わしの住処の近くに、長い商店街がある。
よくそこを歩くのだけど、しばらく前から、いたるところにこんなポスターが。
「アンコウの吊るし切り 11月7日(日)11時~」
どうやら、アンコウを吊るして切るイベントらしい。
新潟のどこかの町の魚関係の人が来て、
物産展的なものを行い、その一環として、吊るし切るらしい。
世の中には、いろんな出し物があるものだ…。
アンコウを吊るして切るのが出し物になるなら、
お母さんが味噌汁を作ることも出し物になるのではないか。
豆腐を手のひらの上で切るときに歓声があがるのではないか。
とかなんとか言いつつ、興味が湧き、
休みの日なのにちゃんと起き、
11月7日(日)11時に商店街に向かってしまう。
アンコウの味噌汁が買えるとのことだったので、
持ち帰って食べようと、ご飯のスイッチまで入れて向かってしまう。
商店街の道の真ん中に、ステージができ、アンコウが吊るされている。
けっこうでかい。
中高年を中心に、人だかりが。
新潟の魚関係のおじさんが、アンコウについて説明する。
深い海が近いから、アンコウなど、珍しい魚が採れるそう。
おばあちゃん、写メる!
おじさん、「講釈はこれくらいにして」と言い、
包丁を持つとまずは皮を剥ぐ。
口のあたりから剥がし始め、ギュギュっと引っ張ると、あれよあれよとアンコウは肉色に。
ねじまき鳥クロニクルの皮剥ぎボリス。
そして腹を切り裂き、内臓を出す。
胃袋から、ネコザメとカレイとサムシングがでろりと出てくる。
おばあちゃん、動画で写メる。
おじさんがその都度、「これが心臓」「これがアンキモ」とか、説明してくれる。
その他いろいろ分解し、20分経つと、最終的にアンコウの口だけが、吊り下がってる状態に。
どんなことがあってもぶら下がり続けた口のけなげさよ。
「子どもたち、触ってみてね」と言って、肉片になって箱に収まったアンコウを差し出す。
それで終了。
拍手が起き、アンコウの味噌汁、アンコウのから揚げ売り場に人が殺到する。
わしも味噌汁を2杯ゲットし、
家に持ち帰ってご飯と共に食べる。
ああ、おもしろかった。
アンコウの吊るし切りは、立派な出し物として成立していた。
いくつかのエンターテインメント要素を備えていた。
・物珍しさ
・知的欲求への刺激
・スリラー
perfumeのライブの前座がこれで良いと思う。