カテゴリ:日記( 582 )
靴下とわし
帰宅し、一番上に来ていたものを脱ぎ、
手を洗い、うがいをし、
あと一つ、
靴下を脱ぐ。
脱がねばやってられぬ、という気になる。
靴下脱いで、さっぱりしたい。
手の親指ひっかけて、グアーッと脱いで、反対も脱いで、
ひっくり返りを、はいこうやって、直して、直して、
ドーーン!
と、昔、松本人志さんが「キャシー塚本」のコントでやっていたみたいに、
わしは靴下を洗濯機に投げ込む。
「この次は法廷で会うわよ!」
と、言葉を投げつける。
今まで靴下履いていたなんて、信じられない、とか、
大げさに言うとそんな感じになる。
「素足ナンバーワン!」
と叫ぶ。
足、
ここに、靴下を履き、
その上、靴を履いて、
それで一日中過ごしていたなんて!
俄かに信じがたい。
一体どれだけのストレスを、
意識しないままに、受けていたのか!
ああ、締め付けられていたのか。
素足ナンバーワン!

ややあって、
寝る段になり、布団に入る。
何かの不足を体が訴える。
これから眠るにあたって、何か足りないと察知する。
足がスース―する。
わしはのっぽである。
布団の下から、足が出る、わけではないが、
出ないまでも、
「もう少し下にいったら布団が終わる」
という感じを、雰囲気を、
足が感じている。
そのままにおいて、眠ると、
何となく眠りが浅い。
わしはやおら、がバッと起き、
タンスから靴下を出して履く。
4月も後半?
「関係ないね」
柴田恭兵のように、わしは言う。
「関係ないね」
寝るときの靴下。
寒い時期…
10月くらいから履いているかも。
一年の半分、わしは寝るときに靴下を履く。
先ほど激しく洗濯機に投げ込んだそれを、
いや正確には、昨日以前に投げ込み、洗われて干されてタンスに収められていたそれを、
わしはまた求める。
喫緊に求める。
やっぱりお前じゃなくちゃ。
靴下よ、
君がナンバーワンさ。

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by syun__kan | 2018-04-17 23:11 | 日記 | Comments(0)
伸縮する時間
幼児が蝶々を追いかけていた。
オオイヌノフグリが青く、タンポポが黄色く咲く公園を。
花が半分残った、桜さえ、花びらを散らす、
日差しの暖かい春の日、
うちの娘が、「まってー」と言って、モンシロチョウを追う。

くらくらした。
ベタさに?
昭和の国語の教科書の挿絵のような?
わしは小さな犬さえ連れている。
いや、ベタというより、ここまで出来過ぎていると貴重だ。
そう、貴重なのだ。
貴重で刹那。
このような景色は普遍的だが、
娘の人生の中でも、わしの人生の中でも、
こんな時期は一瞬なのだろう、という、
その刹那感に、くらくらした。

年度の変わり目の、一週間ほど春休み。
今年に入ってから、仕事で帰りの遅い日が続いていたので、
このようにゆっくりと、
ゆーーくり、ゆーーくりと、
ひたすら家族と過ごす、
お金は無いから遠出とかはできないけど、ただ過ごす。
という機会も、それはそれで良かった。

ゆっくりして、さぞかし体力も回復しただろう、
といきたいが、
不思議と言うか不可解なことに、
ゆっくりと過ごすと、わしは弱っていったりする。
忙しかった期間のダメージが、気が抜けたことで露呈するのか。
リズムが狂うのか。
回復したのか弱ったのか、
今一つ掴みどころのない、自分の体を眺めて過ごした。

やがて仕事が始まる。
朝早く起きて、初日は、
美術室でパソコンを打った。
生徒はまだ春休み中。午前中は会議。
12時になって昼休み、だが、
打ち合わせがあり、
終わったら12時40分で、この後13時になったらまた午後の会議があり、
しかし朝早かったのでお昼ご飯をもっていなく、
どうしても汁物が食べたく、
安い汁物といえばカップラーメンなわけで、
近くにコンビニあるけどスーパーの方が安いので、
少し離れたいなげやに行って帰ってきたらもう12時54分で、
急いで具やスープの素を入れてお湯を入れて、
待ち時間の間に書類をプリントアウトしようとしたりし、
もう時間が無くて、
たぶんまだ全然3分経ってないカップラーメンを吸い込むと、まだ全然硬く、
いや、博多の豚骨ラーメンには「バリかた」とかの文化もあるよなと言い聞かせて吸い込む、
いや、硬すぎて吸い込めず、モサモサと食むような感じで、
いや、これはバリかたとかじゃなく、本当にただ未完成だと思い、
しかしながら、例えば餃子を焼いたら皮がフライパンに張り付いて分解してしまったときとかに、
「食べちゃえば同じだから」とポジティブな言い訳をするようなあれを、
自分に言い聞かせ、
引き続きハムハムと食む、
いや、これは「食べちゃえば同じ」というよりは、
未完成の乾麺を嚥下し、熱いスープを飲んで、
おなかの中で完成させている感じだな、
これはそう、おなかの中でラーメンを作っているのだ、
と、思った。
1時のチャイムが鳴る。

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by syun__kan | 2018-04-05 00:04 | 日記 | Comments(0)
男子フィギュア、女子フィギュア
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娘の、シルバニアファミリー遊びに、ただ付き合うのは正直退屈なので、
少しでも、自分が自発的に楽しめるよう、
実家からプロレスラーのフィギュアを持って来た。

シルバニアファミリーの近所には、蝶野正洋が住んでいて、
「アイム・チョーノ!」と言って、
時々ブティックに尋ねて来る。
激しいセリフはありつつも、
「バッグ欲しいんですけど」等、
親和的な発言もする。
娘が動かす、猫やウサギは、
「えー・・・」と言って、少し対応を考えつつも、

ほら、蝶野さんはサングラスが取り外し可能。
ネックレスも、「nWo」とペイントしたチャンピオンベルトも、
持っている棒も、取り外しできるよ。

と、こういった着せ替え要素が、微妙に乙女心をくすぐるのか、
何だかんだで、受け入れる度量を見せ、
バッグ等を売ってくれる。

人形か…わしも子どもの頃好きだった。
レスラーも、怪獣も、
細かいのたくさん持っていた。
ただ、大学に行き始めて、
6畳一間に一人暮らしをした際、
人形を置くスペースが、14型のテレビデオの上しかなかったのだ。
一応、その上に武藤敬司のフィギュアを置いたが、
他は群馬の実家に置いてきた。
その時わしは、
「所有」って何だろう、
と思った。

目の前にあるのは、武藤敬司だけ。
残りの、コジラもガイガンもガメラも何もかも、
実家の衣装ケースにある。
普段の生活で、目にすることはもうない。
それらが、実家の衣装ケースに存在していることと、
お店に存在していること、
ガシャポン販売機のカプセルの中に存在していることは、
なんの違いがあるのだろう?

そう思ったら、欲求が完全にスイッチオフになった。
以来、フィギアを買わなくなった。
一つ、人生観が更新された瞬間だった。

しかしながら、今こうして、
蝶野フィギュアが、実家の衣装ケースから、
20年ぶりに、まさかの現場復帰を果たしたりするのは、
やはり「所有」の成せる業かもしれない。
と、また微妙にアップデートされる人生観。
トイストーリー的な世界観的にも、
しまわれているより、子どもに遊ばれる方がおもちゃも本望であろう。

蝶野さんの他に持って来た、グレート・ムタのフィギュアは、
顔が怖いため、あまり受け入れられなかった。
でも、せっかく引っ張り出してきたので、
折れてしまったまま、長らく放置していた衣装のパーツを、
接着剤でくっつけて、補修して飾ることにした。
たまたま、奥さんが以前買って、使わないままでいた、
100均で一番強力と言う触れ込みの、
二つのチューブを混ぜて使う接着剤を、開封した。
開けると、くさかった。
少し離れたソファに座っていた奥さんも、「くっさ」と反応するほどに。
でもそれは、マイナスポイントではない。
変に、いい香りとか、ラベンダーの香りとか、付いている方が、
気が散っている気がする。
くさい接着剤、いいね。
接着することに、集中しているってことだ。
寝ぐせに構わない、将棋の羽生さんみたいなものだ。
10分で硬化すると書いてあったから、
パーツを手で押し付けて、
フィギュアをテーブルに寝かせて、しばらく放置して、
少し経って、ふと見たら、
圧着したはずのパーツがポロっと取れていた。
くさいだけかい!

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by syun__kan | 2018-03-31 16:40 | 日記 | Comments(0)
ベッド
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昼間、人間が出かけているときは、
犬と猫は、2階のベッドにいるか、
または1階の日当たりの良いところにいる。

犬猫は、暖かい所を求めることに、非常に貪欲だ。
暖かい場所へ、少しでも暖かい場所へ、
冬の間などは、カーペットの上に敷いてあるマットの下や、
ソファの上の毛布の下に潜り込む。
その結果、一見誰もいないように見え、
実は下に犬猫がいる、ということになり、
けっこう真剣に危ない。
特に犬のハルちゃんが危ない。
洗濯ものを干したり、行き来する生活の動線の中で、
何か膨れているな、と思ってめくると、
下に、ペターッと横倒しになって目が半開きの犬がいるのである。
うっかり気付かず踏んでしまえば、大怪我につながるはずだが、
犬は分かっていない。
涅槃のようなリラックス顔が、いつ起こるとも知れぬ大惨事とのコントラストを描く。

2階のベッドともなると、さらに分からない。
毛布と掛け布団が重なっているため、
マットレスと毛布の間に犬がいるのか、
毛布と掛け布団の間に猫がいるのか、
一番上にいる場合もあり、
どこに具が入っているかわからないミルフィーユで、
夜はそこに人間たちが、まみれて寝ることになる。
猫のコマちゃんなどはけっこう重いので、
一番上に乗られると、布団を引っ張り上げても文鎮の様になって上がらず、寒く、
暖かい場所へ貪欲な彼らとの布団の奪い合いのような、
うやむやな冷戦のようになる。
娘が持ち込んだ、
エルサとかチーターとかキツネのぬいぐるみもさり気なく加わり、
こうなるともう、いるのかいないのか、
誰が生きていて誰が人形なのか、
犬も猫も人間も、境界があいまいになり、
娘が、布団の中で触れた塊について、
これはお父さん?と聞く。
それは、お父さんだろうか。
犬のハルちゃんだろうか。
実はカメキチだ。
お父さんが子どもの頃、飼っていた。
クサガメだ。
一年中、水槽から出ようとして、
ガタゴト、ガタゴト、音を立てていた。
それがあまりに不憫だったので、数年飼ったのち、
父とカローラで嶺公園に行って、池に放した。
カメキチは、池に浮かんで辺りを見回し、
「あ、いいんすか?」
という顔をしてから、潜っていった。
現代の感覚で言うと、特定外来生物を野に放つ問題行動じゃが、
池の水を全部抜いて断罪される行為じゃが、
昔のことじゃ、許しておくれ。
こちらにおしりを向けているのは、ワンキチだ。
わしが3歳の頃に、近所の高山さんからもらってきた子犬で、
15年くらい飼っていたけど、
その後逃げて、戻って来なかった。
病気になって、わしの目の前に出て来て息を引き取った猫のピーちゃん。
毛布と掛け布団の間にいるのは、ワンキチの後を継いだ犬のマックではないか。
同じく実家で飼っていたウサギたち。
奥さんと結婚する前に飼っていたフェレット。
足にチクチク刺さるのは、やはり奥さんと飼っていたハリネズミだろう。
皆、暖かい場所を求めて、
グルグルと、グニャグニャと、
もんじゃ焼きの様になって眠った。

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by syun__kan | 2018-03-31 13:54 | 日記 | Comments(0)
武器と乗り物
最近、ふと、1歳の頃の娘の写真を見て、
フェアリー感に驚いた。
確かに、4歳の今もかわいいが、
1歳の頃の、しゃべれなくて母乳しか飲んでいない感じは、
何というか、宇宙的というか、神様感というか、
ああ、寝なすった、起きんさった、ありがたや、みたいな感じがあった。

今の娘は、外部の食物をがつがつ摂取し、
幼稚園で集団に揉まれ、
プリキュアのグッズを貪欲に求め、
今日は隣の市の公園で、自転車の練習をする。

公園には、
自転車の他、
キックボードや、真ん中に関節があって捻れるスケボーのようなもの、
ストライダーというペダルのない自転車や、
棒が組み合わさって三角になってタイヤが付いてウニョウニョしながら進む不思議な乗り物など、
子どもを中心に、
何やら、実に様々な乗り物で、移動することで遊んでいる。
それほど効率の良くない移動手段で敢えて移動することがエンターテイメントでありレジャーになるようだ。

トイザらスとかに行けば分かる。
男の子のおもちゃは、武器か乗り物だ。
動物モノとかの例外はあるけど、
大体は刀剣か銃火器のモチーフ、もしくは乗り物の象徴であるタイヤを有す。

大人より本能に近い男子幼児がそれを好むということは、どういうことか?
乗り物は移動するための道具で、武器は攻撃するための道具なり。
男子は、外部に移動して打って出て、周囲を制圧して領土を広げていくことが、本能に備わっているのかもしれない。

女の子のおもちゃは、キラキラ、ヒラヒラと着飾ったり、
炊事、子育てをモチーフとしたごっこ的な物が多いか。
やはり異性を惹きつけ、家庭をまわすことが本能なのか?
しかし、うちの子も、乗り物は好きだ。

自ら漕ぎ出すことはできないが、
最初を補助すれば、
よろよろしながらも、自分である程度自転車を漕ぐことができるようになってきた。
そして友達と会い、一緒に遊び、
帰る段になってもう一度乗ったら、さらに上手くなっていた。
一日の内で成長を見せつけるとか、さすがは幼児である。
まるで早送りだ。
この数時間、わしは何が変わったか?
これといって無い。
しかし娘は自転車にある程度一人で乗れるようになったのである。

乗れるようになると、速い。
こちらは頑張って走らないと、追い付かないのである。
チャリンコをチャリチャリ漕ぐ娘の、後ろ姿。
その瞬間、その背中から、
晴れてフェアリー感が消え去った。
宇宙でも天使でも神様でもなく、
娘はどう見ても人間だった。

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by syun__kan | 2018-03-24 21:43 | 日記 | Comments(0)
運動神経
家族で公園に。
娘は自転車の練習をするが、まだまだ走れない。
奥さんが中腰で自転車の後ろを持って、進む。

奥さんが、
「がんばれ、荒川静香の娘は2歳でもう乗っているよ」
と、激励する。

わしにはよく分からないが、SNS等の発達により、
我々は荒川静香さんの娘の様子を知ることができる。
2歳でもう、自転車を乗りこなしていたらしい。

わしらの娘はもう4歳なので、荒川さんの娘と比較し、
年長者なのだから、乗れるようにがんばれ、
という理論だ。

しかし、言って良いかな。
まず、オリンピック金メダリストである荒川さんと、自分の運動神経を比較するべきではないだろうか?
イナバウアーの人だ。
わしが、奥さんが、どれだけ背中を反れるというのか。

わしらはそのうち、河原についた。
わしは平らな石を探して、
サイドスローで川に向かって投げ、水切りをする。
チョンと、水の上を跳ねる石。
「どうやるのそれ」と言って、やってみる奥さん。
わしは、これこれこういう石がいいんだよ、投げ方は…等、説明するが、
わしとて、実は子どもの頃はできなかった。
上手く水切りする友達の傍らで、いつも石を水没させていた。

というか、わしは「少し運動が得意だとできるもの」が、
子どもの頃全くできなかった。
うんていとか、竹馬とか、二重跳びとか、一輪車とか、紐を使ったコマ回しとか、リフティングとか、
そういうの全部!
サッカーのリフティングなど、体育で「10回やれ」と言われ、
クラスの中で5人だけ、授業終了時まで達成できなくて、
残された5人で「運動ダメレンジャー」を結成した覚えがある。

ただ、大人になって、少しは体の各部分と頭が連動してきて、
苦手だった事項を、克服できることも出てきた。
水切りもその一つだ。
大人になって、「手首をスナップさせる」ということが、少し分かった。
スナップ。
ああスナップとか、全然できなかったなあ!!

「スナップを効かせて、サイドスローで投げるんだよ!」
と、なけなしの経験で伝えるわし。
わしがスナップを語る日が来るとはな。
しかし奥さんの投げる石は、山なりを描いて川に落ちる。
「山なりになってんじゃん!サイドスローで低く投げるんだよ!」
と伝えるが、
続いて奥さんが投げた石は、
また山なりになって、対岸まで飛んで行く。
全然だめだ!
娘も真似して、石を川に投げる。
ボチャン!
水切りで石が跳ねていることを理解できず、
両親はただ石を川に投げ込む作業に没頭していると思ったのだろう。
続いて娘が投げた石は、川に入らずに河原にゴチンと落ちる。
奥さんは変わらず、山なりの軌道で石を投げて「あれ!?あはは!」と笑う。
先輩風を吹かそうとしてわしがもう一度投げた石は、
やや力んだためボチャンと沈む。

本当にヘッポコな家族が河原で遊ぶ。

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by syun__kan | 2018-03-21 23:05 | 日記 | Comments(0)
恥ずかしさ
娘が言う。

「恥ずかしいって、どういうこと」

このように、言葉の意味を聞いてくることは、
4歳児になると、しばしある。
わしは少し考えて、

「何か失敗して、見られちゃって嫌だったとか、そういうことかな」

娘は「名前呼ばれると恥ずかしいのよ」

わし「名前呼ばれるだけ?」

娘「名前」

わし「それだけで恥ずかしいの?」

娘「うん」

わし「…誰に呼ばれるの?」

娘「うーん」

わし「Kちゃん?」

Kちゃんは、娘のクラスの男子で、
仲良しの一人なのだが、
この3月に引っ越しして転園してしまうのだ。

娘「…うん」

わし「Kちゃんに名前呼ばれると恥ずかしいの?」

娘「うん」

娘よ、それはたぶんそれは恋などと呼ばれるサムシングだ。
食卓のライトに照らされて娘は宙を見ている、
その横顔に、わしは持っていたウイスキーを、「飲むか?」と差し出し、
というのは冗談で、自分で飲んだ。

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by syun__kan | 2018-03-21 21:26 | 日記 | Comments(0)
独裁者
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帰路の電車で、ひばりが丘で途中下車した。
TSUTAYAで、チャップリンの「独裁者」を借りるためだ。

担当している学習グループで、
今年度の最後の2時間は、「独裁者」を、2回に分けて鑑賞すると、
前々から決めていた。
このグループは歴史を勉強してきて、
近現代の戦争の辺りは特に興味深く学習した。
学習の最後に、戦史に関連した映画の鑑賞で締めるというのは、
わしとしては完ぺきな流れだ。

雨の降る中、ひばりが丘のTSUTAYAに入り、
「洋画 ドラマ と」の所を探す。
すると・・・無いのである。「独裁者」。
念のために、チャップリンの頭文字「ち」の所も探すが、無い。
まさか。
チャップリンの他の映画も探すが、
「ライムライト」はあった。
「モダンタイムス」は無い。
考えてみれば、ここのTSUTAYAは狭い。
小学校の図書室くらいしかないのではないか。
おまけに面積の3分の1くらいは漫画のレンタルだ。
このご時世、
古いモノクロ映画を、わざわざレンタルして観る人は、
あんまりいないかもしれない。
よって、需要と供給のサイクルから外れたのだ。
これは全く想定していなかった。
名画と呼ばれるようなものは、TSUTAYAには必ずあると思っていたのである。

そう、「独裁者」は名画だ。
チャップリンが、ヒトラーをモチーフにしたヒンケルという独裁者と、
ユダヤ人の床屋に、一人二役で扮し、
上質なコメディに乗せて、平和へのメッセージを熱く謳い上げる。
意見の表明というのは、こうあるべきだ。
意見は、ただ、それのみを表出しても、正直言って、誰も聞かない。
芸術に昇華し、お客さんに奉仕した上で、内側に込めるものだ。

でも、DVDは無い。
これが現実だ。
しまった。
「独裁者」を見せたいのは明日だ。
今年度、この学習グループの授業はあと2時間しかない。
明日見せられなければもうアウトだ。

ひばりが丘駅の反対側には、CDショップもある。
そこに行けば、「独裁者」のDVDを購入できるかもしれない。
購入すれば、数千円かかる。
若いころなら、買ったかもしれない。勢いで。
しかし現在のわしは、妻子ある34歳である。
アクセルの踏み込み方に差が出てくる。
ここは…自宅の最寄り駅のK駅の図書館に望みをかけよう。
と、わしは購入案を捨てる。
もう、けっこう夜も遅いから、
K駅図書館に無ければ、本当にそれでアウトだ。

K駅に着き、図書館に行くが、
果たして「独裁者」は、無かった。
逆にチャップリンの、ブレイク以前の、ごく初期の映像を集めたマニアックDVDは揃っていて、
「どうしてそっちへ行っちゃったかな!」
と、わしはつぶやいた。
この図書館にはVHSもたくさんあるので、念のため「と」の所を探してみたら、
スターリンを描いた「独裁」という映画はあったが、「独裁者」は無かった。
「そっちじゃないんだよな!」
と、わしはつぶやいた。

念のために、向いの本屋にも行ってみたが、
いや、本屋なので基本的にDVDは売っていないのだが、
あくまでも念のために覗いてみたけど、
デアゴスティーニなどからチャップリンのDVD付きムックなどは、発売されてはいなかった。
ほぼ当たり前だ。

さらに念のため、
駅周辺にある、DVDも取り扱っている古書店にも行ってみたが、
もちろん無い。
あとどこだ?この近辺で「独裁者」がありそうな所は。
「独裁者」マップとかあればよいのに。
広域で、「独裁者」のDVDが存在する地点に印が付けばよいのに。

強くなった雨の中、歩いて家に帰り、夕飯を食べる。
諦めることもよぎったが、
やはり、前々から決めていた計画を、ここまで来たら遂行したい。
ネットの在庫検索で調べたら、車で15分ほどの場所にある別のTSUTAYAにはある。名画「独裁者」。
やはりレンタルビデオ屋はこうでなくでは。
わしは雨の降りしきる夜道、車を出した。

到着し、「洋画 ドラマ と」の所を探す。
無い。って無いやん!
「独裁者と私」という映画ならある。
「“私”は、いらんねんけどな!」
と、わしはつぶやく。
検索機があったので、調べる。
「洋画 ドラマ と」にあると出ておる。
情報を印刷し、店員さんに渡し、
「あのー、これを探してるんですけど」
と伝える。
店員さんはやはり「洋画 ドラマ と」の所を探し、
無いとみるや、
棚の右下の隅に視線を移した。
そこには小さく、「マリリン・モンロー」と「チャップリン」のコーナーがあった。
分けることで分かりずらくなるパターン!

いや、いいよいいよ、全然いいよ。
あるならいいよ。
わしはついに「独裁者」のDVDを手中に収め、
夜遅く帰宅し、就寝した。
しかしまだ、懸案事項があるのだ。
職場の、DVDを再生するパソコンと、スクリーンに投射するプロジェクターの相性が、最近悪いのである。
ちゃんと映るか、分からない。
ああ、DVD一本見せるだけで、どんだけ関門を超えなくてないけないのか!

翌朝、
職場でパソコンとプロジェクターの接続をチェックする。
やっぱり映らない。
他のプロジェクターを借りて来るか、パソコンを替えるか…
あちこちに借りに行ったりしていたら、
いつの間にか元のやつで映るようになっていた。
寝かせといたら良くなるとか、君たちはパン生地か。
メカとしてどうなんだ。
まあ、映るなら、いいよ、全然いい。
無事、この日は、「独裁者」の前半部分を上映できたのである。

チャップリンは、約80年前の映画だが、
その笑いは、今の若い子にも通用する。
フライパンで悪者の頭を叩く様子は、永遠に、普遍的に面白い。

続いて、その翌日、後半を映そうとする。
前半部分はもう観たから、飛ばさなくては。
しかし、メニュー画面がどうやったら表示されるか分からない。
DVDの、ディスクを挿入して以降の再生とかメニューの仕組みが、ものによってまちまちなのは、どうにかならないのかな!
仕方なく、とりあえず最初から映してチャプターをスキップしていくが、ある所まで来ると、
それ以上、スキップができなくなるのである。
先に、進まないのである。
時間は刻々と過ぎる。

ああ、これだからデジタルは嫌いだ!
今日この時間で、残りの後半1時間を観終わらないといけないのに!
パソコンの中で、ウィンドウズ・メディアプレイヤーの中で、何が起きているのかさっぱりわからんぽん!
ビデオテープの方がよっぽど分かりやすい!
黒い帯を巻けば進み、反対に巻けば戻るのだから!
文明に翻弄されるわしの姿は、どちらかと言うと「モダンタイムス」だ。
「モダンタイムス」を、わしは実演している!
画面では、チャップリン扮するヒンケルが、
書類にサインしようとして、ペン立てからペンが抜けず、
「ペンまで役に立たない!役に立つものは何もない!」
と、ヒステリックに叫ぶ。

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by syun__kan | 2018-03-14 23:10 | 日記 | Comments(0)
燃え続けるもの
日本における、カーリング普及の発祥地は、
北海道の、「常呂」という場所である。

今年のオリンピックの銅メダルで、知ったのではない。
このことを知ったのは、2016年の夏だ。
滞在制作で広島を訪れていたわしは、
偶然、同地で開催されていた、高校総合文化祭の、演劇部門の発表を観に行き、
北海道代表の北見北斗高等学校の「常呂から TOKOROcurler 」という劇を見て、
涙が止まらなくなった。
まだ日本で知られていないカーリングに憑りつかれ、常呂で広めようとする父と、
反発する思春期の娘を中心とした、
事実を基にした創作劇なのだが、
ゴダイゴの曲も相まって、とくにラストシーンは鮮烈で、感動を受け、
未だにたまに思い出す。

ちなみに広島県代表校は、原爆を題材にしていた。
自分のバックボーンを、
ポジティブなことでも、ネガティブなことでも、
糧として活かし、作品に昇華する高校生たちの姿に、
かなり天啓的なものを得た。

わしが2012年に岡本太郎賞を獲った「感性ネジ」という作品は、
東日本大震災で抱いた思いを、発想の源にしている。
しかしわしは、東北出身ではないし、
大して被災していない。

7年前の震災の時は、職場の、東京都練馬区の学校にいた。
授業中に揺れ、生徒を机の下になるべく隠れさせたが、
隠れ切っていない体のすぐ脇の棚がぐらぐら揺れた。
あの棚が、倒れてきていたら、どうなっただろう、
と、思うことはある。
揺れが収まったのち、グランドに皆で避難し、
余震でビリビリと震える校舎の窓を見ていた。

でも結局はそれまでだった。
放射線量も、避難がどうこうという話にはならなかった。
そしてわしはテレビを持っていなかった。
津波等の映像も、ガラケーのワンセグで、
ほんの少し見ただけだった。
それだけの経験から、受けたサムシングを、込めて作ったのが、「感性ネジ」だった。
もちろん、精神的に受けた影響は、非常に大きい。
込めた思いは、自分なりに極めて本物だ。
しかし本当に被災した方に比べたら、「それだけ」と言わざるを得ない。
「それだけ」なのに、賞まで獲って、
お前、何様だよという気持ちが、
ずっとうっすらとあった。
常呂の高校生が作る劇、広島の高校生が作る原爆の劇とは話が違う。
お前、被災してないじゃんという、
後ろめたさのようなもの。

それが、この間三宅君と対談し、
自作について語る機会があって、
そして1年前に購入したテレビにより、
ここ最近の震災関連の番組において、津波が押し寄せ、
電柱を倒していく映像を初めて観て、
自問が再燃した。

原爆が、70年以上たった今でも、
「生きた問題」として有り続けるのは、
それがあまりに「強烈な不条理」だったからだろう。
「強烈な不条理」は、語っても語っても、納得いく答えに辿り着く訳がないのである。
東北の方々にとっては、震災が「強烈な不条理」だった。
だから、震災に関する問題や思考や表現は、
今後もずっと、答えを持たずに燃え続けるに違いない。
わしの自問もだ。

言葉に限界が生じたときに、
人に寄り添えるのがアートかもしれない。
岡本太郎作品の中で、わしが一番好きなのは、
実は生田緑地にある「母の塔」だ。
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この塔は、大樹のような母の、幹がスパッと切られ、
母は死に、
しかしその断面から、新しい命がどんどん生えていく様を表していると、
わしは思っている。
(この解釈を、太郎記念館の学芸員さんに話したら、
「それは違います」と、ちょっと驚くくらい正面から否定されたがw)

今もなお活躍されている、三宅一生さんは、幼少期に広島で被爆し、
イサム・ノグチの設計により爆心地近くに架けられた二つの橋に影響され、
デザインの道を歩んだ。

問題も思考も表現も、ずっとずっと燃え続ける。

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by syun__kan | 2018-03-11 22:53 | 日記 | Comments(0)
コロコロ®
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うちのカーペットクリーナーは、もちろん、日東電工の正規品、コロコロ®だから。
カーペットクリーナーにもいろいろあるけど、
日東電工のコロコロ®は、他と全然違うんだから。

でね、この間、これでシーツの上を、きれいにしていたのです。
大抵の埃や髪の毛は、優秀な日東電工の正規品の力で、一網打尽されていく。

シーツの上の、少し離れた所に、塵が見えるわけです。
「あ、あれを取ろう。このコロコロ®で」
と思うわけです。
そして、ころころころ~っと、転がしていく。

狙いを定めたあの塵に向かって、
コロコロ®は迫っていく。

もう少しで、あの塵に到達する。
もう少しで、あの塵は、ほぼ間違いなく、
このコロコロ®に巻き上げられる。

しかし、コロコロ®がシーツの上を転がってくことで、
シーツ上に、振動が生じる。
細かく。
ワワワワワッと、シーツが小さく揺れるのです。

そして…

あの塵に到達する、寸前で、
シーツの振動によって、あの塵が、ピョンと跳ねる!
その下をコロコロ®がくぐる!
わしの目には、その様子が見える!

「な、なにを!」
と、わしは思い、
コロコロ®を逆戻りさせる。
するとその振動で、あの塵がまた跳ねる!
その下をコロコロ®がくぐる!
「な、なにを!」
と、わしは思い、コロコロ®を進める!
塵が跳ねる!くぐる!
跳ねる!くぐる!
塵一つにどれだけ時間かけとんねん!とわしは思う!

「こういうことってあるよね!」

と、わしは同意を求める、

奥さんは「無いよ!!見てないよそんな細かいん!」と答える、

娘は「うるさいですへんなふうにしゃべらないでください」と述べる。

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by syun__kan | 2018-03-07 22:46 | 日記 | Comments(0)



現代芸術家、関口光太郎の日記。
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