カテゴリ:日記( 552 )
島根滞在制作10日目:時代
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重い。
朝起きたら、なかなかに体が重い。
昨日、威勢の良いことは書いたが、
連日の制作により疲れは溜まっている。
もう歳だ、なんて言うにはまだまだ早いが、
若さで押し切れるような感じでもない。

8時過ぎに美術館の方がホテルに迎えに来てくださり、
いつも通り制作が始まるが、
どうにも、若干、朦朧とする。
滞在制作という非日常も、10日目を迎えて日常になった。
やったらやっただけ進むのがわしの制作技法だが、
体も誤魔化しが効かなくなり、
やったらやっただけのリアクション、
すなわち疲れをわしに訴えて来るようになった。

「わしはもうだめじゃ」
と言ってついに、
13時半くらいに、
電気を消してヤマタノオロチの体の中にこっそりと横になる、
そのまま1時間ほど寝た。
するとやはり回復して、調子が出てきたが、
でも今日はあんまりがっつかず、ほどほどで終え、
終わったら何か気分転換的なことしよう、
DVDとか観よう、
そうだ「君の名は。」観よう、と思った。
世の中のトレンドを10年遅れくらいで追いかけるわしは、
「君の名は。」なんて案の定観てない。
まだたったの一年遅れでブーム乗ろうとするなんて、わしにしては上出来じゃないか。
浜田駅の向こうにゲオがあるから、夜に観よう、
会員カード持ってないけど、作ればいいじゃないか。
そう思うと俄然、
「前々前世」が頭に流れて止まらない。
バンド名は分からないけど、
というか何度か名前は目にしたけど読み方が分からず、
しかしこの曲は何度も聞いたことがある。
「君の前々前世から僕は」
今日は7本目と8本目の首と頭を作ってから、
「君を探し続けたよ」
尻尾8本をおしりに取り付け、
「君の前々前世から僕は」
19時に制作を終了した。
「君を探し続けたよ」
そこしか歌詞が分からないので、永遠にループする。
今日一日で何回「ぜん」を頭の中で繰り返したか。
駅周辺まで車で送ってもらい、
昨年の大ヒット作品を借りるべく、駅向こうのゲオへ歩く。
本屋とくっついていて、この本屋もなかなか広くて充実していて、良い。
なるべく時代には付いて行かねばならぬ。
「君の名は。」をもう、みんな観ている前提で世の中は進んでいる。
ヤマタノオロチが完成したって、
それを見るお客さんは、
基本的に「君の名は。」を既に知っているお客さんなのであり、
クリエイターたるもの、そのつもりで制作するべきだ。
だいたい、わしは最先端に付いて行こうとする意識が足りぬ。
未だにガラケーだし、
そういえば滞在初日に、学芸員さんの娘さん(小4)と話をする中で、
「ガビーン」
と言ったら、
「…それなに?」
と怪訝な顔をされたのである。
今の子は、「ガビーン」と言わないらしい。
その言葉の存在さえ知らないらしい。
それこそガビーンである。おじさんにとっては。
いつの間に死んでいたんだ、「ガビーン」。
「ピューと吹くジャガー」の頃くらいまでは生きていたはずだったのに。
ピヨ彦、よく「ガビーン!」って言ってたよね?
だからわしは、その小4の娘さんに「ガビーン」の正しい発音と、
ついでに「ガビョーン」の言い方も伝授してきたのだが、
ああ、そんなことしている内にわしはどんどん時代と乖離し、
取り残されていくのだろう。
だめだだめだ、こんなことでは、
「君の名は。」観なくては!
と思ってゲオに着いたら、
数十本、ケースは並んでいるのに、
「君の名は。」は、すべて貸し出し中だった。
ガビーン。
結局、わしは、
君の名前をまだ知らないし、
そもそも「君」が誰を指しているかも、知らないし、
そもそも君の名前が重要な話なのかも分からない。

いやじゃいやじゃ、
まだ時代に付いていきたい。
まだ頑張りたい。
東京帰ったら観ます。
わしはまだだめじゃない。

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by syun__kan | 2017-08-11 23:54 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作9日目:搬入口へ移動
気付かれた方がいるかは分からないが、
関口は8月2日に制作初日を迎えて以降、
一日も休んでいない。

昨年広島で滞在制作した際は、
14日間の滞在において、2日間、閉館日があり、
その日はオフ日ということで厳島神社を観に行ったりしたものだ。

しかーし。
この、浜田市世界こども美術館は、
子どもが楽しめる美術館を謳っているだけあって、
なんと8月中は閉館日無しなのであった!

じぇじぇじぇ!
すごいね!
本気だね!

ホテル代を出していただいている以上、
「関口この日休みます」
とか言って、
海水浴とか行ってる場合じゃない。
制作するためのホテル代である。
いつやるか!?
いつ新聞揉むか!?今でしょ!!
世界遺産の石見銀山とか観に行ってる場合じゃない。
こんなに集中して制作できる時なんて、今だけなのだから!
足を延ばして、出雲大社なんか観に行ってる場合じゃない。
こんなにテープ貼りまくれるの、今だけなのだから!
だから8時半から19時半くらいまで、毎日11時間は制作している。


まあ、ちょっと見たかったかな。銀山。社。
まあまあ、運よく神楽は見れたから、良いだろう。
美味しいお魚も食べたし。
浜田市のお・も・て・な・しは、享受している。

ここまで、何故か2013年の流行語大賞のワードを使ってしまったので、
あと一つ、「倍返し」をどうやって使おうか、悩んでいる。

制作場所は、初めは木工室でスタートし、
広い創作室に移動してワークショップを実施したのを機にそこで制作を続けた。
部屋が広いと、引いて全体を見ることができるのでやはり良い。
美術、特に立体作品の制作においては、制作場所は広いに越したことは無い。

そして、明日からその創作室は、他のワークショップで使われるため、
わしは搬入口に移動したのだった。
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いいね、このコンクリ感。
これでこそ、彫刻のアトリエという感じがする。
空間は広く、そしてきれい過ぎない方が良い。
遠慮なく使える。
彫刻というのは、空間への攻撃である。

制作の進度は…依然、予断を許さない。
あと5日間か…。
首&頭は、今、6本と少しできている。
明日、11日午前中に、8本仕上げたい。
午後に、尻尾を取り付けるための骨組みを作りたい。
12日は、内側を新聞&ガムテープで塞ぎたい。
13日に組み立てて、接続部分を修正したい。
14日は、具を追加して、壊れそうな部分にボンドを塗りたい。
15日は外に出して、組み立てて写真撮りたい。
これで終わりだ。

それにしても、こうして日程を書き連ねると、
こんなに長く家を空けてしまい、
奥さんと娘に申し訳ない、という思いが沸く。
16日に帰ったら、
そう、


倍返しだ!と言い切るには、そんなに役に立てる自信があまりなく、
しかし1.3倍返しくらいは、せねばなるまい。

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by syun__kan | 2017-08-10 22:52 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作8日目:怪獣
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8月6日のワークショップに参加してくださった17名の方は、
3つのグループに分かれていただき、
途中、ヤマタノオロチの首と頭を作ってもらった。
あらかじめわしが作っておいた1本を参考にしてもらい、
各グループに芯となる木を配って作って行った。
今日は、参加者様たちが作ったその3本の首と頭を、
関口的世界観に寄せるために、
ひたすらアレンジした。

この内、広島からいらしたご家族が作られた1本は、
まず頭の角度を変えた。
首を、体に平行に付けるのではなく、縦に付けることにしたので、
前を向かせるために、首と顔を90度にする必要がある。
また、目がとても大きかったのを、切れ長な感じに変えさせてもらった。
長谷川集平の絵本「トリゴラス」のような顔になった。
東宝のゴジラ怪獣「チタノザウルス」風でもある。
そして首に建物的なモールドを付けた。
写真の中では、真ん中の1本である。

次に、美術部顧問の先生のご家族が作られた1本は、
やはり頭の角度を変え、
目の周辺を少しアレンジした。
「対メガロ」の時のゴジラ風の、目の深い感じになったと、個人的には思っている。
そして首に建物的なモールドを付けた。
写真の中では、手前の1本である。

最後に、未就学児と保護者様中心のグループが作られた1本は、
頭の角度を変え、
目を切れ長にし、
そして首に建物的なモールドを付けた。
写真の中では、奥の1本である。

どの顔も、頭の角度と目以外はほとんどいじっていない。
口やツノは、参加者様の造形をそのまま引き継いでいる。
どれも、素晴らしく素敵な顔になっている…
関口一人で作ったものより遥かに良い。
やはり、一般の方の造形の方が勢いと意外性と純粋さがあり、
それを関口が修正することで偶然性が生まれ、面白さが出る。

このアレンジで、今日の制作時間は終わってしまった。
1本3時間くらいかかっている。
疲れたが、しかし面白かった。
関口は生粋の怪獣少年である。

怪獣について語り出せば長い。
語っていいかい?
だめ?
ちょっとだけ!

じゃあかいつまんで説明すると、
ゴジラ、モスラ、キングギドラ等は「東宝系」。
ゴジラ怪獣と言ってしまっても良い。
彼らは何というか、武骨で、「拙者とて武士の端くれ」とか言い出しそうな、
ストロングスタイルの香りがする。

これに対し、ウルトラマンや、
バルタン星人、レッドキング等が「円谷系」。
いわゆるウルトラ怪獣である。
彼らはカラフルで、意外性に富んだ造形をしており、
ハイカラである。

第3勢力と言って良いか…
若干マイナーだが、ガメラの怪獣が「大映系」である。
非常に乱暴に言ってしまえば、小学生の落書きのようなデザイン。
特に昭和のガメラ怪獣は、
かろうじてギャオスはキリッとしていてアートを感じるものの、
他は非常にやぼったい。ジャイガーとか、バルゴンとか。
体の三分の一くらいが頭である。
しかしそれが逆にインパクトある、とも言える。

ここから先、初期のウルトラ怪獣をデザインした成田亨について、
30分くらいかけて延々と書いてしまったのだが、
キリがないのでDeleteした。
これだからオタクは!!
ただ、成田氏の、
「新しいデザインは必ず単純な形をしている。人間は考えることができなくなると、ものを複雑にして堕落してゆく」
という言葉をきちんと胸に刻み、
反省し、
残りの期間頑張っていくなり。
余計なことは要らないのだね!

そして追伸。
昭和のゴジラの着ぐるみに入って演技していた、
スーツアクターの中島春雄さんが、
7日に亡くなったそうです。
残念です。

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by syun__kan | 2017-08-09 23:51 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作7日目:健康保健衛生
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今日はついに1週間を迎えた。
つまり折り返し地点である。
この滞在制作は、2週間でヤマタノオロチを完成させようというものである。

体の表面は、だいぶ密度を増してきたが、
なんか禍々しくなってきてしまった。
そう、ちょっと禍々しすぎる。
ちょいまがである。
それは本意ではない。
「世界各地をイメージさせるモチーフ」という目標達成のためには、
もう一工夫要る。

首と頭は、現状では体に平行に付いているが、
これだと子どもが押して、揺らしてボキッとなることが明白に予想させるので、
角度を上に向け、触れない感じで立てることにする。
そのためには、もう一回ホームセンターに行って、ツーバイフォー木材を買い足す必要がある。
そして、これは一昨日のワークショップで参加者の皆さんが作ってくださった首と頭なので、
本当に素晴らしい造形ではあるのだが、
関口的世界に寄せるため、
アレンジを施す必要がある。
そしてさらに重要なことは、まだ4本しかないということ。
ヤマタノさんは首8本である。

といった調子で、
折り返し地点を迎え、依然、予断を許さない状況が続いている。

ここで体調を崩すわけにはいかない。
出張および旅行というのは、いろいろなところに体調を崩すトラップがあるものだが、
それなりに旅慣れてきたので、
いろいろと対策はしている。
つもりだ。
つもりではある。

まずは交通機関における冷房の効きすぎ。
これには、ちゃんとジャージの上着を用意している。

栄養的には、美術館の方が取ってくれたホテルが朝食バイキング付きだったので、
朝ごはんを、野菜を中心に大量に食べることで解決している。

些細というか、女々しいというか、
問題があったのが肌荒れで、
これはホテルのシャンプーが合わなかったからだろうということで、
奥さんに電話して家のシャンプーは何か聞き、
「ジュレーム」ということが分かり、
ドラッグストアで買おうということで、
しかし一本買うと900円台だし、
しかしながらお試しパックも86円だから、
10泊以上泊まるのだからやっぱり一本買おう、
いやでも大浴場にマイシャンプーをボトルで持っていくのって恥ずかしいな、
部屋のユニットバスに入ればよいのでは?
いやいや、足が伸ばせる大浴場はやっぱり良いしな、
部屋であらかじめ染み込ませていくか?
頭にジュレーム染み込ませてから大浴場に行くか?
などと考えたけど結局やっぱりジュレーム一本買い、
多少の恥ずかしさを気にせず、大浴場に持って行って使うことで解決している。

爪切りを忘れたのは小さなミスだ。
スーツケースに入れたつもりだったのだが、入ってなかった。
近いうちに100円ショップで買うことになるだろう。
でも大丈夫だ、体調を崩すようなミスではない。

リップクリームも持っていなかった。
ガムテープを使う際、切ってからいったん上唇に貼る癖があるので、
制作してるとあっという間にガビガビになってしまう。
だから三日目くらいには、買ったのだが、
浜田市の祭りに行った時に失くしてしまった。
ショッキング。
しかしこれも、体調を大きく崩すようなミスではない。

このように、トラップにはまらず、
はまりそうになっても誤魔化しつつ、元気にやっている。

ところでこの美術館の職員さんたちは、小学生の子がいる方が多く、
面白いのは、出勤の際に職場に子どもを連れて来ていたりする点だ。
家で留守番させても良いのだろうが、子どもが楽しめる美術館なので、展示を観て過ごさすこともできるし、
空いている部屋で宿題をさせたりしている。
彼らと少し仲良くなったりもした。

今日は、小4の息子さんが来ていて、
新聞紙で作ったボールとグローブでキャッチボールに誘われた。
制作の合間の気分転換に応じ、
ヤマタノオロチを作っている広い部屋で投げ合う。
彼は運動が得意らしく、良い球を投げる。
こちらも、野球が得意ではないが、
普段の仕事で子どもの遊びに応じることは日常茶飯事なので、負けじと投げる。
またこのグローブとボールが、思いのほか使いやすいのだ。
つい熱が入る。
しかし制作時間も貴重なので、
「あと10球ね」
と呼びかけて終わりにし、
「ありがとうございました」
と言って別れる。
そして気付く。
筋肉痛だ。

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by syun__kan | 2017-08-08 23:43 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作6日目:旅
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自由の女神、サグラダファミリア等を付ける。
ヤマタノオロチの体には、「世界子ども美術館」にちなんで、世界のモチーフを付けている。

旅はするものである。
旅行が趣味というわけではないが、
貧乏なりに、今までそれなりに色々な場所に行った。

社会に出てアート活動をするようになってからは、ワークショップや展示で、
国内の色々な場所に呼んでいただけることも出てきた。

昨年夏は広島で滞在制作し、今年の前半には福島でワークショップした。
そして今夏は島根だ。
広島、福島、島根。
今の日本を形作る、重要なポイントを巡らせていただいている気がする。

行った先々で、その場所に関して知ろうとすることで、
自分の見識も広がる。
千葉県船橋市のアンデルセン公園こども美術館で展示した際は、
アンデルセンについて勉強したし、
愛媛でワークショップした際は、
地元を盛り上げる地域振興のパワーに感動した。

浜田市の魚は非常に美味しい。
初日に学芸員さんに連れて行ってもらい、食べたお刺身は新鮮そのもので、
関東で食べるものと全く違った。

色々な土地で得た知識や経験は、
自分の思考パターンのレパートリーを増やし、
様々な状況に対応する力となっていく。

観光名所に足を運ぶのも面白いのだが、もう一つ魅力的なのは、
地元のスーパーに買い物に行くこと。
観光名所等の「よそ行き」の顔ではない、その土地の人の素のニュアンスを感じ取るわけだ。

今回の島根県浜田市でも、「YOUMEマート」というスーパーに、
ほぼ毎晩行っている。
8時過ぎるとお総菜、お弁当類の3割引き・半額シールが眩しい。
そう、半額シールほど眩しいものは無い。全国共通だ。
ホテルにコンロなどないのに、スペアリブ用の骨付き豚肉に貼られたシールさえ眩しい。

それに、浜田市ならではのお総菜があったりする。
今日は「かれいの南蛮漬け」に惹かれた。
かれいは名産である。
それが安価の上さらに、3割引きで手に入る。
奥さんこれはお買い得ですよ。
加えて3割引きのちらし寿司も買い、本日の夕飯にする。

レジの仕組みというのは、昨今様々に多様化している。
資源を守るため、あるいは経費節減のため、
ビニール袋等が自然に付加されない場合も多いし、
セルフレジの場合もあるし、
スキャンだけ店員さんがやって支払いはセルフだったりで、
油断がならない。
YOUMEマートは、ビニール袋は自動で付加されず、
欲しい場合は4円払って買わなくてはならない。
それは、これまでの滞在で分かっていたので、
今日はちゃんと袋を持参している。
しかしわしは油断してしまった。
悠然とホテルの部屋に帰って来てから気付いた。
箸がないのだ。
箸も、ちゃんと「箸ください」と言わなければ、
付いて来ないのであった。

もう夜である…
今からコンビニ等に行って箸を調達するか?
大変だな…
しばしの逡巡の後に、しかしわしはちゃんと解決策を出す。
わしは学生時代に、インドにも旅行したことがあるのだ。
経験は思考のレパートリーを増やす。
インドでは、左手は「不浄の手」で、
食べ物などを掴んではいけないのだけど、
右手は「浄の手」なんですよ。
奥さん。

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by syun__kan | 2017-08-07 21:06 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作5日目:ワークショップと雑炊
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本日は広島に原爆が落ちた日。
ホテルに迎えに来てくださった学芸員さんの車に乗るのがちょうど8時15分で、
車の中のテレビで式典の中継を見た。
昨年はわしは式典会場にいた。
黙祷。
浜田市は、広島から近いので、
原爆投下の際は逃げてきた方、温泉で治療に当たった方がいたという。

会場に着き、5日目がスタート。
わしの作品は、小さいパーツがたくさん付いている。
わしはそれらのパーツを、「具」と呼んでいる。

今回の作品も、ヤマタノオロチの体のこちら側には、「具」がいっぱい付いているが、
反対側は、展示する際にあまり人目に付かない予定なこともあり、
平らになっている。
平らな面はどのように作るかというと、
新聞紙をくしゃくしゃにして、
ちょっと広げて平らにつぶしてテープを縦横に貼りつけてシート状にし、
木材と針金による骨組みを、覆うようにして取り付けている。
わしはその、平らにした新聞紙とガムテープのシートを、「皮」と呼んでける。

内側は木と針金による「骨」。
「具」と「皮」と「骨」。

そうそう、ヤマタノオロチに関しては、手足や首は、中は空洞ではなく、
中身までぎっしりと、くしゃくしゃにした新聞紙が詰まっている。
さながら「肉」だ。

なお、本日はワークショップがあった。
当初参加者が集まらなくて若干困っていたが、
蓋を開ければ17名の方と、楽しく活動できた。
床にばら撒いた大量の新聞紙であそび、
ややあって、
最後にはカラーガムテープも使用して自分の好きなものを作った。
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昨年の広島での展示を観て、今回も隣県である島根まで訪ねて来てくださったご家族もあり、
感激した。
10時から休憩を挟んで14時まで活動し、
皆様が帰られた後には、
活動によってくしゃくしゃ、しわしわになった新聞紙が、
まだ大量に散らばって残されている。

良い出汁が出ている。

一枚一枚が分離し、既にくしゃくしゃになっている新聞紙は、
制作を進めるのに非常に使いやすいのである。
だって、一冊一冊になったままの新聞だと、それを一枚ずつ引きはがし、
手でくしゃくしゃに丸めるところから始めなくてはならない。
集団遊び後の新聞紙は、その工程が要らないのでありがたい。
ワークショップ後の時間、わしは散らばったくしゃくしゃの新聞紙の中に座り、
新聞紙をかき集めながら、
150センチくらいの、ヤマタノオロチの尻尾を、
立て続けに6本作った。
まるで鍋が終わった後の汁で「雑炊」しているみたいだった。

どうしてこう、さっきから、
料理系で例えているのだろう。
正直あまり訳が分からないというか、必然性がない。
少し疲れているのかもしれない。
ワークショップをフルサイズで一本行うと、それなりに消耗するものだ。

そういえば今日、美術館を訪れた子どもたちは、
帰るときには立派な万華鏡を、携えて帰っていた。
別の部屋で万華鏡作りのワークショップをやっていたようだ。
聞けば70人も参加したとのことで、
「すごいですね、準備とか大変でしたね」
と、学芸員さんに声をかけると、
忙しい時期なので今回は既成の工作キットを使ったのだと。
そういうのも時としてはアリであろう。
わしは、
「冷凍食品みたいなものですね」
と言った。

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by syun__kan | 2017-08-06 23:10 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作4日目:既にある
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制作も4日目を終え、
そろそろ迫力のようなものも、醸されてきた気もする。

正直に述べると、浜田市世界子ども美術館のことはとても気に入っている。
建ったのは1996年ということで、
バブル期後ということ。
バブル期に建った美術館は、
ロビーが総大理石だったりとか、突如石庭があったりとか、
現在の社会的な雰囲気から見ると、何かすごいことしちゃったね!
という物件が多いけど、
こちらはバブル期後ということで、
だいぶ落ち着いてるというか、常識的というか、
建物はシンプル。
しかし中身は…
とにかく、子どもが何か造形的に体験できる企画を、
年がら年中、これでもか!これでもか!
と、打ち出し続けている。
そして、
作家による所蔵作品もあるが、
それらと同列に、子どもの作品が扱われ、展示される。

要するにだ、
わしは、どうして新聞紙×ガムテープアートをやっているのかと聞かれると、
「アートをもっと身近にしたい。
画材屋さんになんて行かなくても、
美術史の知識なんて無くても、
アートはできるんだよということを、伝えたい」
と答えているが、
ここ、浜田市世界子ども美術館においては、それは既に、実現されているのであった。
わしが改めてやって来てどうこう言うことは、もう無いのである。

そして夜には、浜田市のお祭りがあり、
終了後に神楽の公演が見られるとのことで、わしは美術館の職員さんに連れて行ってもらった。
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ついに本物を見ることができた、神楽のヤマタノオロチ。
舞台から溢れんばかりの、いや実際に溢れている8匹の大蛇が、
所狭しと舞い踊る。
ぐんずほぐれつ、あらん限りの形態を、その長い体で作り上げ、
火まで吹いて大暴れし、
最後にはスサノオノミコトに討伐される。
強烈な禍々しさ、しかしそれは市民の娯楽の一つとして老若男女に根付く。

大迫力の立体的なヤマタノオロチも、浜田市には、既にあった。
わしのやることは、特にもう無い?!

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by syun__kan | 2017-08-05 23:44 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作3日目:師匠
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ヤマタノオロチの体をトンネル状にするのだが、
中を通る人が躓かないよう、
コンパネを渡して、通路に段差がないようにする必要がある。

しなしながら関口の作った通路の骨組みは、角が直角のちゃんとした四角形ではなく、
実にいい加減な、技術・家庭科の片隅にも、
ホームセンターの片隅にも置けないような、
「なんとなく」「思い付き」「行き当たりばったり」の四角形なので、
コンパネをそれに合わせに切る技術など関口にはなく、
美術館ОBの”棟梁”ミウラさんに頼むことになった。

ミウラさんは本物の大工であり、
美術館で木工の造形物が必要になる際は、
助っ人的に仕事しに来てくださるらしい。
それどころか、地域の寺社の修理等も行う、
地元で一目置かれる存在とのこと。

9時半ころ、ミウラさんが木工室に来てくださる。
これこれこの様な物を作ってほしいと、慌ただしく説明するわし。
静寂の後に「いいよ。作れるよ」と言ってくださり、
道具を取りに行ったん家に戻られる。

しばらくした後に、手持ち式の丸鋸の他、
角度が変わる差し金や丸鋸専用の定規などを携え、
再びミウラさんが現れる。
わしの作ったいい加減な骨組みの中にしゃがみ込み、
道具を使って寸法を測り、コンパネに線を引く。
わしは傍らに直立不動、
作業を見守る。
担えるところを見つけて手を出す。
師匠と弟子の気分になる。
わしもこれでも「ものづくり」を生業とする者の端くれ、
ミウラさんの仕事の、一挙手一投足が勉強になった。
道具の使い方や、緊張感、言葉の端々。
途中、ミスしたときの、
「チッ!」
という舌打ち、
からの「ッキショ!」という大きなつぶやき。
そして「どうしてこうなったんか」と、のぞき込んで原因を探り、
「あーそうかー…」
と納得、
「んなこともあらあ」
と一言。
「チッ!」~「ッキショ!」~原因究明~「んなこともあらあ」、
これはたぶん今後の関口の人生で、
ボキャブラリーの一つになった。
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1時間半ばかりで、骨組みにぴったりはまる通路が完成。
ありがとうございました。
同じ「ものづくり」ではあるが、
棟梁の仕事は非常に計算され、正確なのに対し、
わしの仕事は行き当たりばったりの、ハッタリの山積みである。
ミウラさんのような、きっちりした仕事で地域に貢献することは、
たぶん一生わしにはできないであろう。
わしはわしのやり方で、
すなわちグシャグシャ、グルグル、ペタペタで、
何とか頑張るしかないわけだ。

そして午後になり、
昨日からとなりの創作室で、静物を写生していた中学生たちの講習会が終わる(昨日の日記参照)。
わしは昨日のうちに、顧問の先生に頼んでいたので、
最後の「閉会式」の際に、中学生の皆様の前で挨拶させてもらう。
途中から加わった閉会式、
講師の先生のお話、
生徒代表のお礼の言葉、
主催の教頭先生のお話、
体操座りできちっと整列して、静かに静かに話を聞く中学生たち。
この雰囲気、久しく味わってなかった…
最後の最後に、
おまけ的に関口が前に登場し、
自分が新聞紙とガムテープのアーティストであること、
6日にワークショップをすることを、
なるべくこう、フランクにお話しする。
笑い所も少し入れつつ。
しかし皆、表情緩まず。
静聴される。静聴「される」。
負けたぜ。

しかし講習会がすべて終了し、
帰りがけに木工室をのぞいてくれた中学生たちは、
少しフランクな感じで、興味を持ってくれていた(ように思う)。
6日の関口が講師を務めるワークショップ、良ければお越しください。
何かしらの感慨は与えられると思う。
きちっとした「師匠」にはなれないけどな!

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by syun__kan | 2017-08-04 22:23 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作2日目:感慨屋さん
断っておかなくてはならぬことが一つ。
今回の滞在制作は、公開制作ではない。
もちろん関口の作品も、現在は展示されていない。
展示が開始するのは10月になってからです。
この夏に2週間かけて作り、10月までバックヤードに保管してもらいます。

わしが制作しているのは、1階の木工室。
世界子ども美術館は、2階が入り口で、
展示は3階~5階で行われている。
1階は市民の皆様が利用する創作室等に割り当てられているので、
展示を観に来たお客さんは基本的に訪れず、
地下室のようにひと気がない。

木工室のドアはガラス張りだが、
関口が集中できるようにか、あらかじめ暗幕が張られていて、
窓にはブラインドが掛けられ、
確かに缶詰になって制作するには最適な環境。

アーティストが制作する様子を、公開しないというのはもったいない気もするが、
要するに、10月から行われる新聞紙アート作家の企画展に関口の作品を出品させたく、
しかし関東で作った大型作品を島根まで輸送するのは費用が嵩むので、
いっそのこと本人を呼んで滞在制作させた方が都合がよい、
という事情もあるのだろう。

今日の午前中は、昨日の続きでヤマタノオロチの体部分の骨組みを作る。
工具は十分に揃っているし、
過去の企画や展示で余ったものなのか、テイクフリーの木材も豊富にあるので、
造形天国的状況。
正午になって、ようやく新聞を揉み、ガムテープを巻き始める。

1階の様子が昨日と違うのは、
若干ひと気がある点だ。
となりの創作室には、静物が設置され、
体操着の中学生がたくさん、顧問の先生に連れられ、デッサンに訪れている。
複数校の美術部で合同で行っているのか、数十名はいそうだ。
材料を運ぶ時に廊下ですれ違う。
会釈。
廊下の端には、中学生の皆様のリュックが、ズラリと並んでいる。
彼らは静物デッサンに訪れた中学生ということが明白だが、
彼らから見たわしは、一体何物に映るのか?
わしの籠っている部屋は、暗幕が張られて見えないわけで。

そう思ったわしは、午後になって、ドアの暗幕を外した。
案の定、デッサン中に休憩等の用事で、廊下に出た中学生が、
ちらちらと、木工室の中の、
大きな骨組みに新聞紙とガムテープを巻きつける、わしの様子を見る。
まあ、見たところで、「一体何者」という疑問は一向に解決しないばかりか、さらに深まるかもしれないけど。
しかし彼らに、何らかの感慨は、与えられるかもしれない。
アーティストはそのために存在する。
感慨屋さんなわけだから。

夕方になり、中学生たちは帰ったようだ。
そして顧問の先生が、わしのいる木工室をノックしてくださった。
何と、昨年の、広島での展示をご覧くださったとかで、
関口の名前および作品を知っているとのこと。
何と光栄なことか。
東京から遠く離れたこの地で、関口のことを知っているという方に偶然に出会えるなんて。
そういえば、先日関口のブログにコメントをくださった方も浜田市出身だというし、
日本全国、もしかしたら世界各地に、
自分の「縁」というものはあるのかもしれない。

中学生の静物デッサン会は二日続きで明日もあるようなので、
わしも、新聞紙とガムテープによる制作が徐々に進む様子を、それとなく見せていこうと思う。
(そしてあわよくば、参加者が集まらず若干悩んでいる6日のワークショップに誘致したい)

前言撤回しよう。
制作はなるべく公開しています。
新聞とガムテープのアーティストを見てみたい方、いらしてくださいね。
一階にいます。
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by syun__kan | 2017-08-03 22:40 | 日記 | Comments(0)
島根滞在制作1日目:最初の一太刀まで
島根県は浜田市、世界子ども美術館における、
滞在制作1日目を終えて、
書きたいことはいろいろあるけど、
まずは浜田市という場所がどのような場所であったかを、述べる必要がある。

f0177496_22330125.jpg
写真は昨日。
益田駅に着き、電車で浜田駅に向かう、一両編成の山陰本線から見えた、
太陽が沈みかける日本海。
もこもことした山々から、すぐに海。山々の形の流れを汲んで海に浮かぶ島々。
どうやらこの地方の特徴的な風景の一つのよう。

そして神楽。
19時過ぎに浜田駅に着くと、のっけから看板、ポスター、石像などに、
神楽のイメージが目白押し。
「親しまれている」どころではない、
浜田において神楽は、ブラジルにおけるサンバのような、
一つの拠り所となるような代表的カルチャーのようだった。

チェックイン。

夜が明けて、
学芸員さんに迎えに来ていただき、
坂道を登って丘の上、
四角い箱にシースルーの窓がカーブを帯びて入る、
世界子ども美術館を訪れる。
青い空に、山に囲まれながら海が見え、
まさに風光明媚。
山陰。
この地方が山陰地方だということを、ここに来て初めて知った、無知な関口。
だんだん山陰のニュアンスを掴んできた。

美術館の中を案内していただく。
館内、子どもが作った様々な造形物が所狭しと掲示され、
さながら図工城。
作る、作る、作る、そして飾る、
徹底している。凄みさえ感じる。

来館者は、まずは5階に上り、
スロープを下りながら美術館の外周を巡るように、下の階に降り、展示を観ていく。
シンプルな外観の美術館だが、中はさすがに面白く作られている。
そしてこの独特な内部構造が、同時にここ数か月の関口の悩みの種となっていたのだった、
というのは、
自分が受け持つ展示室の構造もまた若干独特で、
訪れるまで、その空間を十分にイメージできないのであった。
そして今日ついに、目の当たりにでき、めでたしと言いたいところだが、
しかし戦いはここから。

わしは、設置する空間を目の当たりにして初めて、どんな造形にしようか、
正式に考えられるようになるんです。
ええ、そうなんです。
すんません。
ヤマタノオロチということは決まっている。
それをどのような形状で、どのような配置で、
どのような仕掛けを付けて、作って飾るか、
わしは9時半から、13時まで、
貴重な貴重な滞在制作時間をじりじりと消費しながら、
館内をうろうろ歩き回り、ひたすら考え続けたのであった。

もう少しで結論が出そう、
そういう時は「材」を見ると良い…
わしは学芸員さんに、ホームセンターに連れて行ってもらう。
骨組みにする木材が必要だ。
丘を降りて、港が近いジュンテンドーというホームセンター、
海の香りがする。
13時15分。
すぐには買うものを決められないわしは、
学芸員さんに頼んで、
そこに置き去りにしてもらった。

途中、東京の市役所から提出書類の不備を知らせる電話があったりして大いに思考を阻まれたりしながらも、
資材置き場が外にあるので太陽に照らされツーバイフォーの前で若干クラクラしながらも、
買うものを決めたのは15時。
ヤマタノオロチ、どんな形状にするか、
ようやく、ようやくイメージが形を結んできた。

学芸員さんに迎えに来ていただき、材を購入し、
ハイジェットに木材を積んで美術館に戻り、
作業部屋に運び込んで16時。
閉館まであと1時間やがな!
一日目は、大半考える時間に費やしてしもた。
まあ仕方ない。
仮に納得しないまま大物を作り始めたら大変なことになる。
わしは、ついに、固定型丸ノコで垂木に最初の一太刀を入れたのであった。

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by syun__kan | 2017-08-02 22:38 | 日記 | Comments(0)



現代芸術家、関口光太郎の日記。
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