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「羽化」

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「羽化」/関口光太郎/2004年

「若さゆえの失敗」っていうのは、
300件くらいしたと思う。
これもその一つだなあ。
わしは大学3年生の、合同講評のときに、
教授たちの前で、幼虫→さなぎ→成虫と姿を変え、
約10分間のダンスパフォーマンスをした。
これをやる前の2週間は、緊張で食べ物がのどを通らず、
ウィダーインゼリーと胃薬ばかり食べていたので、
お通じが緑だった。

二十歳すぎのわしは、周囲に
「いつでも踊っている人」
という印象を与えていた。
実際にその通りだった。
わしはいつでも踊っていた。
大学の構内はもちろん、
道端でも、店でも、美術館でも。
そしていつも息を切らしていた。
毎日、10時間制作して、
フラフラになって家路についた。
時々、夜中に散歩した。
ひとけのない真っ暗の町をスタスタ歩き、
交差点でクルクル回った。

なぜか、この時が人生で一番モテた。
あの、過呼吸で、使命感こそ感じさせるものの、
その使命の内容が客観的には議論の余地がありそうな若者の、
どこが良かったのか?
今となってはわからない。

過去形過呼吸。
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by syun__kan | 2010-05-29 23:12 | 作品写真 | Comments(0)

「黒いフクロウと白いトカゲ」

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「黒いフクロウと白いトカゲ」
関口光太郎
2004年

大学2年が終わって、長ーい冬休み、春休みに入ったとき、
わしは豆腐工場でバイトしていた。
6畳のアパート、朝4時半に起きて、テレビをつける。
めざにゅーのキャスターの杉崎美香さんが、
「おはようの方も、これからおやすみの方も、おはようございます」
と挨拶する。
この時間に起きている人たちは、昼間寝ているだろう。
ワーキングクラスのアイドル、杉崎美香さん。
原付に30分間乗り、工場に向かう。
雨だとあらかじめわかっている日は、電車で行く。
朝の天気予報で判断するのだが…。
降るか降らないかわからない日は、迷う。
天気予報士の石原良純さんが、
「雨が降るかどうかは、はっきりとはわかりません。
しかたないです、天気は天の気ですから」
と言った日は、本気でむかついた。
6時から働き始める。
それから6時間、ガシャーン!プシュー!アチー!ツメテー!の世界。
工場には、おじさんたちと、アジア系の人たち。
壁に並んだタイムカード、わしの名前の上は、「シワポーン」、
その上は「ドアポーン」だった。
お昼過ぎに退勤。
退勤のときに、松本さんというおじさんが、
できたての、灼熱の豆乳を飲ませてくれる。
原付を30分運転し、自宅へ帰る。
自宅へ帰っても、だれと会うわけでもない。
完全に一人。
その冬は、鬱々とした天気。
大学の冬&春休みは長い。
そんな生活を数カ月続けていて、わしは完膚なきまでに意気消沈してしまった。
ある日の帰り道、わしは原付でこける。
ものすごい厚着をしていたので、大けがではなかったが、ひじから流血。
自宅に戻り、風呂で洗い流す。
ひじから流血しても一人。
落ち込む。
こける場所やタイミングが悪ければ、もっと大事故だったかもしれない。
大学の初めの2年間、これといった活躍ができていないこともフラッシュバックする。
神様が、
「お前は日々を無駄に生きているから、殺しに来た」
といって、ドアから入ってくる妄想が浮かぶ。
黒くて無表情な顔。
その瞬間、わしは、
「明日死なないとはかぎらないから、今日を精一杯生きるべきだ」
という、ひとつの悟りみたいなものを得る。
その時から、世界がパーッと明るくなった。
大学3年が始まったら、こんなものを作ろうという、アイデアが、
溢れだすようになった。
次の日のバイトの帰り道、
曇天模様の雲の切れ間から、太陽光が宗教画のように差し込む風景を見た。
そして大学3年が始まり、
初めに作ったのがこの作品。
黒いフクロウは、死神の顔。
当時は若かったから、
「生きてる意味がわからないなら、私が殺してあげようか」
というタイトルをつけた。
そして、校内に展示していた。
展示期間中、彫刻科のトイレで、となりの小便器にやってきた同級生に、
「どうしてあんなタイトルつけたんだよ」
と言われた。
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by syun__kan | 2010-05-24 11:33 | 作品写真 | Comments(0)

「ジャイアント馬場」

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「ジャイアント馬場」
関口光太郎
2001年

アニメでは、よく学校の屋上でストーリーが進行するけど、
実際の学校では、屋上は大抵立ち入り禁止である。
という話はよく出る。
わしが通った高校も、ご多聞にもれず、
屋上は立ち入り禁止であった。
そして、ドアの前の踊り場には、
制作中のジャイアント馬場が置いてあった。
ボウズメガネの、高校生だったわしが、
放課後になると、作りに来てた。
田んぼに囲まれた田舎の高校の、
イチ美術部員で、世の中のことはまったくわからなかったけど、
「今の美術界は、どうして手の痕跡がないんであ?
何か手応えのあるものを作ったほうがおもしろいはず」
という気持は、もう持っていたらしい。

こんな風に、作品写真を、これからたまに載せていこう。
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by syun__kan | 2010-05-23 18:34 | 作品写真 | Comments(0)

無知の知とムチムチ

わしは体重63キロ。
10年前から変わらない。
0.5キロの食事をすると63.5キロ。
身長からすると、軽い。
やせ形である。
でも、身に回りの人たちは、みな
「27歳あたりを過ぎたら太るよ」
と宣告する。
確かに、わしの父も、若いころはスリムだったらしい。
しかし、結婚したあたりを境に太り始め、今は、ポッチャリ型である。
その他、わしの知る何人かの中年男性も、
27歳ごろを境に、ムチムチし始めたらしい。
なぜ男性は、27歳ごろをから太るのだろう?

教職の勉強をしていたときに、
「自己満足型の人間は太り、他者依存型の人間はやせている」
という説を習った。
男性は、27歳ごろくらいに、自己満足型の人間になるのだろうか。
そうかもしれない。
仕事も経験値を積み始め、迷いがなくなってくるころだ。
自分のやっていることに、自信が出てくる。

そこいくと、わしは、ずっとナイーブで生きていく、自信がある。
最近のマイブームは、無知の知だ。
自分が無知であることを知る。そのようにして、見えてくるものを大事にする。
…ようするに、自分が今まで「わかっているつもり」だったことを、疑ってみること…。
ナイーブだな。

わしは去年結婚を済ませ、今年27歳になるが、
おそらく、このままナイーブなまま、生きていくのだろう。
たくさん気疲れして、無駄なカロリーを使うのだろう。
他者の評価を気にし続ける。
ある程度自分を疑い続ける。
体重も63キロのままだろう。
無知の知であるかぎり、ムチムチにはならない。
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by syun__kan | 2010-05-21 23:41 | 日記 | Comments(3)

大学の思い出

大学に入りたてのころ、授業を受ける仕組みがさっぱらこっちゃわからなかった。
シラバスとかもらっても、さっぱり意味がわからなかった。
シラバス?
だいたいなんでシラバスなんていう名前にするんであ?
人生で一度しか登場しない。
ゼクシィと一緒だ。
「はい、これがシラバスですよ」と渡されても。
シラバス?
単位の仕組みが特にわからなかった。
授業を一年頑張ると、単位がもらえるらしい。
「単位って何?学年の終わりにもらえるの?」
「何かもらえるんじゃない?電池みたいなの」
と、友人の三宅氏と話し合ってた。
夏休みのラジオ体操頑張ると、最後の日にもらえる、うまい棒のようなものだろうと。

特別講義に来た著名な彫刻家が、話の最中に、
「僕はね、大学時代は、教授に、ウンコのフンのように付きまとっていました」
と発言したことを聞いて、わしは
「今の金魚のフンだよな…でも今笑ってはいけない。流そう」
と思っていたら、となりで三宅氏が
「ウンコのフン?」
と言って蒸し返したので、
二人で笑いが止まらなくなり、
押し殺すことで死にかけた思い出がある。
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by syun__kan | 2010-05-18 23:10 | 日記 | Comments(0)

リハビリ


3月20日に東京都現代美術館でワークショップをやった際、
参加してくれた方々に作品を作らせつつ、
自分もマイケルを作っていたのだけど、
参加者に話しかけることに力を割きすぎてその日のうちに完成せず。
おうちに持ち帰り、ぼち、ぼち、ぼちと制作を進める。
カラーガムテープで作ってたけど、やめて、普通色の布テープを使用。
ようやく完成…。
何のひねりもない、ただのマイケル。
88年のツアーの衣装を、忠実に再現。
忠実に再現しただけ。
自己満足。
これは、美術作品ではなく、ただのフィギュア。
ただ、長いこと「自分の独裁による、目一杯のアーー-ト!!!」をやっていない身としては、
こういう制作も必要かと。
アートのための、手と頭のリハビリ。

ちなみにこの夏は、
横浜トリエンナーレに出品!でもなく、岡本太郎賞に応募!でもなく、
地元前橋市でワークショップ的なことをすることになった。
「自分の独裁による、目一杯のアーー-ト!!!」を行う機会はまたしても訪れなかったが、
それはそれでいい。
独裁的作品よりも、アートというツールを通して人と交わる…ことに、どうやら気持ちが向いているようだ。
わしは人見知りで、友人も質的には素晴らしいが数的には少ない。
しかし、「美術の先生」というコスプレを身にまとえば、
たくさんの人と楽しくコミュニケーションを取れる。
殻に閉じこもらずに、外に向かえる。
この楽しさに、ここ数年で目覚めている…。
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by syun__kan | 2010-05-09 22:36 | 日記 | Comments(0)

頭部の営み

連休も今日で終わりじゃ。と考え、
顎関節症であるアゴを、「カツン」と鳴らす。
わしは顎関節症であるが、重度ではない。
口が開かなくなったり、アゴの痛みが引かなかったりすることは、ない。
ただ、時々、アゴをあけるときに、「カツン!」という音がするだけ。
だから、べつに治そうとも思わない。
わしの知り合いは、顎関節症の人ばかりだ。
皆、アゴをコキコキ鳴らす。
奥さんも、たまにガクッと鳴らしている。
どれだけ一般的な病気なんだ。
わしのアゴが「カツン!」と鳴るときは、若干、精神が停滞したときに多い。
ふとしたとき、ぼんやりしたとき、
ちょっと考え込んだとき、
などに鳴る。
ので、むしろ趣がある。
顎関節症の音を描写に盛り込んだ作品とか、ないのだろうか?

光太郎はスーパーのビニール袋から傾いて落ちそうになるネギを気にしつつも、
遠い目をしてアゴをカツンと鳴らした。

みたいな。

おとといは、美術関係の打ち合わせで、奥さんと群馬に行った。
電車に2時間半揺られ、行き、
2時間半揺られて戻る。
長い…。
帰りの電車、奥さんに「鼻毛が出てる」と指摘される。
わしは「そんなものなど出ていない!」と一喝し、鼻毛を押し込める。
一ヶ月前に、大鼻毛抜き大会は済ませたはずだ。
なのにもう生えてくるのか。
招かざる毛。
さながら迷惑メール。
わしは、
「わしの鼻毛は、チンアナゴ方式で、
出たり入ったりするんだ。
今は、『まだ東京着かないのかな?ああ、まだ上尾かいな』って、
確認するために出てきたんだよ。
もう引っ込んだから、大丈夫だ」
と説明する。
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by syun__kan | 2010-05-05 20:42 | 日記 | Comments(2)