれなくて、
うちの玄関でうろついているアリは、
3280万砂糖とか、2780万蟻酸とか、
それ相当の何かを、アリ界の不動産に支払ってそこにいるのかもしれないよ」

しかしその後、玄関付近にアシナガバチが現れ、
毎日うろうろするようになった。
奥さんはうろたえ、アシナガバチについて調べ、
しかし「基本的に無害」という情報もあり、
しかし、

「私、昔刺されたことあるの。
今度刺されたら、死ぬかもしれない」

と、差し迫ったことを述べるので、
では仕方ない。
差し迫ったのなら仕方ない。
平和主義も、へったくれもない。
わしは、へったくれを失ったのである。
へったくれはどこかに旅に出たのである。
へったくれよ、元気でな。
オリコン優先順位チャートは先週と変動し、
わしは近所のドラックストアへ、害虫駆除剤を求めに行ったのであった。

「一発でハチを絶対仕留める最強のうんたら」
みたいなスプレー、
ノズルがゴツくてまるで兵器のよう。
900円くらいで購入し、
自宅に戻ってきた。
夜になったら使おうと思っていたのだが、
玄関先でやっぱりうろついているハチを見て、気が変わった。
こういうのを使うのは初めてだ。
慣れない。
説明書きをざっと読み、安全装置のようなものを外し、
わしは植え込みに止まっている2匹のハチ目がけて、
最強らしいスプレーを噴射した。

ズコーー!!という音と共に薬剤が噴射され、
ハチは震えて動きが止まる。
植え込みの中に巣があるかもしれないので、スプレーを全部噴射し切る。
すると、身悶えしたイモムシが数匹、植え込みから出て来てのたうつ。
それでもわしは、指先の力を緩めず、出し切る。
説明書きにあった通り、約30秒で噴射は終わった。
そしてその小さな植え込みには、ハチとイモムシの死骸が転がった。

わしは何とも言えない気持ちになったが、
最強スプレーを使った若干の高揚感からか、
蝶野正洋みたいにひと言、

「ガッデーム」

と言った。

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by syun__kan | 2017-07-20 22:25 | 日記 | Comments(0)

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by syun__kan | 2017-07-12 21:24 | 日記 | Comments(0)