一週間前に、職場でいただき物をした。
キャベツだ。
すごく大きい。5キロくらいある。んじゃないかと思うくらい。
家に持ち帰るのも、ひと苦労。
家に着いた。
置く場所がない。
乾燥機の上に置くと、ごろりと存在した。
存在感がある。
太陽のようだ。
天龍源一郎のようだ。
どう使い切ればいいんでぁ?
次の日、とりあえず味噌汁に入れた。
味噌汁にキャベツを入れる場合は、よーく煮るとうまい。
にしても、でかすぎて、そして硬くて、包丁が貫通しない!
存在感がある。
屈服しない。包丁に対しても。
「俺はなあ、キャベツだ。どすこーい」と言っている。
「じゃあ、牛角メニューのバリバリキャベツにしてやる」と、
バリバリキャベツも作る。
切り刻んで、洗って、塩振って、ごま油を垂らすだけだ。
しかしまだ、キャベツは75パーセント残っているのである。
翌日、翌々日、野菜炒めの形でお弁当に入れる。
一日目はごま油、二日目はバターで炒めた。
しかし、まだキャベツは65パーセント残っている。
切り口にラップをされて、乾燥機の上に在る。
変な感じに切り刻まれたことで、より存在感を増している。
切られたことで、キャラクターに凄みが出た。
「ああ?!俺はキャベツよん!」と言っている。
こうなったら、あれをやるしかない。
豚バラ肉との重ね蒸しだ。
鍋に、キャベツと豚バラ肉を順番に並べ、料理酒を入れて蒸し焼きに。
キャベツを大量消費できる調理方法だ。
ガッ
調理した。食べた。
キャベツは40パーセントになった。
さすがにかつての存在感はない。
はい、ここでポトフ!
キャベツ、25パーセントになって、今冷蔵庫の中にある。
そして今日、わしはこれから、みたび味噌汁を作ろうと思う。
キャベツに引導を渡す。
やつの引退試合だ。
お前には、男の生き様を見せてもらった。
最後までしなびなかった。