引っ越しの準備
あたたたたた。
と言っても北斗の拳ではない。
腰が痛いのである。
いたたたた。
わしは7時間以上寝ると腰が痛くなるのである。
今日は日曜日なので、昨日から今日にかけて、長く寝た。
はとバスのツアーに参加して、
地下の長いトンネルの途中にある、真っ暗なサービスエリアのレストランで、
定食を注文したものの、メニューが1時間半くらい出てこない夢を見て、
起きたら腰が痛い。
腰だけではない。左のワキと、右ひじも痛い。
鈍く、うっすらと痛い。
これは、風邪に起因する面が大きい。
1週間前にひいた風邪、だいぶよくなったものの、
フシブシの痛みという形で、まだそこにある。

でも、1週間後には引っ越しが待ち構えている。
なので、わしは、そして奥さんは、今日引っ越し準備をせねばならない。
あたたたた、と呻きながら、わしは奥さんと協力して、ベッドを分解する。
しかし、奥さんまで、いたたたた、と言っているのである。
奥さんは、このところの体重増への対策として、
2日前より腹筋運動をしているのである。
なので筋肉痛なのである。
二人ともよろよろしている。
奥さんは、よろけてマットに倒れこみながらもミシンを箱にしまう。
わしは、ロボットのようにぎこちなく歩きながら鍋を袋に入れる。
ばあさんや、と奥さんに話しかけて叩かれる。
引っ越ししても、わしらは何年生きられるかいのう。
と話しかけて、叩かれる。
奥さんは、マットに倒れ伏しながら、
わしが読みかけている恩田陸の「いのちのパレード」の文庫本を投げ、
「いのちのパレードどころじゃないよ。いのちの危機だよ!!」
と言っている。
# by syun__kan | 2010-11-14 13:57 | 日記 | Comments(0)
アンコウの吊るし切り
わしの住処の近くに、長い商店街がある。
よくそこを歩くのだけど、しばらく前から、いたるところにこんなポスターが。

「アンコウの吊るし切り 11月7日(日)11時~」

どうやら、アンコウを吊るして切るイベントらしい。
新潟のどこかの町の魚関係の人が来て、
物産展的なものを行い、その一環として、吊るし切るらしい。

世の中には、いろんな出し物があるものだ…。
アンコウを吊るして切るのが出し物になるなら、
お母さんが味噌汁を作ることも出し物になるのではないか。
豆腐を手のひらの上で切るときに歓声があがるのではないか。

とかなんとか言いつつ、興味が湧き、
休みの日なのにちゃんと起き、
11月7日(日)11時に商店街に向かってしまう。
アンコウの味噌汁が買えるとのことだったので、
持ち帰って食べようと、ご飯のスイッチまで入れて向かってしまう。

商店街の道の真ん中に、ステージができ、アンコウが吊るされている。
けっこうでかい。
中高年を中心に、人だかりが。
新潟の魚関係のおじさんが、アンコウについて説明する。
深い海が近いから、アンコウなど、珍しい魚が採れるそう。
おばあちゃん、写メる!
おじさん、「講釈はこれくらいにして」と言い、
包丁を持つとまずは皮を剥ぐ。
口のあたりから剥がし始め、ギュギュっと引っ張ると、あれよあれよとアンコウは肉色に。
ねじまき鳥クロニクルの皮剥ぎボリス。
そして腹を切り裂き、内臓を出す。
胃袋から、ネコザメとカレイとサムシングがでろりと出てくる。
おばあちゃん、動画で写メる。
おじさんがその都度、「これが心臓」「これがアンキモ」とか、説明してくれる。
その他いろいろ分解し、20分経つと、最終的にアンコウの口だけが、吊り下がってる状態に。
どんなことがあってもぶら下がり続けた口のけなげさよ。
「子どもたち、触ってみてね」と言って、肉片になって箱に収まったアンコウを差し出す。
それで終了。
拍手が起き、アンコウの味噌汁、アンコウのから揚げ売り場に人が殺到する。
わしも味噌汁を2杯ゲットし、
家に持ち帰ってご飯と共に食べる。

ああ、おもしろかった。
アンコウの吊るし切りは、立派な出し物として成立していた。
いくつかのエンターテインメント要素を備えていた。

・物珍しさ
・知的欲求への刺激
・スリラー

perfumeのライブの前座がこれで良いと思う。
# by syun__kan | 2010-11-07 20:19 | 日記 | Comments(2)
現代アート終了
「現代アート終了」

と、こう誰かが宣言したら。
誰か偉い人が。

ダライ・ラマ何世とか、ローマ法王とか、
天皇陛下とか。

世界各国で同時に声明を発表したら。

「現代アート終了」

うちらはみんな困るだろうなあ。
大変なことになる。
ナムジュンパイクは、ただの、テレビを並べる人になる。
奈良よしともも、ただのイラストレーションになる。

わしも、ただの新聞をガムテープで巻いてるジャクソンになる。
あのおじさん、大きくなったのに図工大好きダネ!みたいな。

いかに、わしらが「現代アート」という概念に、頼り切っているか。
普段、ぜんぜん感謝してなかったけど、
考えてみたら、コレがないとやっていけまへん。
現代アートさまさまですわ。
# by syun__kan | 2010-10-29 22:54 | 日記 | Comments(0)
晩酌
奥さんがワインをあけている。
ふたを開けたのではない。瓶を一本空けたのだ。
奥さんは、一年前は消化器系の不調でものが食べられなくなり、
お酒なんか一滴も飲めなくなっていた。
それが、ここまで回復したのである。
良いことではないか。

ワインを空けつつ、ハードロックを聴いている。
わしも一口、ワインをわけてもらったが、
わしは酒に弱いので、一口でポーっとなる。

わしはハードロックについて、あまり興味が無いせいか、
どのバンドも、どの曲も同じに聞こえる。
英語の歌詞が、空耳で、どんどん変な日本語に聞こえてくる。

野菜食べなさい魚も食べなさい
おー勘弁父ちゃん雑巾よー
大きい瓶紙パックボトルよー
ロボットの中3ですか
清水古い
最近だ赤いモロコシ
最近だメモリ増えたよ
バリバリ郵便
小鉄っぽい植木気味悪い
怒った兄ちゃん怖いうどん伸びるよ
干し梅うまい
江ノ電眠いのう
そこのドングリ
責任ないよモーちゃんびっしょり
こっちに来ないよハミングベース
もしもの時にしょうもない

そうこうしているうちに、奥さんは居眠りしてしまった。
なので、わしは一人でパソコンを打ち、日記を書く。
わしが最近ボンヤリ考えるのは、クジラの座礁のことである。

クジラが、座礁することがあるらしい。
ある朝、海岸に、クジラが打ち上げられている。
それは一匹だったり、十数匹だったりする。
原因は不明らしい。
まだ生きているクジラは、苦労してタンカーか何かで沖合まで運んで放すらしいが、
たいがいの場合、打ち上げられたクジラは死んでいる。

この間、上野の科学博物館で展示されていた大きなクジラの骨格標本は、
そのようにして漂着したクジラらしい。

打ち上げられた浜に、大きな穴を掘り、
クジラの死体をクレーンで吊り上げ、穴に入れる。
クジラは地面の下で腐り、骨になる。
数年経ったら、掘り返す。

この、一連の作業をしている様子が、この間の上野の展示では、
小さく写真入りで紹介されていた。

クジラの死体を吊り上げるクレーン…

わしはこの写真に、とんでもなく興奮し、グッと来てしまったのであった。

黒々としたクジラの、「生(ナマ)っぽさ」と、クレーンの「メカっぽさ」。
ナマvsメカ。

東京の街を破壊に来るゴジラも、このメタファーである。
生物vs人工物。

人類はややこしいので、人間の立場でありながら、
建築などの人工物に対して意志を持って攻撃するナマの象徴としてゴジラを創作したばかりか、
ゴジラを逆に人工的にしたメカゴジラまで創作したりする。
メカとナマの対立を描いたり、ナマの象徴をあえてメカにしたりするわけだ。

この「あえてナマとメカを逆転させる」発想で、身近なものを見ると、
サンマはメカサンマになり、
テープカッターはナマテープカッターになる。
メカサンマにはところどころネジが打ってあり、
ナマテープカッターはウロコがついていてヌメヌメしているのである。

ナマコタツ、メカゴハン、
ナマプレイステーション、メカ奥さん。

メカ奥さんでは困る。
では今から、奥さんを起こします。
# by syun__kan | 2010-10-27 00:24 | 日記 | Comments(3)
素晴らしき休日
予定していた用事が急になくなり、
奥さんはバイトに行き、
突然、一日の休日が、わし一人に与えられた。

わし一人きり。一日、何しても良し。やるべき仕事はなんにもなし。

これはわしにとって、非常にレアなシチュエーションだ。
休日はあるが、いつもはいつも、奥さんといる。
いつも単独行動は、いつもほとんどしていない。

この一日を、どう消化しよう。
しばらく考え、わしは、川崎に工場を観に行くことにした。
川崎に行くのは二度目だが、前回は浮島というところに行ったので、
今回は東扇島というところへ行こう。

ブラックコーヒーのボトル缶と、ロッテのアーモンドチョコのセットを、
駒込のデイリーヤマザキで買う。
駒込から山手線で東京駅に。
東海道線で川崎へ。
電車のシートに座っているだけだが、頭が尋常でなく寛ぐ。

川崎の改札を出て右に行くと、非常に広い地下街に入る。
ペッパーランチで早めの昼食を。
地下街の上には、バス乗り場が密集している。
東扇島行きのバスに乗り、日本触媒前というバス停で降りる。

道の左右を工場や配管で囲まれたアミューズメント。
そこは京浜工業地帯であり、埋め立て地である。
家や、店などはない。
自動販売機さえない。
工場、倉庫、発電所とかしかない。
ほとんど人がいない。
道路をトラックが行き交う。
遠くで飛行機が発着する。

景色を眺めながらしばらく歩くと、地下通路がある。
埋め立て地から、もひとつ向こうの埋め立て地へ、
それを隔てる、海を通過するための、通路だ。

何に使われているのか、またはもう何にも使われていないのか、
全然わからない、6階建てくらいの大きな建造物のふもとに、入口がある。
「人道入口」と、看板に書いてある。
きたない階段を下りると、真っすぐ、細い通路が、延々と続いている。
「この通路は、歩行者専用です。自転車の方は、降りて通行してください」
という、女性の声のアナウンスが、ジーーという雑音と共に、
10秒おきくらいに流れる。
アナウンスの合い間を、どこまでも反響する自分の足音が埋める。
出口は見えない。真っすぐだが、真ん中が微妙に低い弓なりの傾斜がついているからだ。
だから、しばらく歩くと、真っすぐの道が始まった地点も、終わる地点も見えなくなる。
この状態が、けっこうな長さ、続く。
誰もいない。
臨死体験みたいだ。
鳥肌が立ってきた。
このまま永遠にトンネルが続くのではないかという、
あるいは、トンネルを出たら元の世界ではないのではないかという、
ばかみたいな考えが、ばかみたいだと、どこかで分かっていながらも、よぎる。
「場」というものが、どれだけ人の精神に大きな影響を与えるか、よくわかる。
アーモンドチョコを、なんでか、どんどん食べてしまう。

だが、もうしばらく歩くと、やはり出口につながる階段が見えてくる。
「人道出口」と書いた看板が見える。
「人道」って!

階段を上がって地上に出ると、
やはりそこは、何に使われているのか、またはもう何にも使われていないのか、
全然わからない、6階建てくらいの大きな建造物のふもとだった。
入ったとこと同じとこに出た気がして一瞬びっくりしたけど、別の建物だった。
# by syun__kan | 2010-10-17 21:35 | 日記 | Comments(0)



現代芸術家、関口光太郎の日記。
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