わしは新聞紙をモシャモシャ丸めてガムテープで巻いているだけなのだが、
たったそれだけなのだが、
そのせいでいろいろなところに連れて行ってもらえるようになってきた。
最近はそれから発生した4つのプロジェクトを同時に抱える贅沢な感じだった。
一つは、テレビ取材。
日本電波ニュースという会社様から、半年くらいにわたって、ちょくちょく取材を受けていた。
最終的に、28分のテレビ番組となり、海外向けのNHKワールドというチャンネルで放送されるようだ。
日本のテレビでは放送されないが、ネット上では見れるらしい。
日時は、12月23日。また期日が近づいたらお知らせする。
わしが作品を制作するところとか、職場で働くところとかが流されることになると思う。
こないだは、取材の最後の段階として、このブログから引用された文を、わしが音読し、それを音声収録するということで、
麻布十番にある日本電波ニュース社に出向いた。
日本電波ニュース社は、歴史が古く、元は海外を取材することが中心だったとのことで、
社内はアジアとか、国内の社会問題とか、
そういう資料がランダムに蓄積されていて、ややカオスだった。
ディレクターさんが編集のためにこもるタコ部屋や、仮眠のためのベンチを見学させてもらった。
実に面白かった。
二つ目は、教科書。
数年後のことになるかも知れないが、日本文教出版という会社様が出している、高校の美術3の教科書に、わしのことがちょっと載る予定である。
教育と美術に二股かける者として、これほど嬉しいことはない。
こちらは中野にある支社に出向いて、3時間かけて新聞紙とガムテープでスニーカーを作り、
その様子を撮影してもらった。
三つ目は、こないだ終わった。
「国立デザイン美術館をつくろう」のシンポジウムである。
こちらは倒錯していた。
西洋美術館長の青柳正規氏と、あの深澤直人氏にはさまれた席で、700人を目の前にし、
新聞を丸めるしかできないこのわしが、デザインについて語るのである。
わしのできる範囲で、ベストと誠意をつくしたつもりだ。
まあなんというか…度胸が形成された気がする。
一から三つ目は、わしのやることはだいたい終了したといえる。
四つ目は、まだまだこれから。
来年、船橋にあるアンデルセン公園こども美術館という場所で、展示する予定なのだ。
この公園は、本当にすごい。
とりあえず広く、園内は花が咲き乱れ、尋常じゃない数のアスレチックに、変り種自転車、プール化した噴水、パターゴルフ、つり橋、ポニー、羊、造形のワークショップ、風車、とにかく子どもが喜びそうなものが何でもある。
電気を使わないディズニーランドというか。
アンコウ型のクレーンとか、意味不明なものまである。
突如岡本太郎の彫刻が現れたりもする。
その一角に、ある美術館内の、
20メートルを越すかまぼこ型の空間を含めた3箇所ほどの展示スペースを、
すべてわしの作品のみで埋めろというミッションだ。
できればアンデルセンネタを絡めて。
何事も経験であるという言葉が真実なのだとしたら、
新聞紙を丸めることはわしにとって非常に理に適っている。
教員の仕事が生活の大半で、その合間を縫ってでしかできないが、
願わくば、ずっと何かを抱えていたいものだ。
何も無い期間もあったから、何かあるというのは、涙が出るくらい嬉しい。