帰ってきてからも息つく間もなく忙しかったので、松山に行ったのも一週間前になってしまった。
錠剤が水に溶けるようにいろいろな細かい記憶は消えてしまったが、
しかし色水が広がるように印象として残っている。
たったの一泊二日であったが、非常にめまぐるしく、いろいろなものが目の前に提示された。
一時間に一つは変なもの、興味深いものが現れる感じ。
そこに共通項として浮かび上がるのは郷土愛だったか。
坂の上の雲ミュージアムにいた、秋山好古のコスプレをしたボランティアのおじさん、
三角形の安藤忠雄建築は昨年訪れた秋田県立美術館と正直いっしょ、
今治タオルなど愛媛の特産工芸品を集めた非常にオシャレなお土産屋、
バリィさん、
みきゃん、
砂絵のアーティストさん、
理系女子、
コンテンポラリーダンスをやっている人、
仕掛け時計、
道後温泉、
道後温泉脇から突如噴出する霧のアート、
自然派のとろろごはん弁当、
芋煮、
じゃこ天、
小さな貝、
ガリガリ君サワー、
長なすの話、
ポンジュース、
ポンジュースをお母さんが作っていたという人、
ポンジュースのTシャツ、
坊ちゃん、
マドンナ、
母の友人だという人、
その友人の美術研究所をやっているという人、
粘土で小さなうさぎを作っているという人、
よさこいを踊る人、
ハリケーンポテト、
ずんだもち、
ホテルの社長さん、
愛媛新聞社の方、
朝食バイキングにお好み焼き、
愛媛大学のキャラ、
みかんパンとみかんごはんの話、
話し合うサークル、
農業機械の会社に就職して一年目という人…
それらに目を回しながらも何とか終えたワークショップ、
フラフラになりながらお茶を飲んで休憩、
そこに学生さんが持ってきてくれたまんじゅうに何か顔がプリントしてある。
「ほらこれ、ユダマンですよ」
ああ、またなんか来た!
バリィさんもみきゃんも愛媛大学のキャラもいるのにまだ何かいるのか!
キャラ多いな!愛媛!
それらはやはり、郷土愛の発露なのだろう。
人文や薬学などいろいろ勉強した末に、外国人観光客に松山を紹介するため、英語を勉強しているという同世代の青年にも会った。
すごいなあ、そこまで郷土に想いがあるというのも。
確かに、松山はすごく良いところだった。
道後温泉は、わしが今までに訪れた日本の観光名所の中でトップクラスの、
素晴らしくわし好みのプレイスだった。し、
気候は温暖、坂の上の雲の冒頭に描かれるとおり優美な松山城、
果物がたくさん実り、海産物にも恵まれ、
人は穏やか。
愛される理由は、よく分かった。
わしも故郷グンマを愛してはいるが、
結局のところ全てにおける発信地である東京に自分を提出し、
どこまでやれるか実験しているわけだ。
もちろんわしはこれで良い。
と思いながら、帰ってきて、みじんも穏やかでない品川駅のごちゃごちゃに入っていく。
郷土のために働こうとも、自分をどこまで広げられるか試そうとも、
それぞれに燃焼すればよい。
世の中の中心であるべきは、ロマンスグレーではなく、わしらであるべきなのだから。
さーて来週は、北海道に行かねばならぬ。
そのために作った150センチのぶんちゃん。